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<『文藝芸人』を読む>岡村隆史が目指したのは西川きよしだった?

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

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よしもと芸人が本気で勝負した「スペシャルな文藝春秋」と題した『文藝芸人』を読む。笑い飯・哲夫ほか多くの芸人が短編小説を書いているがあまり興味は無い。

筆者の目当ては「岡村隆史 恩師だけに明かした『心の病』と『お笑いの厳しい現実』である。大阪NSC(吉本の養成所)の講師・本多正識氏との対談である。

ナインティナインの岡村隆史は現在46歳である。筆者は『ジャングルTVタモリの法則』(TBS・1994〜2002)という番組で、上京したての岡村隆史に会った。この番組で岡村はタモリと一緒に料理をつくったが、その中でも切れのいい動きをするので筆者はたちまち岡村のファンになった。ただし、この時の岡村は料理をつくっている自分は本当にやりたいことをやっているのではないという風情であった。

今回の『文藝芸人』の対談で筆者には意外なことがふたつあった。

ひとつは、岡村がとんねるずを目指して芸人になったと語っていることだ。意外だが、この告白は筆者を非常に納得させるものでもあった。そもそもナインティナインは漫才で頭角を現したわけではない。とんねるずも、コントはやっていたが,それはあまりおもしろくなく、むしろ型破りの司会をすることで名を売ったのである。

【参考】<お笑いの変質>ダウンタウン以降の漫才はどこが変わったのか?

岡村は芸人と言うよりテレビ有名人を目指していたのだ。岡村の芸人としてのすばらしさは『動き』にあると筆者は思っているが、とんねるずに動きのおもしろさはない。ただ、司会志向と言うことでは同じなのである。

もうひとつ、もはや、漫才はやらないと思われている岡村だが、本多氏に台本を依頼している。理想は中川家やいとしこいしの漫才だという。「スッと舞台に立って自然にしゃべり出してそれが漫才になっている」これは大阪の正統マンザイということだ。

正統派漫才が出来て司会をするテレビ有名人、それが理想だとすれば、岡村の目指す人は西川きよしだということだ。

このふたつの事実を知って思ったのは、どうやら筆者は、岡村隆史という芸人を誤解していたようだということである。他人の期待と本人の希望は違って当たり前か。

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