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人口減に備えた「新おもてなし流儀」

日本の旅館といえば仲居さんが「この部屋を担当させていただきます…」という口上から始まる手厚いサービスが売り物ですが、20年後にはそんな時代もあったな、とつぶやいているかもしれません。いまや、多くのホテルの朝食はバイキング方式。理由はご飯派やパン派など多様化する食生活に対していつまでもアジの開きに味噌汁では機能しないのであります。ですが、真相は従業員を最小限で回すという効率化が秘められています。

飛行機のキャビンアテンダント。乗る度に思うことは「このサービスは必要なのだろうか?」という疑問であります。いざという時の乗客の安全誘導などの意味はあるものの基本的な業務とは頭上の棚の扉の確認、シートベルト確認、飲み物や食べ物の配膳であります。この業務を極力少なくする方法があるとすれば頭上の棚の扉やシートベルトがきちんと閉まっていなければ警告灯なり手元のスマホなりで分かる仕組みにすればいちいちCAが歩き回る必要はありません。国内線の飲み物サービスなんて乗る前に水のボトルでも置いておき、欲しい人が勝手にとれば十分です。

日本では労働力がどんどん減少していきます。減る労働力に対して企業が成長戦略を得る方法は限られます。徹底的な効率化か資本力を生かして海外に打って出ることでしょう。海外の話はともかく、国内における徹底的効率とは何でしょうか?

先日、池袋の街を歩いていたところ、おいしそうなアップルパイの匂い。そこはいつも長蛇の行列ができる数坪の店なのですが、たまたまほとんど客がいません。アップルパイという年頃でもないのですが、私と似た年代のサラリーマン氏が一つ買って店の前で立ち食いしていたので私も釣られて店に入ると商品はたった一種類。迷うことなく私も一つ購入すると後ろに並んでいた別のサラリーマン氏が「僕も一つ」と注文する声に「この店はもはや女子校生のものではない」と心で叫んでしまいました。

いや、話の趣旨はたった一種類しかない商品だから最大効率で売りまくるということです。たしか、池袋の駅の構内にメロンパンだけ売っている店もあったと思いますが、この発想が大事なのでしょう。カナダのオフィス街に多店舗展開しているサンドウィッチ屋がありますが、この店も確か4-5種類しか商品がなく、列に並ぶと店員が「あなた何?」で非常に簡単にコトが済みます。

かつてサービスとは個人の好みを徹底して追及してそこまで選ばせるか、というスタイルが流行りました。北米のレストランなど行けばステーキの横の添えものは何がいいか、スープかサラダか、サラダならドレッシングは何がいいか…と延々に質問攻めされました。サンドウィッチの「サブウェイ」に私が行かなくなったのは聞かれることが多すぎて注文が面倒くさいからです。これが今後、大きく転換し、よりシンプルになる、ということでしょうか?日本はもっと先進的になるべきでしょう。

そんな効率化が進む中で労働力に頼らなくてはいけないのが流通会社。そしてその雄、ヤマト運輸は次々と「流通新ルール」を打ち出していますが、今度は同社のお得意様であるアマゾンの当日配達から撤退することにしました。あの3900円アマゾンプライムの危機でありますが、当面は日本郵政でカバーできるようです。

配達サービスが過剰になれば顧客は甘えます。自分で取りに行くのが当たり前だったあの時代から玄関先まで指定時間にピンポーンと配達に来てくれるその仕組みの元祖といえば宅配ピザ屋でありましょう。

その宅配ピザ、価格表を見るとかなり高いのに閉口している方も多いでしょう。4-5000円もするピザなんて私は頼めません。私がたまに行くスーパーでは30センチ近い冷凍ピザが1枚200円以下で売っています。「粉ものビジネス」なので原価率は知れているのです。宅配ピザ屋は宅配のバイクスタッフにお金を払っているようなものであり、その配達サービスで儲けているようなものでしょう。その証拠に店に買いに行ってもほとんど値引きはありません。宅配が減るからです。

つまり、アマゾンが自社で宅配部門を持っていれば逆立ちしても3900円アマゾンプライムという商品は開発されなかったはずで、ヤマトが市場価格の半額程度で請けているところにアマゾンの驕りと甘えがあったのです。

ヤマトの窮状は宅配に対する世の中の姿勢が変わるきっかけになるかもしれません。いや、それだけではありません。宅急便につきもののあのしっかりした梱包は何でしょう?「もったいない」だけど転用も利かないのがあの段ボール。この辺りになると日本人はおもてなされすぎて甘えているようにすら感じます。

「もてなされる」とは本来は知り合いや親せき、更には旅館などで上げ膳据え膳にしてもらえる「お客様扱い」とほぼ同じであります。もてなされると言われれば聞こえはいいのですが、お客様扱いとは決して誉め言葉ではありません。

少子化に備えるおもてなしとは自分で出来ることは最大限こなしながら出来ないところをフォローしてくれる優しさなのだろうと思います。2020年オリンピックの誘致のキーワードは「おもてなし」でしたがこれも時代と共に変質化するとすれば2020年における本当のおもてなしがどうなっているのか、興味あるところです。

ではきょうはこのぐらいで。

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