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NHK「クローズアップ現代」の一方的な放送に芸能プロが反論!

ある番組に出演した。

その番組のテーマの一つが「ブラック芸能界」だった。

労働や賃金に対して芸能界は「未だに無法地帯の業界」とし、一方では、ひとたびスキャンダルが発生するや、やれ記者会見しろ、やれ説明しろとメディアに追いかけ回されるばかりか、場合によってはテレビ番組やCMから降ろされ、中には引退にまで追い込まれることもある。さらに高額な「違約金問題」まで支払わされる…。

確かに、今年に入ってからも成宮寛貴、乃木坂46の橋本奈々未、江角マキコ、堀北真希、そして清水富美加などが相次いで「引退宣言」した。もっとも事情はそれぞれ違う。橋本や堀北の場合は契約をクリアした形での引退だったが、江角に関しては自ら巻き起こしたトラブルで〝休業状態〟だっただけに「わざわざ引退を発表する意味はなかった」とも。しかし、成宮や清水の場合は所属事務所との「専属芸術家契約」が問題となった。

それにしても、いきなり引退とは穏やかではない。かつては歌手で女優だった山口百恵が俳優の三浦友和と結婚したことで引退したのは有名だが、スキャンダルとしては、煙草を持ったニャンニャン写真が写真誌に掲載されたことなどがキッカケで引退した高部知子、「投資ジャーナル」の会長とのツーショット写真で〝愛人疑惑〟が話題となり引退に追い込まれたアイドル歌手の倉田まり子などもいる。宗教問題では歌手で女優の桜田淳子も知られたところ。振り返ると第一線で活躍しながら「引退」するケースは珍しくはないのだが、それなりに彼女たちには「引退」する明確な理由があった。

ところが、ここ最近はどこか曖昧と言うか、これといった大きな理由を感じない。と言うより、未練のカケラさえない。どこか開き直った形で平然とやめていく。

NHKクローズアップ現代「芸能人が事務所をやめるとき」

BLOGOS編集部

もっとも、2009年に表立った理由もなく引退した女優・桜井幸子もいたが、あまりに冷めてはいないか。まさに芸能界の新人類なのかもしれないが、こういった傾向はさらに増加していくのかもしれない。先ごろは、NHK総合のクローズアップ現代までもが「芸能人が事務所を辞めるとき」などといったタイトルで、この問題を取り上げていた。

NHKのクロ現では、事務所と実演家(芸能人)の契約問題に焦点を当てていた。発端は清水富美加と事務所との問題。もっとも清水の場合はややレアケースだろうが、番組の根本としては、経済産業省が安倍政権の〝目玉〟として推し進めている「働き方改革」に準じて「芸能人も労働者なのか?」と問うものだった。

番組では芸能プロダクションの団体「日本音楽事業者協会(音事協)」の規約の観点から、芸能人(実演家)は「雇用契約」なのか?それとも請負契約で「個人事業主」とみなすのか、という論点となっていた。もっともこの問題は「裁判所の判例が出ていない」ということで、現時点では曖昧な状況になっているとしていたが、番組の流れを見る限りでは、ことさら芸能事務所の契約方法に問題があるように見せていた。

実際、番組に対して「納得できない」という事務所がある。そこで番組の内容を検証してみると、偏った扱いになっていたことは明らかだ。番組では、アイドルタレントの宍戸留美を取材していた。

宍戸は、90年代から活躍しているアイドルだが、正直言って知名度的な部分を考えると、何故、彼女が取材対象なったのかも疑問が残ったのだが…。

それはともかく、番組の中で宍戸は、デビュー当時に所属していた「リバティーハウス社」に対して不信感を抱いていたことを明かしていた。因みに、リ社に所属していた期間は2年だったそうだが、その間に大手レコード会社から7枚のシングルと2枚のアルバムを発売、テレビ番組や写真集も発売してきたという。

