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引きずり出されてケガ、飛行機座席のオーバーブッキングはなぜ起こる?

 離陸前のユナイテッド航空機から男性乗客が引きずり出されてケガをしたことが大きな社会問題となっています。これは飛行機の座席数よりも多くの予約が入ってしまう状態(オーバーブッキング)が引き金となっているのですが、なぜオーバーブッキングが発生するのでしょうか。

 飛行機の定期便は、乗客がたくさん乗っても、少ししか乗らなくても、必ず飛ばさなければならず、その際には一定のコストがかかってしまいます。座席が空いたままで飛行機を飛ばしてしまうと、その時の損失は二度と取り返すことができません。このため航空会社はできるだけ席を埋めた状態で飛ばそうと工夫を凝らすことになります。

 飛行機に乗るためには事前に搭乗予約が必要ですが、航空会社は経験則的に乗客の一定割合が直前にキャンセルすることを知っています。このため、過去データを分析することでキャンセル数を予測。座席の数以上のチケットを販売し、最終的に座席の数と乗客の数がぴったり合うようにコントロールしています。これは法的に認められており、飛行機のチケットを買った乗客は、このルールに同意したとみなされます。

 たいていの場合、キャンセル数の方が多くなり、予約した乗客は全員搭乗することができるのですが、希にキャンセル数が少なく、搭乗できない乗客が出てきてしまうケースがあります。これをオーバーブッキングと呼びますが、米国の場合、事前に定められたルールにしたがって、優先順位が低い乗客を飛行機から降ろすことが可能です。

 米国では10万人あたり90人程度のオーバーブッキングが発生しており、日本でも割合は少ないですがやはりオーバーブッキングが発生しています(日本の2015年度におけるオーバーブッキングは10万人あたり15人でした)。

 米国の航空会社は収益に対する強いプレッシャーがあり、これが高いオーバーブッキング率につながっていたと考えられます。しかしイールドマネジメント(収益最大化のための方策)技術が向上したことで米国におけるオーバーブッキングの割合は年々低下しています。

 一方、日本は米国と比較すると絶対値としては少ないものの、上下変動が激しいという特徴があります。日本における2007年度のオーバーブッキングは10万人あたり7.6人とかなり低い水準でしたが、2013年度には20.1人にまで上昇。その後は少し低下しています。

 日本は世界から約20年遅れて、ようやく本格的なLCC(格安航空会社)の普及が始まったばかりです。オーバーブッキングの上下変動が激しいのは、日本の航空業界の競争環境が厳しくなっており、各社が対応に苦慮していることと関係している可能性があります。

(The Capital Tribune Japan)

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