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北朝鮮によるミサイル発射実験 避難訓練と称する軍事教練 国民に「戦時下」という意識を植え付ける

 北朝鮮によるミサイル発射実験というはったり外交が今なお続いています。

 北朝鮮指導部は、人民支配にも行き詰まりがあり、かなり追い詰められた状態ですが、だからこそなお一層、対外的な煽り行為を行うことで活路を見出そうとしています。

 先般、3月6日、北朝鮮から発射されたミサイルが男鹿半島沖300~350キロ離れた日本海に着弾しました。

 またかという感じはしますが、何と政府はこれを口実に秋田県男鹿市で北朝鮮からミサイルが発射されたことを想定した避難訓練を実施したのです。

北朝鮮ミサイル想定し避難訓練 空襲体験の高齢者は」(朝日新聞2017年3月18日)

「北朝鮮が相次いでミサイルを発射しているため、政府や男鹿市が実施した。内閣官房によると、政府が武力攻撃を想定して住民避難訓練をするのは戦後初。」
「日本海に面した北浦地区。午前9時半すぎ、サイレンの後に男性の声が防災行政無線のスピーカーから響いた。「直ちに避難。ミサイルの一部が落下する可能性があります。屋内に避難して下さい」」

 これって本当に実践的に意味のあることでしょうか。

 別の朝日新聞は、このように伝えています。

「7分」でぎりぎり 秋田で日本初のミサイル避難訓練」(朝日新聞2017年3月19日)
「日本全土をほぼ射程に入れる北朝鮮の中距離弾道ミサイル・ノドンの場合、発射から着弾まで7~10分と日本政府はみている。発射したことを把握し、弾道を予測し、着弾先の住民になるべく早く伝えることが、避難には不可欠だ。

 今回の訓練では、住民が発射を3分後に知る。ゆったりとした暗い音程のサイレンに続き、「先ほどミサイルが発射された模様です」。首相官邸の情報が消防庁経由で自治体に伝わり、防災無線で流れる「Jアラート」という仕組みだ。住民らは掃除の手を止め、続報を待った。」

 さて、その数分の間にどこに避難するのでしょうか。防空壕ですか。台風や地震とは訳が違います。体育館に避難すれば足りるものではありません。ミサイルが爆発すれば一気に一帯が吹っ飛びます。ミサイルの爆発に耐えうるものでなければ避難しても意味はありません。

 さらに着弾地点も正確に予想できるのですか。
 そして、その着弾地点の半径~キロの住民を適格な場所に移動するよう「指示」ができるのですか。

 実際の避難訓練の様子です。

“北朝鮮ミサイル”念頭に避難訓練、秋田・男鹿市で実施」(TBS2017年3月17日)
「「さきほどミサイルが発射された模様です」(防災行政無線)
 「ミサイルの発射を伝える防災行政無線から1~2分が経過しました。住民は続々と避難を開始しています」(記者)
 政府と秋田県、そして男鹿市が行った訓練には市民およそ100人が参加しました。仮想の「X国」からミサイルが発射され、午前9時40分、男鹿半島の沖およそ20キロの領海内に落ちたとの想定です。
 ミサイル落下の情報は国からJアラート=全国瞬時警報システムなどで県と市に伝えられ、市は防災行政無線と、登録した市民へのメールで公民館と小学校への避難を呼びかけました。公民館では住民の代表が逃げ遅れた人やけが人がいないか確認しました。」

 ミサイルの着弾を想定しての避難先が公民館と小学校でした。ここに避難してどのような実践的な意味があるのでしょうか。どこに着弾すると想定しての公民館と小学校だったのでしょうか。

 さて、菅官房長官は、このように述べていました。

ミサイル落下前の情報提供「不可能に近い」 官房長官」(朝日新聞2017年3月13日)
「菅義偉官房長官は13日の記者会見で、北朝鮮の6日の弾道ミサイル発射をめぐり、日本周辺を航行していた船舶・航空機に発射情報を伝え終えたのはミサイル落下から約20分後だったと明らかにした。菅氏は「(ミサイルは発射)10分後に日本に到達する。その範囲で情報提供するのは不可能に近い」と述べ、落下前の情報伝達は困難との認識を示した。」

 そうでしょうね。ミサイル攻撃に対する防禦は先制攻撃だと言われていますが、避難訓練で対応できる次元のものではありません。

 しかし、政府はこれを全国に拡げていきたいなどと構想しています。
 これの意味するところは、国民に「戦時下」という意識を植え付けることにあります。

 危機を煽り、国民に緊張感を植え付ける手法は今に始まったものではありません。

 私は、このニュースをみたとき、1942年4月17日に初めて東京が米軍機の空襲を受けたとき、大日本婦人会の人たちが勇ましく気勢を上げていたことを思い浮かべました。

朝日新聞1942年4月19日朝刊『バケツ、火叩きの殊勲、我家まもる女子、街々に健気な隣組』

 戦時高揚のための常套手段ですが、今、安倍政権によって日本全土で「戦時下」が作り出されようとしています。

 断じて煽られてはなりません。

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