ところが、その間、彼女の給料は「7万円だった」とし「衣装代も自分で支払っていた」と告白。さらに取材では当時、発売した写真集を開きながら「撮影の際にはヌードを迫られた」ことを吐露した上で、そういったリ社との方向性の違いから「フリーで活動をしていくことにした」と語っていた。しかも、フリーに転身した後、しばらくの間は仕事が全く来なくなったと言い、神妙な顔で「今、振り返ると干されていたんです」と結論づけていた。

なるほど、この部分だけを見たら視聴者の多くは「やっぱり芸能界はブラックなところ」と思ってしまうに違いない。ところが、彼女についてリ社に問い合わせると、番組内容とは違う実情が次々に出てきた。

芸能事務所「リバティーハウス」がNHKに抗議

放送直前、リ社が加盟する「音事協」に、宍戸のデビュー直後の映像を使いたいとNHKから許諾申請が来たという。音事協から連絡を受けたリ社は、早速、NHKの番組担当者に放送内容を問い合わせたところ、宍戸の取材をしたことを告げられた。そこで放送前日に東京・渋谷のNHK放送センターに行って、大まかな言動内容を尋ねたところ「明らかな誤認と誤解がある」ことが分かったそうだ。

そこで、リ社はNHKの担当プロデューサーとディレクターに事情を説明した上、さらに写真集の編集担当者や撮影カメラマンとも連絡を取った上で、彼女の言動は「事実誤認」で事務所の名誉を著しく損なうことになると訴えた。リ社の崎本則幸社長は言う。

「クローズアップ現代は、NHKの看板報道・情報番組であり業界内に与える影響も大きい。ナーバスな問題でもありタレントの一方的な取材ではなく、しっかり裏取りをしてもらわないと大きなトラブルに発展しかねない」。

ところが、実際の放送は「正直言って、我々の要望はほとんど聞き入れてもらえなかった」と憤りを隠せない。

「確かに給料が7万円だったというのは事実ですが、それはデビュー当時のことです。その後は仕事量に応じた金額を支払っていた」と反論した上で「衣装代にしても、私服とステージ衣装を一緒にすべきではない。それに、彼女は当社が契約している寮に住んでいたが、ある日突然に黙って出ていってしまった。写真集にしても内容に関しては、当時のアイドルでは一般的なものだったし、撮影の段階では彼女自身からもアイデアを出していた。そもそも当時、17歳だった彼女にヌードを強要するなんてあり得ない話です。彼女がフリーになったのも、話し合いの上で我々の方から契約を解除したのが正直なところですが、20数年も前のことを今になって持ち出してくること自体、理解できない」。

NHK側は、リ社に対して「対処します」と約束したというが、

「番組自体がプロダクションを悪者にしようという意図だったんでしょう。それに番組内で彼女は(仕事が来なかったことを)干されたと言っていましたが、それは勝手な思い込みでしかない。当社としても他の所属タレントとの信頼関係を揺らしかねないだけに見過ごすわけにはいきません」

 

と、崎本社長は怒りが収まらない様子だった。

 

現在、活躍する多くのアイドルが芸能界を夢見て、幾多の難関をくぐり抜け芸能事務所に所属し、その事務所の資金と売込みで知名度をアップさせていることは紛れもない事実。そういった中で、あるいは互いの間に意思の疎通が生まれ、結果として独立したり引退したりしていくこともあるだろう。ただ、そういった中で培って来たことや実績の上に現在の活動があることも確かだ。

芸能界は人と人との結びつきが大きい世界である。NHKが「芸能人が事務所を辞めるとき」とタイトルをつけながら、実際には問題を提起するのではなく、単なる興味本位で過去の出来事を意図的にでも蒸し返して新たなトラブルを巻き起こしたとしたら大きな問題だ。

そう言えば、宍戸がフリーになった同じ頃だったと思う。田原俊彦がジャニーズ事務所から独立した時にジャニー喜多川社長が「タレントは人に評価されて初めて存在が成立する、ということを、しっかり胸に刻み込んでください」とコメントしていた。

「なるほど…」と思える一言である。

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