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安倍政権のウーマノミクスどうした!? 停滞状況を気にする海外 突破口はどこに?

 景気を良くし、労働人口の減少に対応するため、働く女性を増やそうと呼び掛けた安倍首相の「ウーマノミクス」が不発に終わっている、と海外メディアが指摘している。職場での男女差別に加え、働く女性の精神面での負担の大きさが取り上げられており、日本女性を取り巻く社会的、文化的な背景を考慮しなければ、ウーマノミクスに未来はないと厳しい見方をされている。

◆今や男女格差は途上国並み。ウーマノミクス苦戦中

 ディプロマット誌に寄稿した、グローバル・ヘルスの研究者V・アヤノ・オガワ氏は、安倍政権下で女性の労働参加は増えたが、男女平等までは手が届かず、職場での女性の地位は低く、非正規雇用になりがちだと述べる。2016年の世界男女格差指数では、日本は144ヶ国中111位で、2015年から11ランクダウンし、いまやエチオピア、ネパールより下位にあると指摘する。

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、女性を幹部に登用する中小企業に助成金を出すとした政府の呼びかけに、初年度の応募が1件しかなかったと伝える。女性の登用を推進するため、2020年までに30%としていた女性管理職の数値目標も、2021年(20年度末)までに官民で7~15%に修正されたと述べ、ウーマノミクスが行き詰まっていると見ている。

◆それでもウーマノミクスは必要。女性の時代は来るのか?

 しかし、ここであきらめてはいけないというのが識者の考えだ。ゴールドマン・サックス証券のキャシー松井氏は、ウーマノミクスの進み具合の遅さを認めるが、労働人口が減少する日本では人的資源に限りがあるため、近い将来企業が争って女性を登用する時代が来ると見ている。日本の女性の労働参加は66%とずいぶん高くなったが、ほとんどが決定権やリーダーシップのないパートだと同氏は指摘。責任ある仕事が女性のために降って湧いてきたりはしないため、今後男性ビジネスリーダーの力を借りてでも、そのような仕事を女性に供給していくべきだとしている(FT)。

 日本女子大学の労働経済学の専門家、大沢真知子教授は、労働市場の逼迫(ひっぱく)だけでは男女格差が是正されるには不十分で、男女平等が実現するとすれば、それは能力ある女性がスキルを武器に転職をちらつかせることができるほど労働市場の流動性が高まったときだとしている。BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの鹿島美由紀氏は、職場のマッチョ文化への突き上げは厳しいとして、最近は長時間労働が問題視されることもあり、残業時間に制限を設ければその分より多くの仕事が女性に回る、と述べている(FT)。

 ウェブ誌『クオーツ』は、待機児童問題が深刻な日本で、自社の保育所を作り、社員のみならず近隣の企業の子供達まで預かる資生堂の取り組みに注目。従業員の8割が女性という同社は、小学3年生までの子供がいる社員には労働時間の短縮を認めるなど、柔軟な働き方を提供しており、産休明けの社員の復帰率は100%だと説明している。すでに管理職の30%は女性で、役員を見ても18人中3人が女性ということで、まさにウーマノミクスの目指すところとして紹介されている。

◆働く女はつらいよ。ストレスは男性以上?

 上述のオガワ氏は、精神衛生面から女性の労働参加の問題を分析し、日本の働く女性には男性が遭遇することのない困難があると指摘する。上司からのパワハラはもちろん、女性は妊娠・出産・育児をきっかけにマタハラを受ける可能性もある。管理職になれば、同じ役職の男性と同等の長時間勤務を求められるが、男性ばかりの同僚や、家庭が大事だという家族からの社会的サポートも受けにくい。さらに昇進すれば、能力が高かったのではなく「性的魅力」でその役職を勝ち取ったなどという中傷をされることもある。夫がいれば、夫の会社生活のストレスまで共有せざるを得ず、子供がいれば、子育てとの両立に苦労する。

 こういった理由からか、多くの日本人女性が専業主婦になることを望むと同氏は述べる。ある研究によれば、日本では働く女性より専業主婦の方が、健康への不安が少なく、ライフスタイルへの満足度が高いという報告もあるとし、日本の社会文化的要素を考慮しなければ、ウーマノミクスの成功は不確かだと述べている。

(山川真智子)

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