記事

コミュニケーション能力社会の帰結

誰に対しても当てはまる! 札幌市の発達障害「虎の巻」が話題に(withnews)

 職場編では、虎夫さんのパン作りの例を紹介。先輩から「適当にクリーム塗っといて」と指示されて作業したところ、塗りすぎて注意を受けてしまいます。

 「クリームをあんなに塗るなんて『普通に考えて』ありえない」という先輩と、「『どれくらい』塗るかおしえてくれなかったのに」と感じている虎夫さん。

 その後、先輩が手本を見せながら作ることに。先輩が作業しながら「こうやって塗ってください」と伝えると、虎夫さんは正確かつきれいに塗れるようになり、褒められるという内容です。

 他にも「手順が決まれば効率アップ」「期限がわかれば集中力倍増」「聞く人決まれば迷わない」といった例が掲載されています。

 発達障がい支援情報のページ/札幌市

 先週の記事で軽く触れた話になりますが、札幌市が配布している「発達障がいのある人たちへの八つの支援ポイント」と題された冊子が、ちょっとした話題になっていたりもしたわけです。職場編を要約すれば「具体的に指示を出しましょう」という、たったそれだけのことなのですけれど、これが「誰に対しても当てはまる!」と共感を呼んだりもしたようです。

しかし、「誰に対しても当てはまる」と共感した人がネット界隈に少なからずいたとしても、具体的に指示を出すことは「障害のある人のための特別な配慮」として位置づけられているのが現実です。「健常者」であろうとするなら何をやるべきか明示されなくとも察して行動することが求められる、それが日本の職場ですから。

 ……毎年毎年、似たような「新人への不満」がメディアに載ることがあります。曰く○○が出来ない、○○を知らない云々。しかし求人広告を見る限り企業が求職者に求めているのは一貫して「コミュニケーション能力」の類いであり、具体的に何かが出来ること、何かを知っていることではないわけです。「仲間と力を合わせて仕事を進めたい方」「内外の方と円滑なコミュニケーションが図れる方」「自ら積極的な関係づくりができる方を歓迎します」等々、こういう基準で選別された日本の労働者ですから、そのスキルや知識が不揃いとなってしまうのは、致し方のないことではないでしょうかね。

 あるいは「学生が勉強しない」云々も昔から言われていることですけれど、それは日本社会(日本の会社)が勉強する学生を求めていないからです。どこの国でも勉強のために勉強する物好き以外は、「良い仕事に就くために」進学します。しかし大学で何を学んだかが問われないのなら、卒業後の進路を真面目に考えている学生ほど「勉強以外」のことを考えるものです。そして日本の会社が学生に求めているのは、至って具体性に乏しい代物ばかりではないでしょうか。

「会社の役に立つ人間になるために」何が必要なのか、我が国の企業は学生に明示していません。それはたぶん、発達障害でもなければ(言わなくても)分かって当然、と考えられているのでしょう。しかし大半の大学(就職課)や学生達は採用側の求めを具体的に理解できず迷走している、そして会社側も結果に不満を持っていると言えます。明らかに何かが間違っていると思わないでもないですが……

あわせて読みたい

「コミュニケーション」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    読売「委員会NP」露骨な印象操作

    大西宏

  2. 2

    朝日が加計報道で犯したタブー

    和田政宗

  3. 3

    たけし軍団「AV女優全員ヤッた」

    文春オンライン

  4. 4

    前川氏の政権批判は「逆恨み」か

    宇佐美典也

  5. 5

    大学無償化は"卒業で免除"が妥当

    WEDGE Infinity

  6. 6

    菊川怜は芸能界を引退するべきか

    信託大好きおばちゃん

  7. 7

    表現の自由狭める「放送禁止歌」

    蓬莱藤乃

  8. 8

    前川氏に風俗視察レポートは無理

    木走正水(きばしりまさみず)

  9. 9

    定食500円 なぜ今「とんかつ」か

    文春オンライン

  10. 10

    やる気ない社員が日本に多い理由

    内藤忍

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。