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森友事案など

 石破 茂 です。
 奇怪な「森友事案(事件ではなく)」で今週も国会は混乱気味でした。火曜日の衆議院本会議における民進党議員の質問などを聞いていると、ただ感情的に絶叫するばかりで、あれでは議論は全く深まりませんし、本来の議題である物品役務相互提供協定(ACSA)には付け足し程度に触れるだけで、時間のほとんどを森友事案に費やしていたことも不見識と言わざるを得ません。
 
 本案件について、国民のほとんどは「何が何だかよく理解出来ない」というのが実感のように思われます。

 政府としては「何故今回、国は瑕疵担保責任を負わなかったのか」「ゴミの除却費用の算定をどのように行ったのか」「森友学園側が除却を適正に行ったか否かの検証はどのように行われるのか」などについてわかるように説明しなくてはならないでしょう。

 政府が「委員会ではきちんと説明している」といくら言っても、どんなに説明しても、理解が得られなくては疑問が増すばかりで、説明していないのと同じことになってしまいます。私自身、国民に対して得心のいく説明をしたいと思っているのですが、現時点でその域には達しておりません。与党議員がこんなことではいけないと自戒を込めて思っています。

 政治家の関与があったかも大事ですが、まずは一つ一つの事実の解明が優先されるべきです。政府を支える立場の与党こそがその責を負わなくてはならず、「自民党は逃げている」という印象を国民に持たれることは断じて避けなくてはなりません。

 来週23日木曜日には、衆・参の予算委員会において籠池氏の証人喚問が行われる予定です。場合によっては同氏が偽証罪にも問われる極めて効果のあるものとは思いますが、何をもってして「偽証した」と告発し得るのか、議院証言法のコンメンタールや判例の解説をよく読んでみなくてはなりません。

  私は籠池氏なる人に会ったこともありませんので論評する立場にはありませんが、私が覚える違和感の最大の所以(ゆえん)は、彼ならびに親族の不可思議な言動ではなく、「このような人が保守を名乗るのか」という一点に尽きます。

 故・江藤淳氏は著作「保守とは何か」(文芸春秋刊・平成8年)の中で「保守主義というと、社会主義、あるいは共産主義という主義があるように、保守主義という一つのイデオロギーがあたかも存在するかのように聞こえます。しかし、保守主義にイデオロギーはありません。イデオロギーがない、これが実は保守主義の要諦なのです」と述べておられますが、そのとおりだと思います。この本は自社さ連立政権時代に書かれたものですが、今読んでも示唆に満ちています。

 イデオロギーがないが故に、保守主義は奥深くかつ内省的なものであり、反中国や反韓国を唱えることが保守なのではない、というのは先般も申し上げた通りです。

 自衛隊の日報問題も、事実の早急な解明が最優先であることは論を俟ちませんが、文民統制の名のもとに政治家や官僚たちが制服自衛官たちにあまりに高圧的な姿勢で臨むべきではありません。

 実力組織は単に権威や権力で統制は出来ないのであり、法律・装備・運用・人員について可能な限りの知識を持つとともに、自衛官や家族の皆さんの共感と信頼を得る努力を最大限にすべきです。

 私自身、在任中精一杯の努力はしましたが、足らざるところは極めて多かったと反省しております。

 しかし同時に、誰が大臣であろうとも国の独立と国民の生命・身体を守るため、全力でこれを支えるのが組織というものであって、仮に感情でこれを怠るようなことがあれば、それは国家国民に対する背信行為です。

 文民統制は統制する側もされる側も、常に強い自覚と責任を持たなくては機能しないものです。

 「警察は政府に隷属し、軍隊は国家に隷属するのであり、同じ実力組織でありながら警察に文民統制の概念が存在しないのはその故である」というような論に以前接したことがあります。この論をすべて肯定は出来ませんが、文民統制の本質を含んでいるようにも思ったことでした。

 3月11日に米子市で開催した自民党鳥取県連主催「憲法改正を考える県民集会」は島根県連のご協力も得て2000名を超える方々にお集まりを頂き、ひとまずの成功を収めることができました。開催に当たってご尽力くださった安田優子県連幹事長はじめ関係の皆様に心より感謝致します。
 自民党が本当に憲法改正を目指すのであれば、47都道府県連においてこのような会を開催し、所属国会議員がその思いを述べ、広く党員から意見を聴いて理解を広げるべきです。

 憲法について議論することは国のあり方そのものを考えることに繋がります。政治の側から積極的・能動的に動かなくては憲法改正の機運など高まることはあり得ません。それもしないままに「国民の関心が薄い」などと言うのはエクスキューズに過ぎません。

 第9条ばかりが取り沙汰されますが、第6章「司法」についても改正の必要性を強く感じます。総選挙の際に最高裁判所裁判官の国民審査が行われますが、一体どれだけの人がその名前と経歴、彼らがどのような裁判においていかなる立場を採ったのかを実際に知っているのでしょうか。圧倒的多数の人が何も知らないままに不信任の×印を付けることなく投票しているというのが実態ですが、これこそ形骸化の典型ではないでしょうか。

 自民党憲法改正草案では、国民審査の方法は憲法に定めず、法律でこれを決めることとしています。

 最高裁裁判官は内閣の任命によることとなっており(長官は天皇陛下のご認証を要する)、時の内閣の意向がどうしても反映されがちになるでしょう。三権分立をより実効あらしめる観点からも、審査の方法に加えて国会の関与についても議論し、より良いものとする点があるように思います。

 これらの憲法の議論につき、15日水曜日の水月会勉強会における門山宏哲代議士(比例南関東・千葉一区)の講演やその後の質疑はとても有意義なものでした。

 週末は、18日土曜日が「石破茂君を囲む会」にて講演、その後懇親会(午前11時・リーガロイヤルホテル大阪)。

 20日春分の日は第9回G1サミット第9部分科会A「日本の防衛政策 東シナ海・北朝鮮の脅威にどう対抗すべきか」、第10部全体会「地方創生 政府・自治体・企業の役割とは」にパネラーとして出席(午前8時~ ルスツリゾート北海道 北海道蛇田郡留寿都村)という日程です。

 党役員や閣僚在任中はG1サミットにはなかなか参加できなかったので、今回はとても久しぶりです。
 
 寒の戻りで、東京都心はとても寒い日が続きました。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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