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【東芝の苦悩:半導体編】

一難去ってまた一難。東芝の半導体事業の売却をめぐって、4月9日に共同運営している提携先の米精密機器メーカーのウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン(Steve Milligan)CEOが東芝に書簡を売り、東芝の対応を批判したことが一斉に報じられました。今度は最高財務責任者が来日して、関係者と協議していることを明かしています。原発もたいへんだけど、半導体もたいへんです。

BloombergのWestern Digital, Japan Investors in Toshiba Unit Sale Talks(東芝の半導体事業の売却交渉で米ウエスタンデジタル、日本の投資家参加)の中で「ウエスタンデジタルは東芝のフラッシュメモリー事業を勝ち取ろうと、日本の官民ファンドの産業革新機構と協議していると語った」と伝えています。

カリフォルニア州のサンホゼを拠点とするWDの最高財務責任者=マーク・ロング(Mark Long)氏は都内でインタビューに応じました。

WDが去年、サンディスクを158億ドルで買収した結果、東芝のフラッシュメモリー事業のパートナーとなりましたが、台湾のホンハイ精密工業韓国のSKハイニクスアメリカのブロードコムなどが買収に名乗りをあげていることを踏まえて、「われわれの考えは異なる。優先すべきは何よりもジョイントベンチャーが競争力を維持することだ(We think very differently, our priorities, first and foremost are focused on the joint venture remaining competitive)」と述べて、東芝はまずWDと交渉するべきだと主張したということです。

また、ロング氏は「ほかの各社が手続きを進める中、われわれの方がビジネスの価値についてより明確な姿を、またその価値に何が影響するかの考え方も持っている(While others are working through a process, we have a clearer picture of what that business should be valued at and how to think about other things that affect value)」と述べました。

その上で「ほかの企業と比べてわが社の方が解決に向けての参加方法が多彩だ。ひとつの数字(金額)を出すほど単純ではない(We have lots of different ways to participate in the solution than other players. It’s more complicated than a single number)」と発言しました。

ロング氏は、産業革新機構と政策投資銀行と「よい対話(great dialog)」をもったと明らかにし、「彼ら(産業革新機構と政策投資銀行)は、長期の解決方法について考える議論の一部で当然ある。彼らの懸念や目標がおそらく、われわれともっとも近い(They are definitely part of the deliberative process that’s thinking about the long-term solution, their concerns and their goals are probably the easiest for us to relate to)」と述べました。

ReutersもWestern Digital would consider Japan partners for Toshiba unit bid(ウエスタンデジタル、東芝の事業取得に向けて日本の投資家と組むことも検討)の中で、WDの財務責任者のロング氏のインタビューを紹介しています。

産業革新機構や政策投資銀行と陣営を組む可能性について「あり得る(It could be)と発言。

記事では、日本政府がバックについたプレイヤーと組めれば日本政府のお墨付きをもらうことになり大きなアドバンテージになると指摘する一方で、米半導体メーカーのブロードコムも産業革新機構と政策投資銀行との共同入札を目指して協議していることを伝えています。

WDは四日市で東芝とフラッシュメモリー事業を共同運営していて、東芝と公正競争の観点から話し合った結果、両者ともそれがWDの入札の障害にならないことで合意したとロング氏は語っています。

NANDフラッシュメモリーの分野では、世界市場のうちサムスンが35%、東芝が19%、ウェスタンデジタルは16%を占有していて(IHS調べ)、WDのようにフラッシュメモリー事業のライバルが東芝の事業を取得するには各国の競争法の審査クリアが必要なため、東証で株式上場を維持するために債務超過を解消しなくてはならない来年3月までに手続きが終わらないと指摘されているということです。

これに対してロング氏は「われわれの柔軟性と参加のあり方が様々あることから、東芝に必要な資金を速やかに用意し、競争法上必要な審査をするための十分な時間を確保する形で競争上のリスクをクリアできると弁護士は自信を持っている(Because of our flexibility and the different ways we can participate, our lawyers are very confident that we can address any trust risks in a way that would help get cash to Toshiba very quickly and then allow enough time for any antitrust review as necessary)」と反論しました。

New York Timesは入札参加者に日本企業がこれまでに1社もないことを「1世代前には世界の半導体市場を席巻した国にとって驚くべき転換だ」と表現。

また、原子力事業の損失の穴埋めのために稼ぎ頭の半導体事業(NAND)を売却することを「来月の家賃を支払うために重要資産を売却するようなものだ(selling the crown jewel to pay next month’s rent)」という専門家の見方を紹介しています。

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