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「変なホテル」の仕掛け人が語る「生産性を上げるロボットの使い方」 澤田秀雄氏インタビュー(HIS代表取締役会長兼社長、ハウステンボス代表取締役社長)

 接客や掃除など多数のロボットが働く「変なホテル」を考案したハウステンボス代表取締役社長の澤田秀雄氏。長崎県佐世保市で始まった「サービス業のロボット革命」の影響は、ホテル業界にとどまらず、国内外の様々な方面に波及していきそうな予感を漂わせている。

「変なホテル」のフロントにいる恐竜のロボット
(WEDGE・以下同)

編集部(以下、──)ロボットを活用し、人の手を極力使わない「変なホテル」が開業から1年半が経った。


澤田秀雄(HIS代表取締役会長兼社長、ハウステンボス代表取締役社長) 1951年大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。80年旅行会社(現エイチ・アイ・エス)を開業。96年スカイマークエアラインズを設立。99年エイチ・アイ・エス協立証券(現エイチ・エス証券)の代表取締役社長に就任。10年4月ハウステンボス代表取締役社長に就任

澤田秀雄:2015年7月の開業から1年半が経過した。ロボットは当初6種82台導入していたものが、現在では25種218台に、それにあわせて従業員は30人から7人にまで減らすことができた。3月中には6人になる予定。日中は2人、夜間は1人の勤務体制で、それをローテーションで回している。次は従業員を3人にまで減らすチャレンジをしたい。「変わり続けるホテル」を目指して「変なホテル」と名付けた。

──「変なホテル」では、どんなロボットが働いているのか?

澤田:フロント、床掃除、窓拭き、芝刈り、クローク出し入れ、客室への荷物運びなどのロボットがいる。

──実際にホテルを見てみると、フロントにいる女性と恐竜のロボットはインパクトがあるが、あとはロボット掃除機のルンバのような一般家庭にあっても違和感のないロボットが多い印象を受けた。

澤田:実は開業前、どのロボットを導入するか決めるため、かなりの種類のロボットを使ってみたが、9割方は使えなかった。動かす場合は常に隣に人がいて「介護」しないといけなかったり、3時間でバッテリーが切れたりするなど、実戦向きではないロボットばかりであった。

 そもそもロボットに従業員が行っているすべての作業を担当させるのは無理だ。技術面でのハードルが高いうえ、コストがかかって採算がとれない。人が行う作業の7~8割をロボットに担わせ、残りを人がやる、という思想が重要で、この考えに基づいて運営すると従業員が10人必要なところを2~3人にすることができる。


フロントから客室まで荷物を運ぶポーターロボット

──ロボットの導入費用とメンテナンス費用は。

澤田:細かな数値は公表していないが、開業後ロボットを積極的に導入しているホテルだということが広まり、以降はメーカー側が「是非うちのロボットを使ってくれ」と無償で提供してくれる場合がほとんど。定期的なメンテナンス費用が必要なロボットはコストがかかるため、はじめから導入しておらず、丈夫で長持ちするロボットを使用している。

 例えば、ロボットの導入に500万~800万円ほどかかったとしても、これは従業員1人を1年雇ったらかかる人件費と同程度のため、単純計算で2年目以降は黒字となる。「変なホテル」では需要が多くある時期に無理に値下げすることはしない。閑散期には価格を下げるが、ロボットを使用すると低価格でも勝負できるため、閑散期でも利益は出やすい。損益分岐点などは企業秘密だが(笑)。

 「変なホテル」の売上高、利益などの数値は公表していないが、これまで経営的にも順調にきている。稼働率は閑散期でも80%超、繁忙期は満室状態が続いている。


実際に宿泊してみると、それほど「変」だとは感じなかった。「変なホテル」はハウステンボスに隣接した場所にある

──見た目にもインパクトのあるロボットが多ければ、テーマパークのような面白みがある一方、店舗数を増やすことは難しいと思うが、「変なホテル」のロボットは実用的だからこそ、今後の店舗拡大が可能だと感じたが。


客室の様子。中央にいる「ちゅーりーロボ」に声で指示すると、照明のON/OFF、目覚ましアラームのセット、天気情報の取得などをしてくれる

澤田:3月15日に千葉県浦安市に2店舗目を開業し、その後も愛知県蒲郡市、大阪、東京などで開業していく。海外からの引き合いも強く、台北と上海への展開も計画している。3~5年ほどで100店舗の展開を目指している。

 都市部の「変なホテル」はビジネス仕様にするなど、店舗ごとにまったく異なるイメージにしようと考えている。フランチャイズやノウハウ提供といった形態も視野に入れている。将来的には1000店舗を目指す。

──ホテル以外の業態でもロボットの導入を検討しているのか。

澤田:例えばの話だが、スターバックスよりおしゃれな内装の居心地のよいカフェをつくることもできる。

 ロボットに頑張ってもらえば、1杯80円でも利益が出るだろう。年内には、「変なホテル」のなかに「変なバー」とでも呼ぶべきロボットバーを設ける予定だ。

──今年1月から本格的に動き始めた新会社「hapi-robo st(ハピロボ)」では何をしていく予定なのか。

澤田:生産性向上のためにロボットをどのように導入することができるかといったコンサルタント業務のほか、将来的には本格的なロボットを製作していく予定だ。シャープにいたエンジニアやIT企業の社長経験者を複数人採用した。今後、ロボットは事業の大きな柱になると考えている。


宿泊客の中にはロボットエンジニアもいたが、多くはいたって普通の旅行客であった

──コンサルタント業の想定クライアントは。

澤田:サービス業を中心に考えている。「変なホテル」もそうだが、ロボットを使うことの物珍しさでお客さんを集めるつもりはなく、実用的なロボットを使っていかに生産性を上げていくかということにこだわっていきたい。日本のサービス業の生産性は、ロボットを使うことでまだまだ上げることができる。

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