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英語アレルギー治療の特効薬・フィリピン留学

フィリピンは米国の旧植民地であり、英語が広く通用する。本当はタガログ語(フィリピン語)という土地の言葉があるのだが、ビジネスの現場では英語が使われることが多い。

フィリピンでは大学教育またはそれに準じる高い教育を受けた人たちは、基本的に流暢な英語を話す。だがその一方で、フィリピンは発展途上国であり、給与水準は低い。そこに目をつけたのがフィリピンの英語教育ビジネスである。

数年前から、韓国人の友人を通じて、韓国人が大挙してフィリピンに押し寄せ、競うようにして英語を勉強していると聞いていた。低賃金の準英語圏で安く英語を学ぶというのはいいアイディアだと感心して、その話が心のどこかにずっと引っかかっていた。今年あたりから、ようやく日本にもそのフィリピン留学またはオンライン英会話ブームがやってきた感がある。フィリピン留学を取り上げた@AkaneSato さんのエントリにも刺激され、手にしたのがこの本。

フィリピン「超」格安英語留学
フィリピン「超」格安英語留学

著者の太田英基さんは1985年生まれ。今年まだ25歳か26歳の若い人である。大学時代に起業して、その後、仕事一筋で忙しい日々を送ってきた。仕事で初めて渡った中国・上海でのこと。そこで働くビジネスパートナーの韓国人と親睦を深めるのが目的だったのだが、全く英語が話せない自分に気がつく。相手の韓国人は米国留学を経て英語がペラペラなのに、自分は通訳に頼るばかり。太田さんは英語を身につけなければ世界で活躍する人間にはなれないと痛感する。

その後、中学レベルの英語も話せない状態で、フィリピン英語留学を敢行。同時に入学したどの学生よりも英語ができなかったが、昼間はマンツーマンのレッスンを通じて英語をしゃべりまくってスピーキングの能力を伸ばし、夜は日本から持ち込んだ文法書を必死に勉強する日々を送る。入学3ヶ月後、流暢ではないものの、英語を使ってコミュニケーションがとれるようになる。英語アレルギーはいつしか消えていた。

これは「地球の歩き方・フィリピン英語留学編」とでもいうべき、気楽に読めるハウツー本である。英語学校の選び方、フィリピンの生活上の注意等、フィリピン留学に必要な基礎知識が網羅されている。ただし、@HAL_J さんの「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」と同様、すべて著者の個人的体験に基づいているので臨場感がある。

素晴らしいと思うのは、太田さんがもともと強い英語アレルギーを持っていたのにもかかわらず、フィリピンで3ヶ月間努力したのち、それがきれいに消え去ってしまったいうこと。これが、もともと英語が得意な人がさらに得意になった、とかいうならそれほどおもしろくない。だが、こんなに苦手だった人が、フィリピン留学をきっかけに英語が好きになり、帰国後も継続して英語を学びたいと望むようになったり、外国人と接するのに苦手意識がなくなったというのは、すごい。同様の境遇の人たちには大いなる希望だろう。

太田さんは、フィリピン留学前に、基礎文法力を固めることを強く勧めている。最低限の文法力がないと、文章が構成できず、会話が不可能になるからだ。私の経験からも同意だ。彼が選んだ文法書はこれ。

英文法のトリセツ?英語負け組を救う丁寧な取扱説明書 じっくり基礎編
英文法のトリセツ?英語負け組を救う丁寧な取扱説明書 じっくり基礎編

英文法のトリセツ ~とことん攻略編
英文法のトリセツ 中学レベル完結編

残念ながら私は読んだことがないのだが、アマゾンのレビューを読む限り相当よさそうだ。副題が「英語負け組を卒業できる取扱説明書」とある。心当たりのある人にはグサッとくるフレーズかもしれない。

フィリピン留学では、マンツーマン授業が中心なので、カリキュラムも自由度が高い。自分が学習計画をすべて作るくらいの能動的な態度で臨むほうがいい。著者の太田さんは、次の本を読んで学習計画を立てたという。

英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法
英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法

これはもともと、このウェブサイトの書籍化で内容はほぼ同じである。

私は、いままでブログや Twitter において、日本人の内向きの姿勢を繰り返し批判してきた。日本のことばかり見て、外国の状況を顧みない日本人が多すぎると。視野が狭くなってしまう大きな原因の一つとして、英語力の不足があるのは間違いない。そこで「英語を勉強しよう」と私が言うと決まって「英語なんかいまさら勉強しても仕方ない」「英語はツールにすぎないのだから必要になればやればいい」「英語ができたって仕事ができるとはかぎらない」等々の反論が次々と返ってくる。みな大きな声では言わないが、そういいたくなるのは、日本の悲惨な英語教育によってすっかり英語アレルギーにさせられたからではないか。

「英語にコンプレックスがあります」と告白しなくてもいい。その代わりフィリピンに留学してみたらどうだろうか。学生だったら夏休み、社会人でも転職のタイミングを利用して、3ヶ月程度。時間がとれない場合、1・2週間の短期留学でもかまわない。マンツーマンの詰め込み式で英語を学習すれば日本でだらだら1年英語学校に通うより成果が上がる。この本はフィリピン留学を通じて英語アレルギーをなくしたいと願う初〜中級者たちに絶好のガイドとなるはずだ。

追記(韓国の現状)

「フィリピン英語留学先進国」韓国についてツイッターの方にいろいろ書いたので、それをまとめて以下に記しておく。
  • 韓国における学生の現状:「TOEIC 750点以上ないとエントリーシートが通らない」「一流企業の社員や国家公務員になるには TOEIC 900 点以上ないと話にならない」。
  • 2010年の公式の数字でフィリピン英語留学の韓国人は26000人に対して日本人はわずか1000人。韓国人は、非公式にはその数倍、10万人以上という説も。
  • 500程度の英語学校がありその95%は韓国人経営。
  • 韓国人は「英語アレルギー解消のため」というはっきりした目的意識をもってフィリピンを使っている。韓国人は3ヶ月ほどフィリピンで猛特訓を受けて基礎的な英語力を身につけたあと、欧米への留学へ出発する。まるで多段式ロケットの打ち上げのようである。
  • 韓国語を話す韓国人は、本来日本人と同様、極度に英語が苦手な人たちだが、留学を通じて英語の苦手意識を克服する取り組みでは日本より長い歴史がある。

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