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籠池氏証人喚問は、自民党にとって「危険な賭け」

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森友学園の小学校開設をめぐる問題に関して、参院予算委員会の大阪府での現地調査で、籠池泰典理事長が「安倍晋三首相から、夫人の昭恵氏を通じて100万円寄付を受けた」と述べ、その後、野党の議員らの前で同様の事実を説明した上、「国会ですべて話をする」と述べた。

このような籠池氏の発言を受け、その後、自民党側から、民進党に、23日に衆参両院の予算委員会で、籠池氏の証人喚問をそれぞれ実施することが提案され、17日に衆参の予算委で正式決定することになったと報じられている。

「危険な賭け」に出た自民党

これまで、民進党などが求める参考人招致を拒否してきた自民党が、今回、逆に証人喚問を提案した理由について、竹下亘自民党国対委員長は

(籠池氏を)たださなければいけないという思いは非常に強く持っている。総理に対する侮辱だからしっかり受け止めなければならない

と記者団に述べた。

もし、籠池氏が言う「安倍首相からの寄付金100万円を昭恵夫人から受け取った」という事実があったとすると、国会で、「寄付金集めにも、まったく関わっていないと言うことは、はっきりと申し上げておきたい」と明言していた安倍首相には致命的な事態になる。「安倍首相から」との点を別にしても、これまでに明らかになっている森友学園の小学校新設をめぐる様々な問題からすると、「安倍首相夫人からの100万円の現金の受領」だけでも、安倍首相にとって重大な事態になることは避けがたい。

自民党側が、野党側が求めてきた「参考人招致」ではなく「証人喚問」を提案したのは、それによって、偽証をすれば刑事罰を科される立場に籠池氏を追い込み、「昭恵夫人から100万円の寄付を受けた」との証言を撤回させるか、証言を維持するのであれば、偽証罪での告発によって籠池氏の証言が嘘であることを司法判断で明らかにしようという意図であろう。

しかし、もし、偽証の制裁を覚悟の上で行った国会で、「昭恵夫人から100万円受け取ったとの話が虚偽であった」と認めさせることも、虚偽だとする明確な根拠を示すこともできなかった場合には、逆に、籠池氏の証言が重みをもつことになる。それは、安倍首相にとって最悪の事態になりかねない。

自民党としては、国会での圧倒的多数の「数の力」で偽証告発に持ち込もうという考えかもしれないが、議員証言法では、証人の告発は、委員会の3分の2の賛成が必要である。衆議院予算委員会では、委員長を除く49名の委員の3分の2は33人であり、自民党の30人だけでは足りない。少なくとも、公明党の委員3人(うち一人は弁護士)の賛成が必要だが、それを得るためには、偽証と認めるだけの十分な根拠が必要となるであろう。

過去に、国会での証人喚問の結果、偽証罪で告発された例は相当数あるが、国会が不安定な状況であった昭和20年代を除けば、かなり慎重に行われており、その大部分は、その後、検察当局の捜査の結果、偽証の事実が明らかになった(国会での偽証の疑い以外の別の犯罪の容疑で捜査が行われた結果、国会での偽証も明らかになった)というケースだ。

最近では、AIJ投資顧問の年金資産消失事件で、浅川社長が証人喚問されて以来、国会の証人喚問は行われておらず、5年ぶりとなる。この浅川社長の事例は、当初、参考人招致されたが、曖昧な供述であったことを受けて証人喚問が行われたものであり、今回のように、民間人が「いきなり証人喚問」というのは異例だ。

果たして、偽証罪での告発に持ち込めるのか、自民党は、「危険な賭け」に出たと言わざるを得ない。

美濃加茂市長事件との共通性

確かに、籠池氏の話には、100万円を受け取ったとしながら、領収書も渡さず、寄付名簿に「安倍」という名前を記載することもなかったなど、不可解な点も少なくない。

また、小学校の設置認可申請の取り下げに追い込まれたことで、国から土地の原状回復と返還を求められることが必至となり、入学予定の児童の保護者への入学金等の返還に加え、校舎の建物工事代金の支払等で窮地に追い込まれている籠池氏は、「公費による支援」まで持ち出しているようであり、国に対抗して自らの立場を守るために、一発大逆転を狙ってウソの寄付金受領話を始めた可能性もある。

「自らの利益のために虚偽の供述を行う動機がある」という点でも、「現金の授受の有無が最大の争点になった」という点でも共通するのが、現在、控訴審での「逆転有罪判決」を上告審で覆すために上告趣意書の作成作業に追われている「美濃加茂市長事件」だ。

当ブログでも、捜査や裁判の経過について詳述してきたように、この事件では、贈賄供述者のNは、総額4億円近くもの融資詐欺を犯して逮捕され、そのうち2100万円の事実しか立件されていない段階で、市長(当時は市議)へ20万円の現金を渡したとの供述を始め、さらに、それ以前に10万円を渡した事実も供述した。この後、警察の捜査は、贈収賄に集中し、残りの融資詐欺は立件されることなく、Nに対する起訴は、30万円の贈賄と2100万円の融資詐欺にとどまった。

Nにとっては、融資詐欺を次々と立件されると、長期の実刑を覚悟しなければいけない状況であったのだが、市長への贈賄を供述したことで、警察の動きを贈収賄事件に集中させることができ、全体としても大幅に軽い事実の起訴にとどまって、まさに「思惑通り」の結果になっていたのである。

それと同様に、今回の籠池氏も、小学校の開校が絶望的となり、国から厳しい措置を受けることが必至の状況の下で、「総理大臣から夫人を通じて100万円の寄付を受けた」という爆弾発言をすることで、世の中の関心をその問題に集中させようという、同様の「思惑」が感じられる。

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