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[マンガ]絶対、破産しない旅行代理店

監修=塚崎公義(久留米大学教授) 作画=室木おすし [第13回テーマ=情報の非対称性]



しかし、いまどき格安の旅行代理店がたくさんあるのに、
じいさんはなんで、わざわざオレに頼んでくれるんだろう?
まあ、オレが正直者だから信用があるんだろうな。

 

あほたれが!

 

わ、スミヤン!

 

おまえが信用されているからじゃないぞ。
経済学的に考えれば
金持ちがおまえに頼むのは当然のことじゃ。

 

デン!

市場において、売り手と買い手の間で情報格差があることを
「情報の非対称性」と呼ぶ。

 

情報格差って?

 

例えば、中古車市場では、
売り手は車の本当の性能を知っているが、
買い手は知らない。

 

売り手と買い手が持っている情報が対等じゃない、ということね。
それが、どうしたっていうの?

 

この「情報の非対称性」が生じている市場では
本来、取引されるべきじゃない
粗悪な商品だけが出回ってしまうんじゃ。

 

なんで?

 

例えばおまえが、予算100万円で中古車を買いたいとしよう。

 

ほら、お前は100万円でできるだけ
品質のいい車を選んで買いたかったはずなのに、
結果として、30万円の品質の悪い車を買っている。

 

ホントだ。

 

このように「情報の非対称性」がある市場では、
みんなが安いモノしか買わなくなって、
だんだん売り手も品質が高いモノを取り扱わなくなる。

 

それって、売り手も買い手も、
結局損してるんじゃないの?

 

その通りじゃ。
アメリカのアカロフ大先生は
この「情報の非対称性」を研究して
ノーベル経済学賞をもらった。

 

じゃ、市場を成長させるには
売り手と買い手の情報が対等になればいいんだね。
品質を保証する仕組みがあればいいんじゃない?

 

そうじゃ。
経済学では、品質保証をしたり、ブランド化することを
「シグナリング」という。

 

あ、わかった!
じいさんがウチのトラベルサロンに旅行プランを依頼する理由が!

 

気がついたか。
金持ちはおまえ個人を信用しているわけじゃなく、
静屋百貨店というブランドを信用しているんじゃ。

 
もし、ウチで提案する旅行プランの品質が悪かったら
評判はガタ落ちで、他の金持ちも離れていくから絶対に裏切れない。
客が安心して買い物ができる保証をすることも、
百貨店の役割のひとつなんだね。
百貨店は「情報の非対称性」のおかげで商売ができているともいえるな。
ブランドの大切さがよくわかったよ。
 
監修 塚崎公義
久留米大学商学部教授。1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。経済分析、経済予測などに従事し、2005年に退職して久留米大学へ。『なんだ、そうだったのか! 経済入門』など著書多数。

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