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東芝の半導体事業

売却に安全保障上の懸念ないか

大手電機メーカーの東芝が1兆円以上の赤字と6200億円もの債務超過を抱える見通しとなり、深刻な経営危機に直面している。この巨額な損失の穴埋めとして、同社の利益の8割を占める半導体事業を売却するという。

「iPhone」で有名な米アップルや、シャープを買収した台湾の大手電子機器メーカー、鴻海精密工業など、10社ほどの海外企業が出資に名乗りを上げている。しかし、東芝の半導体は日本の安全保障を支える重要な技術でもあり、売却交渉は慎重に進めるべきだろう。

コンピューターやスマートフォンなどに搭載されている、さまざまな情報に関するデータを貯蔵し、それをいつでも取り出せるようにする記憶装置には半導体が使われている。こうした記録用の半導体を世界に先駆けて開発したのが東芝だ。世界市場における占有率は第2位を誇る。

一方で、東芝の半導体を組み込んだレーダーは探知能力に優れており、洋上でパトロールする海上自衛隊の最新鋭哨戒機「P―1」や、弾道ミサイルを追尾する航空自衛隊の警戒管制レーダーにも使われているとされる。

もし、これらの技術が他国に流出すれば、軍事開発に転用されるなどの危険性も懸念されよう。それゆえ、政府は、東芝の半導体の売却にそうした問題がないかどうか、事前に審査する方針である。

そもそも、日本企業が外国の企業に買収されることを想定した技術流出を防ぐためのルール整備が遅れているという問題もある。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、外国の企業が日本企業の買収などを行う「対内直接投資」の国内総生産(GDP)における比率は、日本の場合、約5%(2015年末)で、他国と比べ、201位と極めて低く、関心が薄かったのではないか。

米国や英国などの欧州諸国では、自国の企業が海外の企業に買収される場合、安全保障分野関連の技術が買収先に転売されたりしないよう、同技術を売却しないという条件を付すことができる。日本でも買収をめぐる海外投資家との取り引きにおいて、そうした条件を付せるようにするルールを整備すべきだろう。

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