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どうする東芝、どうなる東芝

日本の経済界に於いてその行方が注目される東芝を巡る動きは誰がそのキャスティングボードを握っているのか、それが今後注目されることになりそうです。一般企業であればそれは経営陣であり、それを株主と銀行団がサポートする形でありますが、今回、東芝が陥った泥沼の周りで公認会計士、東京証券取引所、経産省といった面々が駆け引きを行う中で東芝本体がもはや当事者能力を失いつつあるように見えます。

これはシャープが陥った問題と極めて似た状態にあり、東芝がこのままどこかに落ち着くとは思えない状況になってきました。

昨日、東芝の2016年10-12月期決算発表について公認会計士の意見書がないままで行いました。これは前回の決算発表延期の際に決算見込みを発表していますから目先、会計士からの意見は取れないと「諦めた」と判断してよいかと思います。

ただ、綱川社長の決算数字について「会計士のお墨付きがないけれど信じて欲しい」というのは甘えすぎです。会計士のお墨付きとは何か、といえば会社が作ったその数字が確かですよ、という証です。例えは悪いですが、押印されていない契約書に「文言は正しいので問題ありません」というのと同じです。法的問題はなくてもビジネス慣習的には受け入れがたいものがあります。

一般の方には会計士のお墨付きがどれぐらい重要なものか、なかなかお分かりいただけないと思います。いわゆる監査レポートは企業が銀行や証券会社などを介して資金調達をするにおいて絶対的に必要なツールです。日本では監査レポートがまだ重視されておらず、そんなものなくても銀行から借り入れできますが、海外ではまず無理です。

その上、私がカナダで銀行から新規資金調達した際、銀行より「こんな小さな監査法人のレポートではなく、もっと大きな会社に変えてくれ」と要求されたぐらいです。つまり、一種の保険のようなものなのです。

東芝は3月末年度決算を5月中旬に発表予定ですが、次の焦点はこれがどうなるか、であります。インタビューには綱川社長が「終わらない可能性がある」と述べています。仮に終わらない場合、決算月から通常3か月以内に開催される株主総会での承認がとれなくなる可能性が高いということであります。

この場合、監査レポートを待ち、株主総会の開催日をずらせばよいため、法的問題は生じないはずですが、株主保護という観点から問題が発生する可能性は当然あります。仮に監査法人と東芝側が「合意」に達しなかった場合、株主にまさか監査意見書なしに株主に「ご承認願います」とは逆立ちしても言えないでしょう。私が今日のタイトルで「どうする東芝、どうなる東芝」としたのはこうなっては誰が主人公なのかさっぱりわからないというニュアンスを含んでいます。

では東京証券取引所はどういう判断を下すのか、ですが、「東芝の上場廃止は影響力があるので」という理由でいつまでも引き延ばすことは通用しないとみています。待っても決算後3か月である6月末までに監査法人の意見書と株主総会の承認がとれるプロセスを踏めるかをその上場維持の最低限のハードルとするのではないでしょうか?

一方、経産省が絡むのは半導体会社の売却。日本企業の入札がなく、台湾の鴻海は3兆円規模の札を入れるという報道も流れています。一方、本命の一つ、アメリカのウエスタンデジタル社は昨年10月ごろは50ドルそこそこだった株価が現在86ドル台まで上げ、ほかの株式が軒並み足踏みの中極めて堅調な推移をしています。同社とは東芝はすでに協業している関係があり、同社への半導体会社売却は極めてナチュラルなのでしょう。

しかし、技術流出を恐れる日本としては経産省が半導体部門の全面売却ではなく、日本側のブラッドも入れたいという意向を示しています。アメリカ以外の企業なら技術流出を理由に売却すら許可しない可能性もあります。つまり、半導体会社の売却もこれから相当もめるわけでこれだけでもシャープが苦しんだあの時以上のドタバタが予想されます。

最近、倒産や破産を通じて消費者に直接的に影響を及ぼすケースが2件続きました。(旅行会社とエステです。)消費者マインドに経営不安を持つ会社を避ける傾向が強まれば東芝の既存のビジネスにも影響が出ないとは言えません。今のところ、「どうする東芝」を取り囲む関与者に消費者が全く含まれていない点はある意味、奇妙なケースでもありますが、消費者や顧客離れという事態が生じるようになればこれは上場云々から次のレベルの話となる極めてリスキーな状態にあるとも言えないでしょうか?

それにしても旧村上ファンドの人間が組成したエフィッシモは東芝の株式を更に買い増しして今や10%に手が届くところまで来ています。彼らの意図するところがどこにあるのか、それほど先読みできるほどこのドラマの行方は単純ではないと思います。

では今日はこのぐらいで。

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