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男は女にボロ負け! TOEIC平均スコア140点差の謎

ライター・編集者  蜂谷智子=文

■男性完敗! TOEIC平均スコア 女性が男性の1.3倍

多くの企業が社員の英語力を測る基準として、TOEICのスコアを参照しているのは周知の事実。では、その獲得スコアに大きな男女差があるのはご存知だろうか。

ソースネクストが今春に発表した調査結果によると、男女の獲得スコアの平均点は、男性526点に対し、女性は668点(注1)。男性より女性の方が1.3倍(142点)も高かったそうだ。

しかも語学学習にかけている1カ月あたりの費用の平均を見てみると、女性が2810円に対し、男性はその1.4倍の3903円。つまり、女性の方が費用をかけずに、男性よりも高いスコアを記録している。

限られたサンプルの調査とはいえ、この差は大きい。果たして、本当に女性の方がTOEICに向いているのだろうか。もしも、男女のスコア獲得能力に差があるとして、それはなぜなのだろうか。語学専門出版社の勤務歴10年以上の筆者が、周囲の英語の達人に意見を聞いてみた。

TOEICでハイスコアを獲得できるタイプの人とは?

一般的に女性の方が語学に堪能なイメージがあるが、それは英語学習の現場の肌感覚としても同様のようだ。英語教育でトップクラスの高校に勤務していた知人によると、入試における女子の英語教科の得点平均は、常に男子よりも圧倒的に高く、入学者も女子が多かったそうだ。そういわれてみれば、大学においても語学の専門学部は女子学生ばかりだ。

とはいえ、学生時代における専門分野の選択は、将来の進路と大きく関係している。女性に人気がある仕事に語学が必要なケースが多いなどの、社会的背景もありそうだ。しかし一方で、TOEICにおいては総受験者の男女比は男性の方が一貫して多い(注2)。つまり、男性の方がTOEICのスコア獲得のニーズが高いにもかかわらず、実際のスコア平均では女性の方が高得点なのだ。

考えていくうちに、もしかしたらTOEICが必要とするスコア獲得のノウハウに、謎を解く鍵があるのかもしれないという仮説が生まれた。TOEICは純粋に英語力を測るために開発されたテストだが、実は中級の枠を超えるためには身に付けるべき戦術が存在する。すんなりと中級以上のスコアを獲得できる人は、TOEIC攻略のノウハウを意識せずとも実践できる性格を備えているのではないだろうか? さらには、そういった性格を有する女性の方が、男性よりも多いのでは? 

■ハイスコア者は「切り替え早い人」「疑り深く勘が鋭い人」

そこでTOEICハイスコア保持者たちの意見を元に「TOEICスコア獲得に有利な5つの性質」をあげてみた。あなたの周囲のハイスコアを持つ女性に、共通する部分はあるだろうか。

● TOEICスコア獲得に有利な5つの性質

【TOEICハイスコア者の共通点1】
見切りをつけるのが早い

TOEICテストはリスニング100問(45分間)、リーディング100問(75分間)、合計200問を2時間で解く。ほとんどの受験生は時間が足りず、たとえスコア800点以上の上級者でもタイムマネジメントには気が抜けない。ここで大切なのは得点できない問題はさっさと捨て、解ける問題をひとつでも多く解いて点を積み重ねることだ。

本当かどうか分からないが、恋愛の際など男性よりも女性の方が切り替えは早いといわれる。人間関係では粘りが大切なときがあるかもしれないが、TOEICでは無理目の問題はバッサリ切って、次へ行くことがスコアアップにつながる。

【TOEICハイスコア者の共通点2】
疑り深く勘が鋭い

ひっかけ問題が多いのも、TOEICの特徴。リスニング問題で“annual” “manual” などの似た音の単語を混在させて撹乱したり、わざと問題文と同じ単語を仕込んだ不正解選択肢を作って餌にしたり。また長文読解では、鍵となる情報を文章の複数箇所に分散して、早合点を引き起こそうとするのも定番だ。

受験生は、出題者の「間違えさせよう」とする企みを見破って、正解に辿りつかなければならない。そのためにはいかにも正解に見える選択肢を疑い、問題が問うているポイントをつかむ勘の鋭さが必要だ。

