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フランス大統領選について知っておくべき6つのこと

著:Joshua Coleミシガン大学 歴史学教授)

 フランス大統領選挙が近づくにつれて、英国のEU離脱トランプ大統領の当選をもたらしたポピュリストの波が今回も続くかどうかに注目が集まっている。

 来る選挙について知っておくべき重要な事項について、欧州の歴史を専門としている米国の学者Joshua Coleは以下の通り説明している。

1. フランス大統領選のプロセスは?

 立候補者は、フランスの代議士等から最低500人の署名を集め、憲法院の承認を受けなくてはならない。大統領の任期は5年、18歳以上の全ての国民が投票権を持つ。今年の第一回投票は4月23日(日)。絶対多数(50%プラス1票)を超える得票をどの候補者も得られなかった場合、5月7日(日)に第二回投票が行われる。

2. 大統領の職はフランスで重要?

 フランス政府の長は首相だが、大統領権限は首相を上回り、国防や外交で重要な役割を担う。

 また、大統領は議会の多数党から首相を任命する。場合によっては大統領の所属する政党以外の党から首相を選出しなくてはいけないときもある。この現象は「コアビタシオン(同棲、同居の意)」とよばれる。今年の国民議会選挙は6月11日(日)と18日(日)。

3. 大統領候補として一番人気がある人は?

 現在11人が立候補しており、うち5人が有望視されている。世論調査でリードしているのは2人、極右政党国民戦線のマリーヌ・ル・ペンと、中道派で前経済産業デジタル相、既存政党には属していないエマニュエル・マクロン。

 意外なことに、約40年にわたり多くの大統領を輩出してきた2政党(共和党と社会党)出身の候補者が第二回投票に進めないとみられている。共和党のフランソワ・フィヨンは、金銭スキャンダルで身動きがとれない。社会党のブノワ・アモンは、同じ社会党出身のフランソワ・オランド現大統領に愛想をつかした有権者からの得票を期待できない。

 極左政党のジャン=リュック・メランションは最近、第二回投票に進む可能性があると目されている。

4. フランスでは2015年11月以降、全土で緊急非常事態が敷かれている。セキュリティは大きな問題か?

 2015年から16年にかけて複数にわたるテロ攻撃があり、セキュリティは以前にも増して重要な問題になっている。フランス憲法第16条では、大統領による非常事態宣言の発動、行政・立法権の行使、デクレ(行政命令)による直接統治が規定されている。テロリストによる攻撃の可能性が高まっている状況にあって、最近、大統領統治の可能性が注目を浴びている。弁護士や法曹関係者の一団は、憲法が規定するこの大統領権限は過大であり、ル・ペンの選出はフランス民主主義にとっての危機とする書簡を最近発表した。

5. 2012年の選挙期間中、当時のニコラ・サルコジ大統領は、移民居住区を訪問するのを恐れていたという。この「バンリュー(Banlieue)」と呼ばれる地区が今回の選挙戦に与える影響は?

 バンリューとは、経済的・文化的に排斥された地区で、ここでは慢性的な失業問題が蔓延っている。人口の約8%を占めるイスラム人が全てこの地区に居住しているわけではないが、 バンリューの中にはイスラム人が多数を占めているところもある。ル・ペンは選挙期間中、バンリューを同一化政策が失敗した地区、フランスにとっての脅威だとして、孤立している住民を非難した。

6. ル・ペンが勝利する可能性は?

 ル・ペンは、国民戦線が民族主義や反ユダヤ主義と長く関わっていたことに関心がなさそうな多くの若者の間で人気がある。また、欧州統合に反対する人々からの支持も集めている。多数の世論調査の予想では、第二回投票はル・ペンとマクロンの一騎打ちとなり、マクロンが決戦を制するという。有権者の3分の1超が第二回投票での投票先を決めておらず、予想以上の接戦となるかもしれない。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by Conyac

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