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遅刻の連絡をLINEでしてはいけない理由 ~社会人1年目の教科書:コミュニケーション編~ - 岩瀬 大輔

 遅刻の連絡を当日の朝にLINEで送ってもいいのか。

 新社会人の皆さんが職場の上司や先輩、社外の人とやりとりをする際に、世代間の認識ギャップがもっとも露呈しやすいのが、電話やメールなどを通じたコミュニケーションかもしれません。

 そこで、今回はこの問題について考えてみることにしましょう。

電話は相手の時間を一方的に奪う「暴力」?

 著名なコラムニストの友人が「電話は暴力」といった趣旨のことを主張していることを知り、おやっと思いました。メールやチャットが全盛の時代だからこそ、ときには敢えて一本の電話を入れることが、相手に嬉しい驚きを与える、気の利いたコミュニケーションに繋がると私は考えていたからです。つい先日も誕生日を迎えた先輩にサプライズで電話をかけ、笑いながら通話を終えたところでした。

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 当該記事を丁寧に読んで、彼女が言わんとしていることを理解しました。職業作家として見知らぬメディアの方から突然電話で取材依頼を受けるなど、執筆作業が中断されることを憂えていたのです。家族や親しい友人からお祝いの電話がかかってくることまでも否定したわけではないでしょう。

 問われているのは通信手段として電話がいいか悪いかではなく、「相手がどんな状況にいるか」「どんな形の対話を望んでいるか」「相手への気づかいは十分か」という、いわばコミュニケーションの基本に帰着するということに気がつきました。

 例えば、未だに電話をかけ合うことが日常である新聞・テレビ業界と、メールのように非同期コミュニケーションが主流となりつつあるオフィスワーカーでは、最適な通信手段は異なるでしょうが、互いへのちょっとした想像力と気づかいがあれば解決するのではないでしょうか。ネット企業であっても、メールやチャットよりも顔を合わせたり、電話で話しあう方が早いことが往々にしてあります。この場合は「時間ありますか」「電話できますか」と短いメッセージを送れば事足りるわけです。

圧倒的なコンテンツがあれば形式は気にならない

 経営者の立場では、案内状やお礼状は封書で送ることがまだ慣例となっており、日常的にお手紙を頂いたり送ったりしています。メールでご案内する場合は「略儀ながらメールにて失礼致します」と一言断ることになります。

 もう少し堅苦しくないやり取りであっても、ときには変化球で手紙や絵葉書などを送ることが粋なコミュニケーションに繋がるのではないかと考え、折をみて実践しています。受け手との距離感、言葉を交わすタイミング、便箋や絵葉書のデザイン、相手に伝えたくてたまらないメッセージ。すべてが程よく揃ったとき、心に残るやり取りが生まれます。

 一方で、こんなこともありました。先週のことですが、大学時代の友人から「渡米する機内で書いた」と心のこもった、長いメールをもらったのです。内容は、これまで交差してきたお互いの歩みをふり返りながら、友情に感謝するもの。比較的よく顔を合わせている間柄だけに、改めてこのようなメッセージをもらって、とても嬉しかったです。

 結局のところ、手紙であってもメールであっても、大切なのは肝心のメッセージに心がこもっているかどうかであって、それがどのようにパッケージングされて届けられるかは副次的なものに過ぎないわけです。直筆でも凡庸な内容であったらつまらないし、メールでもチャットでも温かければ思いは届く。自分なりに「圧倒的なコンテンツ」を作ることに注力し、余力があれば届け方にもひと工夫を施す、といったところでしょうか。

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遅刻の連絡をLINEですることはNGか?

 いよいよ本題に入ります。ここまで議論してきたことを前提にすると、遅刻の連絡を当日朝にLINEで送ることについては、どのように考えればよいでしょうか。

 これが満場一致で問題ないとされるためには、まず「連絡の受け手がリアルタイムでその連絡を確認できる」ということが不可欠の条件となるでしょう。普段からLINEを活用している人であっても、スマホを自席に置いたまま会議室で待っているかもしれません。確実に遅刻が伝わることが前提となるでしょう。

 加えて、相手がそのような連絡を受けて心情的にどのように思うか、ということへの配慮も必要でしょう。遅刻する理由を知りたいかもしれないし、一言お詫びが欲しいかもしれない。たとえ実務的に支障が無いとしても、人と人とのやり取りですから、相手が何かしら不愉快に感じるのであれば、それは配慮が足りないとの誹りを免れません。コミュニケーションはどちらが正しい、という問題ではないのです。

 それでは、遅刻する前日に、明朝の会議に15分遅れてしまうことを、遅刻の理由とそれによって生じうる不都合への対策、丁寧なお詫びと共にLINEで送り、それを確実に読んでもらう手配をしていたらどうでしょう。もはや、遅刻の連絡をLINEで送ってはならないという理由は見当たらなくなります。

 こう考えると、ここでもポイントとなるのは「電話かLINEか」という手段ではなく、相手に確実に伝わる手段を選んでいるか、受け取る人の気持に配慮しているか、ということであることがわかります。

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 拙著『入社1年目の教科書』では、「大切なことはメールを印刷して上司の机に置いておく」「メールを送った後に電話を一本入れておくといい」など、一見すると時代遅れにも思える記述があります。ネットベンチャーを経営する友人たちからは「昭和の話?」と笑われることもあります。実際、グローバルなテクノロジー企業に勤務している人がみたら考えられない内容であるかもしれません。

 それでも5年以上前に上梓した私の著書が35万部を超えて、今も新人用研修本として選ばれているのは、こういったコミュニケーションの考え方に共感する先輩や上司がまだたくさんいることを物語っているのでしょう。

 大切なのは職場のワークスタイル、そこで形成されている組織としてのコミュニケーションプロトコルに従うことです。結局のところ、「メールか電話か」の議論も、「相手が求めていることに合わせる」という人と人とのコミュニケーションの基本に立ち返ればいいということがわかります。

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