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【東芝、離婚の代償】

東芝の子会社のWestinghouseが経営破綻しました。Washington PostとNew York Timesの見出しはほぼ同じ。どちらもin a blow to nuclear power(原子力産業にとって打撃)と表現しています。

アメリカの主要紙は、■東芝と、Westinghouseに原発を発注した電力会社との間の協議の難航が予想されること、■雇用や安全保障にかかわるため、日米間の政治問題になりかねないこと、■天然ガスや再生可能エネルギーの値下がりで原発による電力の価格競争力が落ちる中、建設が途中になっている 4基の行方が不透明なことを伝えています。

またWestinghouseをstoried name(名高い)、あるいはonce-proud name(かつで高名だった)というノスタルジーで見ているのも同じです。

Washington PostのWestinghouse files for bankruptcy, in a blow to nuclear industry(WH破産法申請で原子力産業に打撃)では、WHが29日に連邦破産法11条を申請した結果、「原子力産業全体に打撃とり、アメリカで建設中の4基の原発の運命に疑問が出てきた」と伝えています。

さらに、2006年10月にWHとの"結婚式"で東芝が「原子力産業にとって新たな夜明け」と述べたことを振り返りつつ、「申請によって東芝とWHとの結婚に終止符が打たれた」としています。

さらに、トランプ大統領がオバマ前大統領の地球温暖化対策を撤回した時期と重なるというタイミングに注目し、前政権の政策が続けば原発に有利だったが、今後は安値の天然ガスが有利になるのではないかと指摘。

またWHの負債を■東芝が依然として負担する必要があるのか、それとも■建設を発注した電力会社が追加コストを負担することになるのか法的な問題が生じることを指摘しています。「その結果、地域の利用者の電力料金が上昇することもある」としています。

建設が途中になっているのは■スキャナ電力によるVCサマー原発@サウスカロライナ州と、■アメリカの政府保証も獲得したサザン電力ボーグル原発@ジョージア州です。

AP1000という最新鋭の原発はルイジアナ州のレイク・チャールズの工場で"モジュール"として製造され、「現地でレゴのように組み立てられるはずだった」(元規制当局者の話)ということですが、公文書によるとこの"モジュール"工法が失敗に終わり、現地で溶接しなおしたということです。

現在、ボーグル原発は当初予算より18億ドル、率にして29%オーバーしていて、工期が3年遅れていると指摘。

「東芝は以前からWHの売却先を探しているものの外国企業であれば、トランプ政権はそれを審査しないといけない」として、中国企業への売却が難しいことを示唆しています。

New York TimesのWestinghouse Files for Bankruptcy, in Blow to Nuclear Powerでは、「破産は自ら招いたもの(self-inflicted)」とばっさり。

東芝がWHを高値づかみさせられたという批判があったことを紹介した上で、どうしようもなかったことを3点指摘しています。

■電力需要の低迷と天然ガス価格の下落により原発の経済合理性が薄れたこと、■風力や太陽光など自然エネルギーの価格が下がり普及が進んだこと、■2011年の東京電力福島第一原発の事故で安全性に懸念が出たこと。

「日本はエネルギー安全保障の名のもと原発を推進してきたが、原子力産業における日本の存在感が薄れている(reducing Japan’s footprint in nuclear power) 」と指摘した上で、中国が勝者になる可能性があるとしています。

経営破綻の結果、WHの債権者である電力会社が資金回収する難しさを示した上で、「今やアメリカの原発を1基でも完成させられるのか不透明だ」ということです。

スキャナ電力とサザン電力は今後、新たな契約作り、長期にわたる訴訟、東芝とWHが支払えない損失の穴埋めを強いられるのではないか、としています。

ボーグル原発のあるジョージア州の公共サービス委員会のStan Wise委員長は、工事続行が現実的かどうか再評価を求めるとした上で「深刻な問題だ。電力会社が再度の承認を求めてきた場合、天然ガスや再生可能エネルギーとの電力価格の競争力を評価することになる」と話しています。

なお、WHが抱える債務のうち、トップ30が5億800万ドルにのぼり、建設会社のFluor, CB&Iのほか燃料供給会社のNuclear Fuel Servicesが含まれるということです。

Wall Street JournalのToshiba’s Westinghouse Electric Files for Bankruptcy Protection(東芝の子会社のWH、経営破綻)は、日米関係に重きを置いています。

破産申請の結果、東芝とアメリカの大手電力会社の間で決戦(show-down)が予想されるだけでなく、日米両国が原子力産業を重視しているだけに政府間に溝が生まれる(drive a wedge)ことを懸念しています。

とりわけお怒りなのがジョージア州のボーグル原発の建設をWHに発注したサザン電力のTom Fanning CEOだということです。

日本を訪れていたファニング氏は2月の日米首脳会談で安倍首相がトランプ大統領に対して雇用を創出することを約束したことを踏まえて、原発の完成は国際政治問題 (international political issue)だと表現しました。

約5000人が働いているボーグル原発は、追加負担はWH側が負うという固定価格契約のもとで完成を約束されており、「東芝には資金面、運営面のみならず、道義的な責任がある」ときつい一言。

一方、スキャナ電力は、VCサマー原発の追加負担が劇的に上昇すれば、2基の建設を断念する可能性を初めて示したそうです。

トランプ政権は静観の姿勢ですが、エネルギー省の広報官は「経営破綻の手続きについて、納税者、さらに国家にとってどう影響するのかを注視している」と話した、とのこと。

先のファニングCEOは、ペンス副大統領、ロス商務長官、ペリー・エネルギー長官と原発完成の重要性を話したそうで、「WHの経営破綻は国家安全保障の問題になる」と述べています。

これについてコロンビア大学のRichard Nephewフェローは、ファニングCEOはトランプ政権の■雇用重視と■たとえ同盟国であってもきつい姿勢をとる手法を熟知していると評価していて、日米問題になりかねないことを示唆しています。

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