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目的と手段

  トランプ大統領は就任直後、イスラム圏7か国からの入国を制限することを命令しました。テロ対策のために入国審査を厳格化するためということでした。対象になったのは、シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの国民です。

  しかし、たとえば9・11テロ事件の犯人はサウジアラビア、UAEなどの出身者であり、サウジ人などは制限の対象ではないなど、一貫性がありません。また、大統領令は難民定住プログラムの120日間の停止とシリアからの難民受け入れの無制限拒否も含まれていますが、米国内で難民がテロを起こしている事例はほぼ皆無です。

  また、トランプ政権はIS(イスラム国)打倒を中東政策の最優先事項であると言っていますが、対象7か国の国民を無差別に入国禁止することは広く中東諸国の反感を買い、IS打倒策に負の影響を与えるでしょう。

  3月6日、当初対象国に含まれていたイラクを除外しましたが、依然として6か国を対象とした入国制限は続いています。テロ対策としてはピント外れとしか言いようがありません。彫刻刀で魚をさばくようなもので、達成しようという目的と手段の間のバランスを失しています。

  わが国においては、テロ対策を口実にして、過去3回廃案となった「共謀罪」の成立を画策しています。4月6日、共謀罪を「テロ等準備罪」に罪名を変えた「組織犯罪処罰法案」の審議に入りました。トランプ大統領は目的と手段の関係をよく考えられない人かもしれませんが、安倍総理はテロ対策という名分の下、共謀罪の危険な本質を隠蔽しようとしているのではないでしょうか。

  総理は、今年1月の衆院本会議で「国内法を整備し、条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」と答弁されました。一方、オリンピック招致のため、ブエノスアイレスで2013年に行った演説では、「2020年を迎えても世界有数の安全都市、東京で大会を開けますならば、それは私どもにとってこのうえない名誉となるでありましょう。」と高らかに宣言していました。国の内と外で全く異なった発言をしています。

  真のテロ対策は必要です。テロに対して手薄な個別分野を強化する法整備を否定しません。しかし、テロ対策を名目にして包括的で不明確な共謀罪を設けることは、国民の言動を過度に委縮させ、思想や活動、内心の自由やプライバシー権など基本的人権を侵害する可能性が極めて高いと言わざるをえません。

  自民党の平沢・広報本部長は次のような主旨の事を語っています。

  「今回の法律が通れば、捜査当局の市民に関する監視の目が強まる。メールやLINEを傍受することも将来的に可能性はある。犯罪者の周辺にいる人物には迷惑がかかるでしょう」と。これが真の狙いです。断固として廃案をめざします。

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