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西陣の職人に「ブラック企業」のレッテルを貼る前に

京都の西陣織の職人の方がツイッターで弟子を募集したところ、その条件が「最初の半年間は給与が出ない」「その後の仕事も保証できない」というものだったので炎上する騒動があったようです。ブラック企業以下だという批判です。それで、さっそくツイッターで確かめてみました。
確かに、世間知らずをさらけ出して恥ずかしくないのかなと思ってしまう酷い内容の書き込みもありましたが、それがきっかけとなって、ずいぶんいいコメントのやりとりも展開されています。西陣織の現状を多くの人が知ることにもなったのではないでしょうか。

募集したご本人も西陣織の仕事だけでは生活ができないので、新聞配達なども行って生計を立てていらっしゃいますが、地域産業のあり方に一石を投じたツイートだと思います。書き込んだ人も西陣をご存じないからだと思いますが、職人さんは個人営業なので「ブラック企業」のレッテル貼りには違和感を覚えます。

なかには、「マーケティングの勉強をされるなり、NECや日立、富士通などマーケティング事業を展開する企業に相談などされるべきです」という前向きのアドバイスがありましたが、そこに書かれている「出来上がった」企業のスタッフが持つ能力でなにか役立つのかといえばかなり疑問です。逆に、大企業のスタッフに3年ほど無償で西陣に出向してもらえば、ビジネス創造のいい教育になるかもしれませんが。

伝統産業を復活させないと、職人さんの手取りも増えず、まして職人を育てるための投資などできるわけがないのですが、伝統産業の継承、再生という問題は、片手間仕事で解決できるほど簡単なものではないと思います。少しずつジャパネスクも世界に広がってきていますが、まだまだ産業化しているとはいえません。西陣でもそんな試みは起こってきているようです。一流を魅了する京の老舗 西陣織で世界のトップブランドとコラボ | 月刊「事業構想」2015年2月号 : 

伝統の手仕事を産業化し成功しているといえば、イタリアの織物産業とかスイスの時計が思い浮かびますが、商品化から販売までを仕掛けていくプロデューサーの存在が鍵になってくるのでしょう。それは職人の人の仕事というよりは、西陣の企業や組合の努力の問題ですが、「美しい日本」を掲げる政府が支援してもいい案件かもしれません。

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