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アマゾンGOの衝撃 テクノロジー主導経済の未来 - 川手恭輔(コンセプトデザイン・サイエンティスト)

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 世界の貧困問題に取り組むNGOのオックスファムは1月16日、格差問題に関するレポート『99%のための経済(An Economy for the 99%)』を発表した。それは「富める者と貧しい者の間の格差は、これまで考えられていたよりも大きく、世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有している」そして「格差拡大は、何億もの人々を貧困の中に封じ込め、社会に亀裂をつくり、民主主義をも脅かしている」と報告している。

 世界中で大論争を巻き起こした『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティも、世界中で富の分配の不平等化が進んでいると指摘したが、その原因は「資本収益率 > 経済成長率」になっていることにあるという。

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 資本収益率と経済成長率の2つの差が開けば開くほど、それが長ければ長いほど富の分配の不平等化が進み、資本を持っている側は所有資本をどんどん大きくする一方で、労働者の所得はさほど上昇しない。アベノミクスでは富裕層や大企業への減税策を「それらから溢れ出た富が人々を豊かに(トリクルダウン)する」と正当化してきたが、その気配は(当然のことながら)まったくない。

 フォーブスが3月20日に発表した2017年版世界長者番付によると、過去23年間で18回目となる首位に輝いたビル・ゲイツは、資産総額を昨年の750億ドルから860億ドルに増やした。3位のアマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾスの資産総額は728億ドル(276億ドルの増加)、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグは560億ドル(114億ドルの増加)で5位となった。グーグルのラリー・ペイジ(資産総額407億ドル)とセルゲイ・ブリン(同398億ドル)は12位と13位につけている。

テクノロジー主導の経済が新たな不平等を生む

 ピケティは「富の継承(相続)が人々の社会的かつ政治的運命を決定する世界」へ逆戻りすることを警告したが、富の配分の不平等化の主な原因はテクノロジーになりつつある。テクノロジー主導の経済は、才能と運を持った少数の勝者への報酬を莫大なものにしている。ピケティは既存企業のトップ(スーパーマネージャー)が、お手盛りで業績とリンクしない高額の報酬を得ていると指摘したが、テクノロジー主導経済のスーパースター達は革新的なサービスとビジネスモデルのアイデアを実現した。

 テクノロジー主導経済の中心となっているインターネットのビジネスでは、勝者がほとんどすべての果実をとっていく。いったんある領域のサービスの勝者が決まると、それ以外の企業の類似のサービスは生き残ることが難しくなる。他の企業が新しい機能や仕組みを開発しても、勝者はすぐにそれらを自分たちのプロダクトに追加してしまう。もっとも利用されているサービスを容易に利用できるのに、人々が2番目のサービスを利用する理由は少ない。かろうじて言語や規制などの理由から、地域ごとのビジネスが成立するだけだ。

 さらに資本主義の本質とは異なり、テクノロジー主導経済においては「価値と富の交換」が不平等になっている。グーグルやフェイスブックなどのネットワーカーのビジネスモデルでは、パブリッシャーはコンテンツを無償で提供し、その無償のコンテンツにアクセスするコンシューマは、そのトラフィックを無償でネットワーカーに提供する。

 ネットワーカーはそのトラフィックを広告主に提供して莫大な対価を得る。ネットワーカーが提供する検索エンジンやソーシャルネットワークの利用と交換に、パブリッシャーやコンシューマが大きな価値を提供し、最終的にネットワーカーだけが対価を得るという「わらしべ長者」のようなモデルによって富がごく少数のネットワーカーに集中する。このようなビジネスモデルでは、価値の創造と維持そしてそれを人々に届けるために必要となる、対価を伴う労働機会が非常に少ない。

テクノロジーによる雇用の破壊が進む

 オバマ政権末期のホワイトハウスがまとめた『人工知能、自動化、そして経済』というレポートは、「自動化によって脅かされている仕事は、低賃金、低熟練、低教育の労働者に集中している。これは自動化が賃金をさらに引き下げ、経済的な格差を拡大し、このグループの労働力の需要を縮小させることを意味している」と警告している。人工知能の技術の発達によって自動化が加速し格差がさらに拡大する。

 このレポートは、自動運転によって220万人から310万人の雇用が奪われるだろうと予測する。これには比較的高給の超大型トラックの運転手170万人が含まれている。黒煙を吹き上げながら広大なアメリカ大陸を駆け抜ける通称ビッグリグ(BigRig)と呼ばれる超大型トラックが、無人あるいはほとんどの行程を自動運転で走行するようになれば、運転手が休憩のために立ち寄るドライブインも閑散としてしまうだろう。かつてウォルマートが多くの小売店や町工場を廃業に追い込んだとき、小売店や町工場が利用していた、地域のサービスや金融会社なども姿を消してしまったように、雇用の破壊はその周辺にも大きな影響を与える。

 そして現時点でのテクノロジー主導経済の勝者は、人工知能を開発するための世界中の知能(人材)を買い漁っている。近年、人工知能はディープラーニングという技術によって飛躍的に進化し、インターネットの次の、あらゆる経済活動で広く用いられる重要なテクノロジー(GPT)になる可能性を帯びてきた。すでに彼らは検索エンジンやソーシャルネットやEコマースを利用するユーザーから収集した、ディープラーニングに必要なビッグデータを所有している。

 MIT Technology Reviewの編集者デビット・ロトマンは「1700年代に産業革命が始まって以来、テクノロジーの進歩は仕事の性質を変え、その過程でいくつかの種類の雇用を破壊してきた。1900年にはアメリカ人の41%が農業に従事していたが2000年には2%になった。同様に、製造業に雇用されているアメリカ人の割合は、第二次世界大戦後の30%から約10%に低下した。それは1980年代の自動化の増加によるものだ」と述べている(2013年6月)。そして次は、人工知能によって可能になる新たな自動化がサービス業の雇用をも破壊しようとしている。

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