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コンビニ各社の相次ぐ店舗網拡大の背景には規模拡大への焦りが見える - 岡崎よしひろ(中小企業診断士)

神奈川を地盤としている中堅コンビニチェーン、スリーエフは大手コンビニチェーンであるローソンとの共同店舗を拡大すると報道されています。
ローソンは12日、提携関係にある中堅コンビニ、スリーエフが首都圏に展開する281店舗を「ローソン・スリーエフ」の看板を掲げた共同店舗に転換すると発表した。 ローソン 首都圏で共同店舗を拡大 スリーエフと 毎日新聞 2017/4/12
但し、共同店舗と言ってもほとんどの商品はローソンの取扱商品となるという事なので、実質的にはローソンへ転換すると言ってしまってもよいと考えられます。

また、サークルK、サンクスも以下のようにファミリーマートへの転換を急ぐと報道されています。
サークルK、サンクスからファミマへの「看板」の掛け替えを当初より半年前倒しし、来年8月までに全店で実施するという。 サークルKとサンクス、来年夏で消滅 全店がファミマに 朝日新聞 2017/4/11
このような相次ぐ大手コンビニチェーンへの転換を行う理由は何なのでしょうか?各コンビニチェーンの独自商品をうまく伸ばしていけば共同仕入れのメリットなどを活かしつつ運営できそうに思えますよね?

本稿では、そのような多様性を犠牲にしてでも規模の拡大を急ぐ大手コンビニ3社の背景について考えていきます。

■中堅コンビニチェーンは大手へ再編されている

ローソンやファミリーマートは、報道されているように様々な中堅コンビニチェーン各社をどんどん取り込んでいっています。

少し前にも、群馬県を中心として北関東を地盤にしている500店舗近い店舗を擁するセーブオンがローソンに転換すると報道されていました。

ローソンと中堅コンビニエンスストアのセーブオン(前橋市)は1日、「セーブオン」ブランドのコンビニを「ローソン」に転換すると発表した。セーブオンは群馬県や栃木県など関東を中心とした6県で503店舗(2016年12月末)を展開しており、このうち長野県を除く5県の501店舗が対象となる。今夏から転換を始め、18年末までに終える計画だ。 セーブオンのコンビニ、「ローソン」への転換を発表  日本経済新聞 2017/2/1
500店というとかなりの規模のように思えますが、それほどの規模を持ったコンビニチェーンでさえ、ローソンへ転換してしまうのです。

このように、ローソンやファミリーマートは非常に勢いがあるように見えます。

しかし、このような急拡大を志向することはセブン―イレブンほどの規模がないという事に対する危機感の裏返しであると考えることができます。

■規模の拡大が有利に働く

ではどうして、規模の拡大をそこまで追求するのでしょうか?それには、規模が拡大すればするほど競争に有利に働く局面が多くなるためです。

一例として、セブン―イレブン・ジャパンは1万9千店という店舗網に加え、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂、ヨークマートなどといったスーパーも抱えており、グループ全体で莫大な販売力をもっています。

この、販売力を背景とした価格交渉力は非常に大きいと考えられるため、同じ商品をほぼ同じ価格で販売していても、大手コンビニ各社では仕入れ値の差によって収益力に違いが出てくると考えられるのです。

また、規模が大きくなると同じ広告費を使ってCMをしたたとしてもその効果を享受する店舗が多くなるので広告宣伝が有利になりますし、配送ルートの最適化など物流面でのコスト削減効果も効いてきます。

このように圧倒的な購買力や規模を誇っているセブン―イレブンに対抗するため、大手コンビニ各社は店舗網の拡大を急いでいると考えられるのです。

■セブン―イレブンが戦端をひらいた?

規模が大きければ様々なコスト削減効果を享受することが可能となり、結果として収益性が高まるといった内容は特に目新しいお話ではありません。

しかし、セブン―イレブンがこの価格競争力等を活用して値下げ攻勢をかけ始めたのです。

報道では

セブン―イレブン・ジャパンは4月19日、洗濯用洗剤やオーラルケア用品などナショナルブランド(NB)の日用品約60品目を値下げする。値下げ幅は平均5%で、2009年4月以来8年ぶりの値下げになる。消費者の節約志向が一段と強まる中、販売価格をスーパーやドラッグストアなどの実勢価格に近づけ対応したい考えだ。 セブンイレブン、日用品60品目値下げ 平均5% 日本経済新聞 2017/3/29


また、注目すべきは以下の点です。同報道によると、

約1万9千店で商品を扱うことで、メーカーとの仕入れ価格を再考した。 セブンイレブン、日用品60品目値下げ 平均5% 日本経済新聞 2017/3/29


とあり、強大な購買力を背景に小売価格を引き下げるためにメーカーに対して値下げ交渉をしたことが示唆されています。

この規模の小売店となると、メーカーからの仕入れ価格は一方的に受け入れるものではなく、『再考した』と表現されるように、小売店側の意向である程度コントロールすることが可能となってくるのです。

消費者からすると、小売店の値下げは喜ばしい内容ですが、最大手のコンビニチェーンが率先して値下げを行うといった事は非常に大きなニュースです。

コンビニエンスストアといえば一昔前までは定価販売が当たりまえの業態でした。また、市場のリーダー的な企業は、市場全体が儲からなくなってしまうため価格競争を自ら仕掛けないといったセオリーがあります。

しかし、これらのことを無視して値下げに踏み切ったのです。

最大手のコンビニチェーンが値下げに踏み切ったという事は、コンビニ各社はセブン―イレブンに追随して値下げを行うか、あえて値下げを行わないで付加価値を訴求するかといった選択を強いられます。

ただ、いずれの方策をとるにしてもより低コストで企業運営を行えるような体制を築いていくことが重要になります。

このような状況が背景にあるため、ローソンもファミリーマートも規模の拡大を急いでいると考えれられるのです。

【参考記事】
■内部留保を活用しろなんてご冗談を。賃上げを目指すなら内部留保なんて考えずに利益の獲得に焦点を当てるべきです
http://okazakikeiei.com/2016/11/08/naibu2/
■翻訳アプリで接客時のデータを収集すれば、接客業で働く人が求められる能力が変わります。
http://okazakikeiei.com/2016/11/01/sekkyaku/
■ひとたび沖縄にセブンイレブンが出店されたら、沖縄のコンビニ勢力図が変わるはずです(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48968660-20160630.html
■恵方巻という食料品を大量に廃棄する行為は自らのブランド価値を貶めることになる(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/47753424-20160208.html
■適正な在庫水準を保つという商売の基本に忠実なら恵方巻の大量廃棄は防げる(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/50552626-20170131.html


岡崎よしひろ 中小企業診断士

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