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筒井康隆氏の「慰安婦像ツイート炎上事件」をどう捉えるべきか?

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筒井康隆氏の初期著作『農協月へ行く』『脱走と追憶のサンバ』(共に初版本、筆者蔵)

・筒井康隆氏の記述、何が「問題」となったのか?

作家の筒井康隆氏が、自身の運営するブログ「笑犬楼大通り 偽文士日碌」における、4月4日の記述の一部が同氏の公式ツイートに転載され、それがすわ国際問題ともいうべき波紋・炎上の様相を呈している。

問題とされた筒井氏の言及内容は以下の通り。

長嶺大使がまた韓国へ行く。慰安婦像を容認したことになってしまった。あの少女は可愛いから、皆で前まで行って射精し、ザーメンまみれにして来よう。

出典:筒井康隆氏のツイッター(2017.4.6)

これに対し、ハフィントンポストは早速韓国からの猛烈な反発を報じ、国内からも鋭敏な反発の声が上がっていることを報じた。

記事中には「国内からの反発の声」として、「筒井康隆といえばブラックで不謹慎な作風で、本人はその延長線上としか考えてないのかもしれないけど、こういうことを言わせちゃうのが今の日本の雰囲気なのでしょうね(@yoox5135)」とか「筒井康隆の芸風は、世の中で「善きもの」とされる全てを、「エロ・グロ・ナンセンス」に落とし込む事…(@LenyIza)」、あるいは「筒井康隆ってもともと差別大好きな人だと思っていたからなあ。別に今、おかしくなったわけじゃない。そして戦後昭和の時代から日本はずっとこの手の差別大好きな人を”タブーを破る過激な人”と称して褒めそやしてきただけだよ(@althusser723)」(同上)などと市井のユーザーの声を紹介しているのである。

これに加えて作家の北原みのり氏のコメント「性的なことを暴力的に表現することが、自由な精神とリベラルであることの証、というお気楽さで、戦後の男表現者って食えたんだよね。今もそうだと勘違いしているのは、お気の毒としか言いようがない。#筒井康隆(@minorikitahara)」なども網羅し、筒井氏の今回のコメントへの全面的なバッシングが国内で沸き起こっていることを示唆しているかのごとき内容である。

確かに、そのお怒りはごもっともと言うべきであろうが、少し冷静になって筒井氏コメントの背景を探っていこうではないか。

・ツツイストからの反論

さて、かくいう筆者は青春時代からツツイスト(筒井康隆氏の熱狂的なファン)を公言してきたものであり、筒井氏の著作はそのデビュー作『お助け』(『にぎやかな未来』角川書店・収録)以降、ほぼすべての作品を通読しているのであるが、今回の同氏のツイートにおける特に国内からの反発をみるにつけ、上記のような嵐の如く(に思える)批判は、慰安婦問題の当事国・韓国からの反発はまずまず政治情勢を鑑みてともかくとしても、国内からのそれは、まったく筒井氏の作風を理解していないお門違いのものであると言わざるを得ないのが正直な所感なのである。

おそらく上記のような「国内からの批判の声」のほとんどは、筒井康隆氏の作風を正確に理解していないもの、あるいは筒井康隆氏の作品自体を読んだことがないのか、あるいは読んでいたとしてもごく最近のもの・或いは有名なものしか読んでいないのであろうという印象を持つ。私を含めた日本国内における多くのツツイストの諸賢は、上記のような筒井氏による「慰安婦像ツイート」は、同氏の作風から考えれば、至極「通常運転」たる「筒井的」な世界観の開陳であると思わざるを得ないし、このような同氏ブログの数行における記述が政治的イデオロギーと結びつけられ、総バッシングされるという現下の状況こそ、反骨・反権威の作家たる筒井康隆が最も忌み嫌う風潮であることぐらいは、十分に承知している筈であろう。

今回、筒井氏の公式ツイッターは、該当部分のみをツイートした個所は削除されているというが、ブログ原本の方は公開されたままである。慰安婦問題の是非や日韓関係は兎も角として、韓国や「国内」から批判される「筒井康隆氏の作風」が、如何に上記の様に誤解され、屈曲されたものであるかを以下少し検証してみたい。

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