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27年ぶり価格改定の衝撃

ヤマト運輸が27年ぶりに価格の全面改定を目指しています。「27年ぶり」が異様な響きに聞こえるのは私が値上げが普通である北米に住んでいるからであるのは確かです。しかし、逆説的に言えば27年間も価格改定をせずにここまでこれたのは、

1. その間、何ら価値改善(Value Add)もなかった
2. 改善はしたもののそれを顧客への価格に転嫁しなかった
3. 価格改定したかったが売り上げ増に伴う利益増で見えないふりをした

のどれかであります。少なくとも1番の何ら改善もなかったというのは無理がありますので私は2番と3番の組み合わせなのだろうと思います。2番については一般に「企業努力」と評します。

運輸会社は人件費の塊のようなビジネスです。私も現在その業種と仕事上のお付き合いがありますから数字の内情はある程度わかります。人件費偏重型のビジネスはいかに効率的にさっさと運び、時間内に何個捌くか、これにかかっています。ところが不在等に伴う再配達コストは現状、無料。ここが苦しいわけで理想論でいえば

1. 不在配達ステッカーを貼り、近所の集荷場に取りに来て頂くか
2. 荷受人負担の有料で再配達をお願いするか

にすべきなのでしょう。つまり、アマゾンなどEコマースで購入した商品は一度目の配達に限り商品購入時の費用に含まれるが、二度目以降はお客さんの負担にすると言い切る自信があるかどうかであります。そして少なくともヤマト運輸において27年間のうちEコマースが急激に普及したこの5-6年、それを言い出したかったけれどずっと我慢していた、というのがありありとわかります。一時期は佐川との戦いがあったこともあるでしょう。

もちろん、顧客からすれば冗談じゃない、とクレーム殺到かも知れません。しかし、企業側がそのクレームに負けてはいけないのです。今回、佐川も日本郵政も大口法人向けについて同調値上げを検討しています。この三社そろい踏みはEコマースの売り手側であるアマゾンや楽天、ヤフーなどが飲まざるを得ない条件になります。

そしてもっと大事なことは安い賃金で押さえられ、厳しい労働条件を強いられる人たちを救おうという気持ちを消費者に理解してもらうことが大事ではないでしょうか?私も業務用品で日本で配達をしてもらう際に「4階まで階段で」と言っても嫌な顔一つしない人たちに北米流ならチップでも差し上げたいぐらいであります。

私がタイトルに「27年ぶり価格改定の衝撃」としたその意味は企業努力の域を超えているのではないか、という点です。業界最大手の役割とは業界の潜在的問題を取り除き、持続性のある成長を促すリーダーシップであります。多くのライバル企業は市場シェアにこだわり、利益率にこだわり、裏切る会社が続出します。そんな足の引っ張り合いではなく、業界があるべき姿を作り上げなかったという意味で最大手のヤマト運輸の今日に至るまでの「不作為」に衝撃を感じたのです。

この意味は運輸業界だけではなくすべての日本の産業に言えないでしょうか?安いことはよいことだという標語が染みついた社会には矛盾が生じてしまいました。企業は安値競争を行うからコストカットの一環で人件費を削る、すると給与が少ないから給与所得者は消費に回せるお金がない、すると商品は安ければよいのが当たり前のサイクルに入り、抜けられない事態が生じてしまうのでしょう。

勿論値上げの苦悩はあります。マクドナルドもユニクロも価格政策で迷走しました。一方で春闘ではベアを、という組合から政府に至るまで賃金引き上げの後押しがあります。この「あんこ」になるのは企業収益であります。

ブラック企業を問題にするならブラックがなくなるような企業体質にするという意味で価格の正常化は日本経済にとって極めて重要な課題ではないでしょうか?

お前は分かっていない、とご批判を頂くと思いますが、一歩踏み出さないと負のサイクルから抜け出せないことも事実だと思います。

では今日はこのぐらいで。

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