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アメリカ利上げの行方

アメリカのFRBがFOMCで利上げを決めました。これは既定路線で注目されたのは今後の展開でありました。その中で最近とみに注目されてきたのがDot Plots(金利予想分布図)であります。今回、将来の金利予想がより強気になり、年3回が4回になるかが焦点でした。

結論からすれば予想見直しはなく、現状通り今年は今回を含めて3回となりました。

この発表を受けて市場は大きく反応しています。まず、株式市場では買い安心感が広がり、ダウが110ドル余り上げたほか、金(ゴールド)も反発、買いを誘ったのをはじめ、円安バイアスが取り除かれたことで円は113円半ばと1円以上の円高になっています。つまり市場にとっては安ど感が漂っていたとも言えましょう。

株式市場では3月13日にNY市場でヒンデンブルグ オーメンというテクニカル分析で投資家が最も嫌がる警告が点灯していました。これは複数の悪いテクニカル条件が重なった際、8割の確率で5%以上の下落が起きるというもので1985年以降の主な暴落は全てこのヒンデンブルグオーメンが点灯してます。数字の有効期間は1か月であります。とりあえずはこれを打ち消す形になったのはよかったと思います。

しかし、現実をみると利上げなのにドル安円高とはどういうことなのでしょうか?こんな感性的な表現は正しくないのかもしれませんが、一つにはドルの買い疲れ感がありそうです。利上げを受けたアメリカの10年物長期金利は2.508%と前日の2.60%からなんと金利安になっています。いくら利上げしても長期金利がそのまま反応するわけではなく、したがってドル高にも限界があるとしたら良いのでしょうか?

為替の基本の一つに購買力平価がありますがドル円で見た場合、企業物価PPPの指数が100円を割れており、ここから実態の為替レートがどれだけかい離しているかという尺度でみると今の113円レンジは15%ほど上方にかい離しています。消費者物価指数と輸出物価をレンジバンドとすればやや上に位置しすぎており、いずれ企業物価指数に収斂するようにみえます。つまり円高がアナリティカルにはサポートされます。ただし、これは長期であり、今日明日、どうこうなるものではありません。

全体的にはアメリカの景気拡大期が8年近くなってきた中でトランプ政権が打ち出すであろう具体的政策が吉と出るか、凶と出るか読めないというのが正直なところです。圧倒的な財政支出は経済の更なる拡大には有効でしょうが、インフレには留意が必要です。

本日発表されたアメリカ消費者物価指数は年間で2.7%アップと上昇を続けています。特に中身をみると全体に強いインフレ基調があったのですが、唯一それを打ち消したのが3%下落したガソリンなどエネルギー価格の足踏みでありました。これは短期的要因と考えられ、今後、3%越えのインフレ率もあり得る中で長期金利が上がらないのは悪いインフレになっている可能性があります。

これはとりもなおさず、ドル安要因でドルが安くなれば主たる資源価格がドル建てであるために資源価格の高騰となり、想定以上の物価高もありえます。

雇用については先週末の雇用統計で引き続き良好な流れを維持したことが確認でき、失業率は4.8%まで下がっています。FRBの主要メンバーからは完全雇用に近いという表現がちらほら聞こえてきます。では完全雇用とはどこまで行けばそうなるのかですが、労働力の質や労働参加率などで国によりそのベースラインは変わります。たぶん、学者の間でも完全雇用の論理的定義はなされていないはずで案外感性的なものだと認識しています。

例えばひっ迫する労働市場で新たに人を雇おうとした時、なかなか、人が応募しない、あるいは応募してきても箸にも棒にも掛からぬ人材だったということはよくあるでしょう。猫の手も借りたいというのはそこまで労働の質に対する期待値を下げてでも雇用するということです。その結果、生み出されるものは生産性の低下、最終価格の上昇であります。

個人的にはアメリカはすでにその域に入っている可能性があるとみています。日本のように労働の質が比較的均一でマルチタスクをこなせる場合には完全雇用までの懐はより深いとも言えます。

アメリカの利上げは年3回から場合により4回もあり得ると思いますが、為替に対するインパクトは逆向きになる公算を考えておいた方がよさそうです。このあたりは私が年初に描いていたシナリオと若干変わってきたところです。アメリカの株価にはいったんプラスになると思われるのでヒンデンブルグオーメンは乗り越えられると信じたいところです。

では今日はこのぐらいで。

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