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時間あたり賃金の高い業種はどこなのか? - 村山聡(中小企業診断士)

ここ数ヶ月、国会で議論が続いていた残業時間規制ですが、どうやらこれまで事実上、無制限に設定することが可能だった残業時間の上限を繁忙期に限り100時間とする方向でまとまりそうです。一方で、東京オリンピックを控え、繁忙が予想される建設・運送業種はこの規制の適用を5年間猶予するとの方針も出ています。

建設・運送業種といえば、従来は体力的な労働環境は厳しいが、稼ぎは悪くない業種というイメージがありましたが、ネット通販の拡大によるヤマト運輸の人手不足の話題を見る限り、特に運送業については、稼ぎの対価としての労働環境が限度を超えてしまっているのかもしれません。

また運送業種以外に、飲食サービス業種や、介護業種についても、その賃金と比較して、労働環境の苛酷さが指摘されています。

■業種毎の給与と労働時間を散布図でみると?

では、実際こうした業種と他の業種の給与と労働時間を比較すると、どのような状況になっているのでしょうか。

厚生労働省が実施する労働統計から、月間の就業時間と現金給与総額をピックアップし、散布図にしてみました。

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縦軸が月間給与(実際支払われた金額)(単位:千円)、横軸が月間就業時間(残業含む)です。またグラフ内の赤線は、全体の平均を示しており、月間給与の平均が、389.3千円、月間就業時間の平均が、162.6時間です。

こうしてみると、運輸業種を含む、運輸業・郵便業が唯一、月間就業時間が180時間を越えているにも関わらず、月間給与は平均以下であり、労働時間に対して給与が抑えられているといえそうです。
建設業も就業時間は、運輸業・郵便業の次に長く、労働環境は厳しいといえますが、給与については、運輸業・郵便業より10万円近く多く、やはり運輸業・郵便業の厳しさが際立っています。

■時間あたりの賃金で比較すると、どうなるか?

運輸・郵便業は別としても、散布図を眺める限り、就業時間と月間給与には、ある程度、正の相関が認められますが、実際に時間あたりの給与が高い業種はどの業種でしょうか?


業種             月間就業時間  月間給与  時間当たり給与
電気・ガス・熱供給・水道業    167.7    581.3     3.5
学術研究,専門・技術サービス業  166.8    520.0     3.1
金融業,保険業          167.2    515.9     3.1
情報通信業            175.3    519.2     3.0
教育,学習支援業         153.2    433.5     2.8
不動産業,物品賃貸業       148.5    385.4     2.6
建設業              177.5    458.5     2.6
鉱業,採石業,砂利採取業     170.5    420.3     2.5
製造業              171.4    408.9     2.4
医療,福祉            150.4    339.3     2.3
複合サービス事業         166     384.6     2.3
運輸業,郵便業          186.8    359.3     1.9
卸売業,小売業          156.6    294.7     1.9
サービス業(他に分類されないもの) 147.6    240.6     1.6
生活関連サービス業,娯楽業    154.6    216.7     1.4
宿泊業,飲食サービス業      141.2    150.0     1.1
平均               162.6    389.3     2.4
※月間給与、時間当たり給与の単位:千円

最も時間あたり給与のよい業種は、電気・ガス・熱供給・水道業です。景気の波を受けにくく、かつ競争が少ない業種であるため、安定的な賃金体系を維持できているのでしょう。一方で、景気の波の影響を受けやすく、競争が激しい宿泊業・飲食サービスの時間当たり給与は、電気・ガス・熱供給・水道業の30%弱しかありません。他の業種と比較して、単価が安く人的サービスの割合が高いことから、給与水準を上げにくいことなどが理由として考えられます。

■まとめ

このようにみていくと、その業界のビジネスモデルが就業時間や給与にそれなりに影響を与えているといえそうです。一方で、日本の給与体系は年功序列的な傾向がまだまだ残っており、上記の表で月間給与が高い業種も、実は年齢層が高いという可能性もあります。

また、この調査では、強制的か自発的かは別として、サービス残業については、おそらく把握できていないと考えられます。サービス残業が多いとされる運輸業や、飲食サービスは、この調査結果から分かる以上に時間当たり給与が低いかもしれません。

《参考記事》
■承認欲求が満たされない社会が原因?なぜ「一流」が書籍や記事で使われるのか?(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49594313-20160920.html
■働き方は「人並みで十分」と考える新入社員に教えたい人並みの給与額(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49126099-20160720.html
■テキストマイニングでわかる!経営理念、企業理念には何が書かれているのか?(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48670625-20160523.html
■新入社員のうちに覚えておきたい!仮説思考の重要性と重病性(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44386900-20150421.html
■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40838018-20140914.html

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