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東芝とサムスン、好対照の「不祥事企業」 - 坂本幸雄 (サイノキングテクノロジーCEO、元エルピーダメモリ社長)

 大手電機メーカーの不祥事が新聞紙上を賑わしている。言わずもがな東芝の一件であるが、サムスンの周辺も騒がしい。スマホ「ギャラクシーノート7」の発火、朴槿恵(パク・クネ)大統領側に数十億円の賄賂を送った容疑などで事実上の経営トップである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が逮捕されるなど、東芝に負けず劣らず騒がしい。

 ともに半導体を収益の源泉としているなど似ている面もあるが、決定的に異なるのは業績だ。原子力発電事業で最大7000億円規模の巨額損失が見込まれる東芝に対し、サムスンの2016年10~12月期決算は、売上高53・3兆ウォン(約5・3兆円)、営業利益は前年同期比50%増の9・2兆ウォン(約0・9兆円)。通年の売上高は201・9兆ウォン(約20兆円)、営業利益は前期比11%増の29・2兆ウォン(約2・9兆円)と、過去2番目の高水準となった。好決算をけん引したのは半導体である。

 なぜサムスンはこんなにも「強い」のだろうか。私はこれまで幹部を含めて数多くのサムスン社員と直接交流をしてきたこともあり、ここで私なりの同社の認識について書き留めておきたい。

 まず、サムスンには目新しい技術はない。地に足がついた研究・開発をしており、リスクを冒さない。ただし、日本のトップ企業の5倍ほどのエンジニアがいて、何人かに同じ技術を研究・開発させる。異なる技術も同時に開発させる。そして強烈なインセンティブをもたせる。本部長クラスになると10億円程度の成功報酬がある。同社で働く知人は「いつクビになるかわからない。稼げるときに稼ぐ」と話していた。

 昨今、日本では「残業ゼロを実現しよう」というような声が高まっているが、そんな考えはサムスン社内にはない。朝から晩まで働き、土曜日も当然のように出社する。セキュリティが厳しく、パソコンの社外持ち出しも禁じられているため、会社でしか仕事ができない。成果を残せない社員は会社を去るのみで、自由などないに等しい。

 「サムスンはモノマネで成り上がってきたので早晩行き詰まって凋落する」という意見をよく耳にするが、私はサムスンの時代はまだまだ続くと考えている。半導体部門の強さは本物で、政府の後ろ盾があり、資金力もある中国企業といえどもサムスンを超えていくことは難しいだろう。

 ギャラクシーノート7の発火事故も、これから他のスマホメーカーが通らねばならぬ道で、サムスンだけがその知見を得た、とみている。サムスンはバッテリーが発火の原因と発表したが、鵜呑みにはできない。スマホのような小さなデバイスに高性能のものを詰め込む、という流れは今後も止まらない。

 こうしたデンシティ(密集)がバッテリーの発火をもたらせたと考えるエンジニアは多く、競合他社は、明日は我が身と震えている。

 アップルが真因を突き止めようと各所を嗅ぎ回っているという話も耳にしたことがある。サムスンが我が世の春を謳歌する時代はまだまだ続きそうだ。

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