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バロンズ:3月利上げは、米株下落のトリガーを引くのか

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Barron’s : Will U.S. Stock Market Face “The Three Steps And A Stumble” ?

バロンズ誌、今週はカバーに上場投資信託(ETF)のリーダー達のパネル・ディスカッションを掲げる。米国のETFは2,000件を数え総資産額は2.8兆ドルに及ぶほどに成長したが、そのうち8割はブラックロック、バンガード、ステート・ストリートの3社が占める状況だ。伝統的な投資信託は未だ16.5兆ドルと大半を占めるなかで、今度ETF市場はどのように拡大していくのか。ETFを含むパッシブ運用はバブルを迎えつつあるかとの問いには、インデックス商品は未だ米株相場の16%に過ぎないため”過剰に指数化された状態”には程遠いとの’見解が聞かれた。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

FRBは過熱したデータを使っているのか=Is the Federal Reserve Using Overheated Data?

ウィキリークスは、中央情報局(CIA)によるスマートフォンを含むインターネット接続デバイスを通じたスパイ活動の手段を暴露した。音声で作動し米国で人気の商品と言えば、アマゾンのエコーが挙げられる。利用者の質問に応じiPhoneのSiri、アンドロイドのOKグーグルと同様のシステムを採用するため、利用者の情報が詰まっていると言えよう。CIAの諜報活動に関するニュースを知った英国の女性はエコーに「CIAのために働いているのか」と質問した際にエコーがシャットダウンしたとされ大いに話題になったが、アマゾンによると誤作動で今では同社の商品だと自己紹介するようになったという。

筆者も愛用するエコーでこの質問を試したところ、回答は「I was made by Amazon but I work on behalf of all of my customers」。

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(出所:Amazon

CIAはウィキリークスが投げかけた疑惑を否定したが、妄想をかきたてるには十分だ。盗聴といえば、トランプ米大統領がオバマ前米大統領に電話を盗聴されたとのツイートに関してホワイトハウスの電話機がアルミホイルにくるまれるようになったとのニューヨーカー誌の記事に、中国が反応した。同記事は皮肉に過ぎなかったというのに、真に受けられてしまったというわけだ。

投資家にとって、政策を決定する場所を盗聴できれば楽しいだろう。ただ金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)、少なくとも14〜15日の会合では必要ないかもしれない。米2月雇用統計の結果を踏まえ、25bpの追加利上げの可能性が固まったためだ。

トランプ政権発足から50日間で雇用統計の数字が上向いたため、ホワイトハウスは高らかに内容を喧伝した。リンゼー・グループのピーター・ブックバール氏は逆に、失望的なポイントを挙げる。確かにトランプ米大統領は楽観ムードを盛り上げたが、米2月雇用統計の結果は米大統領選挙を前にビジネスが採用を見送った反動と考えられ2016年10月〜12月の非農業部門就労者数(NFP)の平均値は14.8万人増に過ぎない。

また気温の上昇も、かさ上げにつながった可能性がある。今年2月の平均気温は華氏41.2度(摂氏5.1度)と平年の華氏34.5度(摂氏1.4度)を大きく上回っていたため、グラスキン・シェフのデビッド・ローゼンバーグ氏は「偽ニュースではないか?」と疑いを寄せる。

季節調整も、数字を押し上げた可能性は否めない。ローゼンバーグ氏によると、建設活動が鈍化しているにも関わらず雇用統計での建設就業者数は前月比5.8万人増と、平年の3倍近い増加を示した。また悪天候のため就業不能だった人々は18.4万人にとどまり、2月平年の36.5万人の半分程度だった。仮に悪天候のため就業できなかった人々の数が通常通りであれば、NFPは5.5万人増にとどまったのではないか。

不都合な事実はさておき、米2月雇用統計の結果はFOMCが25bpの追加利上げを正当化させる。FF先物市場で利上げ織り込み度は、96%にのぼる状況だ。

市場の注目は利上げより、経済・金利見通しでどんな数字が出てくるかである。前回2016年12月の様子では、年3回の利上げが見込まれていた。FF先物市場では6月利上げ織り込み度は56.3%、12月の利上げ織り込み度は56.3%である。仮に年内3回の利上げ行ったとしても、FF金利誘導目標は1.25〜1.5%に過ぎない。このような低金利下では、安全資産を捨て高利回り債に資金が流入しがちだ。

FRBが発表した調査では、2016年10〜12月期の家計資産は92.8兆ドルと過去最高に達し、そのうち資産価格の上昇が2兆ドル寄与した。2009年1〜3月期、すなわち強気相場が開始した時期から米国の家計資産は38兆ドル増加したことになる。FOMCが決定した3回に及ぶ量的緩和策が影響しており、今後は再投資がいつ停止するかが資産価格を決定するだろう。

直近で米株相場は、トランプ・ラリーが中断したように見える。6日の週にS&P500は0.44%下落し、続伸基調を6週で止めた。ダウも0.49%下落し、4週で続伸記録にストップが掛かった。利上げを前に米国債市場にも変化が見られ、米10年債利回りは昨年末以来の2.6%超えを迎えた。高利回り債も打撃を受け27億ドルの資金流出を記録、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)は1.9%下落し、そのほか高利回り債関連のクローズ型投資信託も1%以上も落ち込んだ。

14〜15日のFOMCで利上げに踏み切れば、今回の利上げサイクルで3回目となる。マーケットの通説「3回の利上げは躓くもの(three steps and a stumble)」を想起し、米株相場の下落が懸念されてもおかしくない。もっともイエレンFRB議長は米株相場に対し非常に神経質なため、混乱が生じれば利上げを見送り「今回は違う(this time is different)」ケースになり得る。

そうはいいながらFedが過剰な引き締め策を講じれば、強気相場は2007〜08年のように終焉を迎えるだろう。ソシエテ・ジェネラルのヘッド・ストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏は1994年型の利上げを予想、当時はカリフォルニア州オレンジ郡の破産やメキシコ危機を招いた。歴史が繰り返さないようにと望むしかない。

——マーケットがまだ3回利上げを十分に織り込んでいないため、可能性は非常に低いものの年内の利上げ回数が3回から4回に変われば市場に多大なインパクトを与えること必至です。イエレンFRB議長はバランスシートの縮小に関し慎重な見方を貫いてきましたが、記者会見で議論の方向性に言及するかも注目。米株相場はこれまでFedのゆるやかな利上げを前提に上昇してきただけに、一旦の揺り戻しがあってもおかしくありません。

(カバー写真:My Big Apple NY)

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