【TOEICハイスコア者の共通点3】
同時並行思考が得意

スコアアップを目指すうえで絶対に身に付けたいテクニックが「問題の先読み」だ。制限時間内で大量の問題を解くには、設問を先に読み、何が問われるかを頭に入れたうえで、問題文を聞いたり読んだりしなければ、間に合わない。複数の選択肢を頭に入れ、比較検討しながら問題を解くには同時並行でさまざまなことを考える、マルチタスク型の能力が必要だ。

一般に女性にはマルチタスク型が多いといわれる。その根拠として女性固有の脳の構造によるという説もあったが、最新の研究によるとこれは間違いらしい(注3)。しかしながら脳の構造がどうであれ、普段から家事や育児と仕事を並行して切り盛りしている人なら、並行思考はお手の物だろう。

■英語教材コスト 女性は男性より月900円少ない

【TOEICハイスコア者の共通点4】
抜け漏れがない完璧主義

IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が運営していることからもうかがえるように、TOEICはビジネスの現場で使用する可能性のある内容に出題範囲が限られている。つまりは学術や芸術分野の言語や高度な専門用語、スラングといわれる俗語は出題されない。TOEICの出題範囲はひとつの言語全体のなかの極めて狭い範囲に過ぎず、単語も文法も努力すればカバーできるのだ。その代わり、いわゆる「重箱の隅をつつく」問題が出題されるので、曖昧な理解では太刀打ちできない。

前掲のソースネクストが行なった調査結果では、女性の方が男性よりも学習にかける費用が少ないことが分かっている(英語教材費は、女性は男性より月あたり約900円低い)。この結果が「限られた問題集を完璧に身に付ける」ことを意味しているのであれば、その戦略は正しい。TOEICは薄く広く学ぶよりも、狭く深く学ぶ者に適したテストなのだ。

【TOEICハイスコア者の共通点5】
音感が鋭い

TOEICは出題範囲が狭く努力でカバーできるテストだが、ひとつだけ努力だけでは克服できないことがある。それが英語のリスニングだ。もちろんリスニング力は慣れによってある程度向上するが、同じ努力をしても素質によって大きく結果に差が開いてしまうのも事実だ。

フランスの耳鼻咽喉科医アルフレッド・トマティス博士によれば、日本語と英語では、使われる周波数帯が異なるという(注4)。日本語の周波数は、125HZ~1500HZであるのに対し、英語は1500HZ以上の周波数の音が多くある。英語で使われる音域が聞き取れないと、リスニングに苦労することとなるのだ。

残念なことに普段使っている言語と異なる領域の音を聞くのは、幼い頃のトレーニングがモノをいうらしい。そして英語の能力と音楽の能力は深くつながっているともいわれている。幼い頃から音楽教育を受けるなどして広い音域の音に親しんでいる人は、英語リスニングにおいても優位性があるだろう。

■TOEIC満点保有者は「投資の能力に長けている」

●結論。TOEICテストに向いているかどうかは、性差よりも個人差

上記「TOEICスコア獲得に有利な5つの性質」をあげてみたが、これらの性質は、必ずしも女性のみに当てはまるものではないのが分かる。実際にTOEICのハイスコア保持者には男性も多いし、英語分野以外で上記のような特性が必要とされる仕事に就く男性も多い。

たとえば株式投資のような仕事では「音感が鋭い」以外の上記全ての特性が必要とされるだろう。事実筆者が仕事をしたTOEIC満点保有者には、投資の能力に長けた人が多かった。また「音感」に関しても男女の差よりも個々の経験による差異の方が大きそうだ。偉大なミュージシャンには男性も多いし、女性でも音痴な人間は居る(残念ながら、私がそのひとりだ)。

ただし、もしもあなたのTOEICスコアが伸び悩んでいるのなら、男女問わず上記の「性質」は参考になるかもしれない。まずは状況を知ることで、対策を始めることができるからだ。

(注1)
http://sourcenext.co.jp/pressrelease_html/JS/2017/2017031602/
【調査概要】
調査実施日:2017年2月4日(土)~5日(日)の2日間
調査対象:20代以上の男女
調査方法:WEBアンケート方式
有効回答数:2764件

(注2)
2015年6月25日発表 
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会資料より
「TOEIC® 公開テスト、2015年5月に第200回を迎える」
http://www.iibc-global.org/iibc/press/2015/p043.html

(注3)
「男性脳」「女性脳」は存在しない?:英国の研究結果
http://wired.jp/2015/11/05/male-female-brain-difference/

(注4)
http://english.tomatis-japan.info/tomatis_ear.html

(ライター・編集者  蜂谷智子=文)

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