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アリバイ作りのコスト

 今年も4月になりました。勤め人にとっては異動の季節ですけれど、皆様の職場はいかがでしょうか。私の勤務先では例年以上に大幅な人員のシャッフルが行われることになり、職場は大混乱です。部門の実権を握っている人と、その取り巻き連中こそ不動である一方、東京の本社勤務の人間が一斉に地方へと飛ばされ、入れ替わりで地方の人が東京にやってきます。要するに「東京と地方で人を入れ替えただけ」ですので人員数としてはどこの拠点も増減はありません――が、人を入れ替えるのにも時間やコストは当然ながら、かかるわけです。

 男性正社員は必ず転勤させる、という日本社会の常識に染まりきっているところもあるのでしょうけれど、それが奏功しているかどうかは今以て判然としません。それはもう、特定エリアの拠点にテコ入れするため、あるいは撤退するときなどは転勤も必要にはなるのでしょう。しかし、東京の人間を名古屋に移動させ、名古屋の人間を東京に移動させる、この人事が会社に何か利益をもたらすのか、そこは人事権を持つ人の希望的観測や思い込み以上のものはないように思います。

 特に私の勤務先なんぞは給与以外の福利厚生が親会社の水準に合わせてあるせいか、転勤関係の手当はムダに手厚かったりします。もちろん転勤する人にとっては転居に伴うコストが埋め合わせされるだけですが、会社が費やす費用は大きく増大するわけです。社員を転勤させればさせるほど、会社のコストは嵩みます。ならば経営合理化の一環として転勤を減らす、それでコストカットを計るのも合理的ではないかと、そんな風に自分は感じました。

 私の勤務先で異動が例年以上に多かったのは、たぶん会社の業績が悪いからです。会社の業績が悪いから、役員は親会社への言い訳を用意しなければならない、そのためには東芝風に数値を膨らませることもさることながら、「改革しています」というポーズを取る必要も出てくるのでしょう。「経営改善に向けて大幅な組織変革を行いました」と、そうやって将来に向けて対策を採っているフリをするわけです。しかし、そのアリバイ作りのために要するコストは決して小さいものではありません。

 前にも描きましたけれど、気象予報士に「明日は晴れです」と「言わせる」事は出来ます。しかし、明日の天候を晴れにすることは誰にも出来ません。会社経営も然り、お偉いさんが部下に「(目標達成)できます」と言わせてはいるのですが、それが現実になることは滅多にないわけです。東芝よりは規模が小さくとも、似たようなことをやっている会社は日本中いくらでもあることでしょう。しかし、「明日は晴れです」と言わせたところで明日が晴れになったりはしないのです。むしろ必要なのは、明日の天気が悪くなることを受け入れて適切に対策を立てることの方でしょう。しかるに会社で偉くなるような人ほど、青い鳥なんていないという現実を受け入れたがらないようです。現実を直視できない人に権力を与えるのが日本的経営なのだと考えるほかありません。

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