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習近平氏の「朝鮮半島は中国の一部」発言の解読

習近平国家主席とトランプ大統領の会談時に習氏が「韓国は中国の一部だったことがある」(ハンフィントンポスト)と発言したニュースが大きな話題になっています。このニュースはウォールストリートジャーナルのトランプ大統領とのインタビュー記事から判明したもので産経新聞の記事の見出しにも「韓国は…」となっていますが、記事の中ではわざわざ英語でKorea actually used to be a part of China.とクォートしています。

個人的にはこれは誤訳だと思っています。習氏は韓国ではなく朝鮮半島の意で言ったと思います。訳そのものはフェイクではないですが、非常に不正確であります。Koreaは狭義では韓国を指すこともありますが、習氏がアメリカの大統領と話をするのにはもっと広義の意味である「朝鮮」という意味で使ったと考えられます。(一般に英語圏では韓国はSouth Korea,北朝鮮はNorth Koreaとはっきり区別します。)仮に韓国を指すなら1948年の独立以降韓国が中国に侵略された事実はなく、当然間違いということになります。よって習氏の発言は「朝鮮半島」という意味だったという前提で話を進めます。

韓国の新聞は習氏の発言に対して一斉に猛反発をしています。朝鮮半島が中国の一部だとずいぶん踏み込んだ発言をしたとしたら習氏の思うところは何だったのでしょうか?少なくとも習氏とトランプ氏は朝鮮半島の歴史について10分程度の説明を受けたとあります。そこから読み取れるものは冊封関係を述べているものと思われます。

冊封(さくほう)関係とは宗主国である中国が朝貢国(この場合、朝鮮)から貢物を受け、中国と君臣関係を結び、中国とは従属関係になるということであります。少なくとも中華思想において華夷という差別的発想がありますが、朝鮮は中国に国境を接し、きわめて近い関係にあったために小中華とも言われますし、儒教に於いては本国の中国で廃れる中、朝鮮半島で極めて進歩した点において朝鮮人が中国人に強い意識を持ち続けたのは間違いありません。

では冊封関係をもって中国の一部だったと言わせることは可能でしょうか?中国における論理なら可能なはずです。ご記憶にあろうかと思いますが、尖閣問題で日中間で揉めていた際に中国から「沖縄も中国のものである」という爆弾発言がありました。この時、ほとんどの報道は「調子に乗りやがって」とまじめに取り合いませんでした。

中国が指摘したのは沖縄のもともとである琉球王国が中国と冊封関係を結んでいたことに由来しています。つまり、この関係をもって支配関係にあると誇大解釈していると思われます。

では習近平国家主席がわざわざトランプ大統領にそんな話をなぜしたのか、であります。ここは二人の会話がどう展開する中で朝鮮半島の歴史問題に触れたか、ですが、私の勝手な憶測としては習氏が「中国は北朝鮮に影響力を行使することができる」という趣旨が隠されていたのではないかと考えています。

故に習氏が帰国後、北朝鮮国境周辺に中国兵が大挙しているという報道が出ましたが、それは習氏なりの北朝鮮への「親としての説得工作」だったのではないでしょうか?私が昨日のブログに記載したように「相手(=北朝鮮)が大人になるよう中国が介入する」と書いたのはその意であります。

仮に習氏が北朝鮮を黙らせたなら、習氏の権力への信認は圧倒的に高まり、秋の党大会を確実なものにするでしょう。もちろん、それがたやすいことではないことは十分わかっているはずです。なぜなら同国境付近は習氏の影響力が強く及ぼされるところではないからです。だからこそ、「俺に任せろ」と強気に出た可能性も否定できません。

となれば、北朝鮮問題に関しては中国も引くに引けない状況に陥った可能性はあります。個人的には習氏とトランプ氏のディールは恐ろしくリスキーなものだったのではないかという気がしてなりません。

では今日はこのぐらいで。

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