記事

【読書感想】「週刊文春」編集長の仕事術

1/2

「週刊文春」編集長の仕事術

「週刊文春」編集長の仕事術



Kindle版もあります。



内容(「BOOK」データベースより)
人脈・企画・交渉・組織・決断・戦略など、現役編集長が裏側を全公開!すごい結果を出す、門外不出85の奥義。


 2012年から編集長をつとめている著者による『週刊文春』の仕事術。
 僕はこういうメディア側の人の熱意がこもった話を読むたびに、「やっぱり『知る権利』って大事だよなあ」とか、「大手事務所や政界の圧力に負けずにスクープを連発している『文春』頑張れ!」と思う一方で、「伝えられる側」の「追いかけられたり、バッシングされたりしてつらかった話」を聞くと「ほんとにこれを報道することが必要なのかなあ」と疑問になるんですよね。
 結局、どちらかが正しいとかいうよりも、記事そのものの面白さとか、対象になっている人物への個人的な好感度で、「正しさ」を判断しているような気がします。
 実際は、多くの人が、そんな感じなのだとも思うのです。


 これを読んで感じたのは、他の週刊誌はさておき、『文春』は、きちんと取材や裏取りをして記事を書いているというのと、大手事務所や政治家の「圧力」に屈しない稀有なメディアなのだ、ということでした。

 元巨人軍の笠原将生投手が野球賭博で逮捕された事件があった。2015年に失格処分になった後に、多くのメディアが彼にインタビューを依頼した。しかし、本人はどこにも応じなかった。
 週刊文春の記者は、何とか彼に食い込んで接触しようと考えていた。人づてにいろいろ調べていくと、笠原氏はカラオケバーでアルバイトをしていることがわかった。記者はそこに客として通い詰めた。歌ったり飲んだりしながら、笠原氏とだんだん顔見知りになり、「人と人」として仲良くなった。「今度麻雀しましょうか」という話になり、彼と徹マンまでしたという。
 そうして信頼関係が築けたところで「実は週刊文春の記者なんです」と告げた。笠原氏は当然のけぞったが、そこで「ウチで全部本当のことをしゃべってください」とお願いした。もちろんすぐに承諾してくれたわけではないが、自らも野球少年だったその記者の熱意が最後には通じた。笠原氏は「わかった。あんたいい人だし、信用できるからしゃべるよ」と言ってくれた。「ぼくも読売から直接ファンの人に向けてお詫びする機会をもらえなかったんで、しゃべります」と。笠原氏はそれだけではなく「じゃあ、後輩にもしゃべらせます」と、同じく失格処分になっていた松本竜也投手にも告白するよう説得してくれた。そうした取材の流れの中で高木京介投手の名前も出てきて、巨人軍の渡辺恒雄氏が球団最高顧問を辞任する事態にまで発展したわけだ。


 『週刊文春』の記者たちは、ここまで地道に取材対象に近づいて信頼を得て、スクープに結びつけているのです。
 でも、こういうのって、対象者も「実は記者だった、なんて、騙していたのか!」って怒りそうなものなのですが、そう思わせないくらい「いい人」なのか、それとも「しゃべりたい気持ち」もどこかにあるから、なのか。


 この本には、著者がさまざまな人や組織を取材していく過程で身につけたノウハウも紹介されています。

 大企業のトップや大物政治家など、大きな権力や影響力を持っている人には、秘書や広報など何人かの「取り巻き」が必ずいる。その取り巻きの赤でも最重要人物は誰なのかを、しっかり見極めないとダメだ。「誰を通すとすぐ本人に届くのか」「誰からの依頼だと断りづらいのか」。ホットラインがどこにあるのかを探るのだ。
 大きな企業には、秘書室にたいていベテランの女性がいる。この人がキーマンであることが多い。彼女を通せばいちばん話が早いのだ。これはよくある話だが、一般の社員はいかに彼女が重要人物かを知らず、「単なる一秘書」として平気で不躾な態度をとる。当然ながらその社員に対するネガティブな情報はすぐにトップに伝わってしまう。権力の在り処と、情報の流れを把握していなければ取り返しのつかないことになる。
 対外的な肩書きとは別に「トップに直結している本当のキーマン」が大きな組織には必ずいる。女性の秘書も含めて「裏広報」や「裏総務」のような百戦錬磨のベテランである。かつては首相官邸にもいたし、自民党の幹事長室にもいた。「トップが誰を信頼しているのか」「どのボタンを押すと直で通じるのか」を把握しておくことは、組織を相手に、あるいは組織の中で仕事をする上で極めて重要なポイントなのだ。


 ああ、この「秘書がキーマン」っていうのは、けっこう「偉い人によくある話」だなあ、と思いながら読みました。
 肩書きだけにとらわれて、こういう「トップに影響力を持っている人」をぞんざいに扱っている人って、けっこういるんですよね。


あわせて読みたい

「週刊文春」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    山尾議員の不倫相手は恥だと思え

    小林よしのり

  2. 2

    よしのり氏 山尾氏の謝罪に苦言

    小林よしのり

  3. 3

    北朝鮮の狙い通りに騒ぐマスコミ

    AbemaTIMES

  4. 4

    共産党のデマがはびこる堺市長選

    足立康史

  5. 5

    豊田・山尾問題は孤独が原因か

    幻冬舎plus

  6. 6

    ミヤネ屋インチキ医療特集に称賛

    中村ゆきつぐ

  7. 7

    正恩氏の下半身まで暴く名物記者

    PRESIDENT Online

  8. 8

    米紙 日本の慰安婦像抗議は過剰

    NewSphere

  9. 9

    早期解散する自民党の強迫観念

    吉崎達彦(かんべえ)

  10. 10

    加計学園 地元の今治市民がデモ

    田中龍作

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。