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「投票に行かない層は後回しになる」NPO法人YouthCreate代表・原田謙介さんが語る 投票率向上活動のいま

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待機児童問題や奨学金など、若者に関わる政治課題が注目されているにもかかわらず、いまだ20代、30代の投票率は低いままとなっている。7月の都議選を前に、若者の投票率を上げるためにはどのような試みが考えられるのだろうか。長年にわたり若年層の投票率向上活動を行う特定非営利活動法人YouthCreate代表・原田謙介さんに話を聞いた。

2009年の政権交代前に比べると、政治に対する関心は下がっている

YouthCreate代表・原田謙介さん

—— BLOGOSで原田さんを初めて取り上げたのはOneVoiceCampaignを展開されていた5年前ですが、原田さんはそれ以前から若年層の投票率向上や政治参画に向けて活動されていたそうですね

原田謙介氏(以下、原田):最初に若年層の投票率向上を目指す学生団体「ivote」を立ち上げたのが2008年でしたから、かれこれ8年以上この活動を続けていることになります。ただ、ネット選挙運動解禁を訴えるOneVoiceCampaignのようなテーマの分かりやすい企画や、主権者教育や地域の政策を通して継続的に政治参加を呼びかける現在のNPO法人YouthCreateなど、やり方はその都度変えています。昨年の参院選では18歳選挙権の解禁もあり、今までは呼ばれなかったようなイベントや会議でもお話をする機会をいただきました。

—— 2008年といえば、民主党政権が誕生した2009年の前年になります。当時の学生は政治に関してどのような意識を持っていたのでしょうか

原田:当時私は大学3年生で、就活が始まる前に何か面白いことをやりたいという気軽な気持ちでivoteを立ち上げました。でも何をやっていいのか全然分からなくて、色んな資料を探したり、学生が集まるイベントに行って「選挙に行きますか?政治に興味ありますか?」と無理矢理話を振っていました。その頃はどの学生も「まあ、興味はあるかな」くらいの反応は示してくれていましたね。政治に関する報道が多かったのもあって、関心は高かったです。

—— 2008年頃に比べると、現在の状況はどうですか

原田:政治に対する関心はやはり下がってきていると思います。2009年の選挙で政権交代はしたものの、あまりうまくいかなかったのでがっかりしているというか。ただ、そこが日本で初めての本格的な政権交代だったわけですから、それで終わりになってしまうのはもったいない。国民が投票することで政治を動かせるという雰囲気は作っていかなければならないと思います。

選挙時のメディアの取り上げ方は「もったいない」


—— メディアは注目度の高い選挙があると「若者の政治参加」という文脈で様々な活動を取り上げます。原田さんが代表を務めるYouthCreateも幾度となく取材を受けていると思いますが、メディアの取り上げ方についてはどうお考えですか。

原田:メディアの取り上げ方については、もったいないなと思うこともあります。選挙があると沢山のメディアにYouthCreateを取り上げていただけて、それはそれでありがたいのですが、8年前にivoteで取材を受けたときと内容が変わっていないんですよね。

何年経っても最終的なアウトプットは「学生や若者が投票を呼びかけています。新しい取り組みです。」というような内容の記事になることが多い。でも、変わっていることも色々とあるんですよ。以前取材していただいた学校現場での主権者教育や、若者同士での政策論争など、取り組みレベルでも変わっていますし、ivoteを立ち上げた頃に比べれば投票率を上げるための活動をしている団体も増えてきています。

—— 原田さんが代表を務めるNPO法人YouthCreateが行っている若年層向けの投票率向上活動について教えて下さい

原田:YouthCreateでは「Voters Bar」といって、地域に暮らす若者と地域の政治家が直接話し合える場を作っています。これは政治を届けるというよりも、政治家を市民に届けるという意識を持ってやっていますね。気をつけているのは政治家を「偉い人」だと感じさせないようにすること。そのために学生時代の失敗談を議員の方に話してもらったりしています。

原田さんが代表を務めるNPO法人・YouthCreate

—— Vorters Barを続けていく中で感じたことはありますか

原田:一番思うのは、全く政治に関心がないという人にはアプローチできないということです。記事を書いてもイベントをやっても難しい。そのためYouthCreateのイベントでは「街の問題や政治のことはよくわからないけど、ちょっと気になっている」という人を対象にしています。最初は硬い雰囲気になることも多いですが、参加者が打ち解けてくると色々な意見が出てきて面白いですよ。

—— 原田さんは出前授業という形で、高校生と政治について考える主権者教育も行っていますよね。学校では政治に対する興味のあるなしに関わらず生徒が授業に参加することになると思いますが、そのような場ならではの難しさはあるのでしょうか

原田:主権者教育は強制的に政治のことを考えてもらえる場という意味では貴重ですが、政治的な中立性をどこまで守らなければいけないのかというのが難しいところです。日本では教員が個人的な主義主張を言うことは禁じられています。とはいえ、政治的な話をすることが禁じられているわけではないので、個人的には、もう少し先生の判断を尊重してもいいんじゃないかと思っています。高校生くらいになると判断力も付いてくるので、先生が多様な意見やニュースを提示していくことで考えを深めていくのではないでしょうか。

YouthCreateが行っている出前授業のようす

原田:教育現場の話でいうと、昨年18歳選挙権が認められて、学校は公職選挙法をものすごく気にするようになっています。たとえば高校3年生の18歳と17歳が混在しているクラスで、数班に分け各政党の政策を調べてまとめていく。そして発表の際に17歳の生徒が勢いで「○○党をよろしく」というと公選法違反になるというんですよね。もちろん厳密には有権者ではない人の選挙運動は禁じられているのすが、そこを厳しく見ていくと、何の面白みもない授業になってしまう。せっかく生徒が調べたんだから、それくらい言わせてあげてもいいんじゃないかとは思いますね。

それと、やはり学校というのは生徒しかいない場なので、多様な意見を取り入れていく必要があると思います。高校生が想像できる範囲というのは限られているので、政治家に学校に来てもらったり、外部の人とグループワークをしてもらうというような事例も増やしていきたいですね。

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