記事

<物故作家の作品は売れない?>作家と作品の距離は遠ければ遠いほど良い

茂木健一郎[脳科学者]

***

創造性とは、自分の中から何らかの「作品」が生み出されることである。

自分自身は「一人で世の中を流通する」といってもその様態には限界があるが、作品は自分から離れて流通することができるから、ある意味では自分を超えている。

すぐれた創作物は、世の中に出た時に自分から独立する。「あの人がつくった」という注釈なしで、すっくりと立っている。つまりは自分自身ではないものを生み出すのが、創造のプロセスなのである。

創造者から独立して存在し得るからこそ、創造物は価値を持つ。逆に言えば、たとえばモーツァルトの作品と本人の間にギャップがあるように、生み出した人と作品の間に距離があるものほど、信頼することができる。

【参考】もったいぶった大人ほど「創造性」から遠い

『接吻』などのクリムトの作品と、猫を抱いてこちらを見ている本人の有名な肖像写真の間にギャップがあるからこそ、ああ、このひとは本物なのだと信頼できる。逆に、いかにも、らしい、という作品は超えていないことが多い。

作品と本人の間にギャップがあるということは、つまり、作品とは時にしてデトックスなのかもしれない。本人にとって「毒」のようなもの、もはや体内にとどめておけないものを排出することが、結果として作品になるのである。

物故作家の作品はとたんに売れなくなると編集者たちは経験則から言う。作家が生きている間は本人というエンジンがあるが、亡くなってしまうと作品が独り立ちできていないのだろう。

作家と作品の距離は、遠ければ遠いほど良い。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

あわせて読みたい

「茂木健一郎」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    蓮舫氏こそ証人喚問を受けては?

    和田政宗

  2. 2

    籠池氏が嘘でも昭恵氏は捜査対象

    弁護士 紀藤正樹 Masaki kito

  3. 3

    "満足度の高い"車選びのポイント

    BLOGOS編集部PR企画

  4. 4

    タワマン買いたくない3つの理由

    内藤忍

  5. 5

    外国人の医療費踏み倒しが深刻化

    中田宏

  6. 6

    朝日新聞が廃刊したら誰が困るか

    幻冬舎plus

  7. 7

    "政治家関与なし"議員が資料公開

    和田政宗

  8. 8

    官僚が昭恵夫人の"犠牲者"に?

    櫻井充

  9. 9

    自民の"ワイドショー対策"が崩壊

    井戸まさえ

  10. 10

    証人喚問 100万寄付は本当では?

    小林よしのり

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。