記事

「大人の発達障害」女性が見過ごされてしまう3つの理由 片付けられない、女子トークがツライ。そんなあなたは要注意 - 大場 真代

 発達障害は、全般的に女性よりも男性のほうが多いと言われています。男性は女性の4倍いるという説もあります。

 しかし、実際は女性にも発達障害は少なくないとどんぐり発達クリニックの宮尾益知先生は言います。女性の発達障害がなぜ見過ごされてしまうのか、話を伺いました。

「特徴」があらわれにくい

「発達障害は男性に多いということは以前から言われてきたのですが、長年診察を行っていると、女性の発達障害も決して少なくありません。

 女性の発達障害が見過ごされてしまう理由として、一番大きいのは、その特徴が男性ほど明らかにはあらわれないということがあります。

 アスペルガーは、こだわりの強さやコミュニケーション面の困難さを特徴とする発達障害ですが、男性の場合は幼少期からその傾向が目立つ一方で、女性の場合は特徴が目立たず「人間関係の悩み」として、その特徴が現れてきます。

 例えば、女性同士のグループでうまくいかず孤立してしまったり、ガールズトークについていけないなどです。

 アスペルガーの女性は、本人に悪気がなくても失言や暴言などが出てしまったり、また女性特有の非言語的なコミュニケーションが苦手なために、人の表情や仕草から暗黙の了解を知ることができないからです」


男性は幼少期に見つかりやすい ©iStock.com

特徴は「おしゃべり」「予定がいっぱい」

「ADHDの場合は、男性だと幼少期からそわそわと落ち着かない『多動性』と、手が出やすいといった『衝動性』がよく現れますが、女性の場合はこれらが見られず『おしゃべり』『いつも予定がいっぱい』といった特徴が現れます。

 またミスも多いのですが、幼少期にはおっちょこちょいで済んでいるものの、大人になって『失礼だ』と言われることが増えて、ADHDの可能性に気づく場合があります。

 これには、男女の脳の働きが関係しているとも言われています。発達心理学者のサイモン・バロン=コーエンは、女性の脳は共感を、男性の脳はシステム化を求める傾向があることを仮説として唱えています。

 これはあくまでも統計による仮説ではありますが、生活上でも男性は分析を求めがちな理系傾向、女性は共感を求める文系傾向が高いのではないでしょうか」

コミュニケーション力が高いゆえに見過ごされる

「私が診察を行っていても、女性は男性に比べて言語能力やコミュニケーション力が高いと感じています。そのため、発達障害というよりは個性と捉えられて見過ごされている場合が多いのです。

 例えば、アスペルガーの場合、男性では会話のすれ違いが幼少期から出るため、人間関係をそもそも築けない人がいる一方、女性はある程度の社会性やコミュニケーション能力があるために、10代になってから困ることが増えてきます。これは、女性同士のガールズトークが複雑になってくる時期と重なっています。

 先ほども述べたように、女性は10代を過ぎると非言語でのコミュニケーションを重要視するようになり、話が複雑になってくるため、テンポよく会話を受け答えすることや、恋愛・ファッションなどの他愛ない話についていくことができなくなってくるのです」


©iStock.com

うつ病や摂食障害から表面化することも

「また、女性の発達障害の場合、思春期に体調不良が強く出るのも特徴のひとつです。

 特にアスペルガーの女性の場合は、夜眠れないなどといった睡眠障害や、吐き気や腹痛、便秘などの胃腸の異常、原因不明の発熱、特に重労働をしていないのに、朝布団から出られないほどのひどい疲労感などの体調不良に悩んでいることが少なくありません。

 詳細は明らかになっていませんが、アスペルガーの女性は、ホルモンの関係で思春期にからだが変わってきます。体格もふくよかになります。体質的に神経系の機能不全が起こりやすい傾向もあります。

 少し前に『片づけられない女たち』という名前でADHDが取りざたされましたが、片付けられないのは自分が悪いのだと自責的になり、うつ病と間違われるケースもあります。

 頻繁に体調を崩すために、病院へ行っても『心身症』と言われ、対症療法的に薬を飲むのですが、なかなかよくならず、何年も経ってからやっと発達障害に気づくこともあります。

 さらに、アスペルガーの場合、考え方のこだわりや感覚面のかたよりなどから、食事の習慣が乱れ、摂食障害を発症することも。女性の発達障害は、この他にも境界性パーソナリティ障害や性同一性障害などの二次障害を起こしていることもあります」


©iStock.com

診断基準が女性に合っていない

「そもそもの問題として、発達障害の診断基準が女性には合っていないのではないかという説もあります。

 アスペルガーは、もともと男子の発達障害として認識されていました。ADHDについても幼少期には男子が多く、女子の3〜5倍という比率で研究されてきた歴史があります。成人期になるとなぜか1:1になりますが。

 診断基準が男性向けになっているために、基準が該当する状態にならず、診断が出ない場合もあります。

 また、女性の場合は、アスペルガーとADHDも混同される場合がしばしばあります。

 女性の発達障害で特徴的な『片付けられない』ということを例に取ると、こだわりが強く、持ち物を整理するのに時間がかかって、その結果部屋が散らかっているように見えるアスペルガーの場合と、不注意の特性に対処するために、使えそうなものは全て持ち歩いたり、いつも同じ確認行動をするなど独特の行動パターンがこだわりの強さに見えてしまうADHDの人の場合です。

 前者はADHDと診断され、後者はアスペルガーと診断されたりもします。同じ発達障害でも、治療法は異なるため、病院へ通っているのに心身の不調がよくならないというケースもあるのです」

発達障害にも性差医療を

「性差医療という言葉があります。女性も男性も発症するメカニズムは同じですが、精神的、身体的に異なっているために症状として表れる形が異なり、症状で診断する精神科的診断では紛らわしく、誤診も起こります。

 性差医療が正しく理解されてこそ、発達障害が適切に診断され、適切な治療が受けられるようになるではないでしょうか」

あわせて読みたい

「発達障害」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    読売「委員会NP」露骨な印象操作

    大西宏

  2. 2

    朝日が加計報道で犯したタブー

    和田政宗

  3. 3

    たけし軍団「AV女優全員ヤッた」

    文春オンライン

  4. 4

    前川氏の政権批判は「逆恨み」か

    宇佐美典也

  5. 5

    大学無償化は"卒業で免除"が妥当

    WEDGE Infinity

  6. 6

    菊川怜は芸能界を引退するべきか

    信託大好きおばちゃん

  7. 7

    表現の自由狭める「放送禁止歌」

    蓬莱藤乃

  8. 8

    前川氏に風俗視察レポートは無理

    木走正水(きばしりまさみず)

  9. 9

    定食500円 なぜ今「とんかつ」か

    文春オンライン

  10. 10

    やる気ない社員が日本に多い理由

    内藤忍

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。