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ドイツ最高裁「保育施設の確保は市の責任」 子ども預けられなかった母親に賠償の可能性も

 ドイツの通常裁判を扱う最高裁判所である連邦通常裁判所(BGH)にて昨年10月、乳幼児の保育施設が利用できないために職場に復帰できない親には、基本的に市に対する休業損失補填の損害賠償の請求権があるとの審判が下された。市役所の義務には保育施設を求める親のサポートも含まれ、このサポートの範疇には休業損失も含まれるとの見解だ。

◆早期教育は幼児の権利

 ドイツは2008年の児童支援法で、2013年までに1才から3才未満の子供の3分の1に公的保育を受けさせることを地方政府に義務付けている。2013年8月1日以降は社会法典にて「デイケアまたは児童保育施設における早期教育奨励への要求権」が定められ、保育施設を利用できない保護者には支援金月額100ユーロ(2014年8月以降は150ユーロ)が支給されている。

 このような背景から、2014年にライプツィヒ市による保育施設の提供を受けられず、育児休暇を1年(法定3年以内)で終え職場に復帰する予定が大幅に遅れた母親3人が、休業損失補填の損害賠償を求めて市を提訴した。

◆子供のため? 親のため?

 ドレスデン上級州裁判所では市が法に抵触したこと自体は認識したものの、早期教育による児童支援はあくまで子供の利益のためであって親のためではない、と訴えを棄却。しかしながらBGHのウーリヒ・ハーマン判事は、この法は「職業と家族の両立性にも貢献すべきもの」との見解を与え、母親たちが地方政府を訴え得ることを基本的に認めた(ロイター)。ただし、戻る職場のないもともとの専業主婦にはこれは当たらない。

 だが、母親たちがそれぞれの収入に応じて請求している、合計約1万5千ユーロ(+税)が支払われるかどうかは未定だ。判決には、市が保育施設確保の努力を怠ったと証明できた場合という条件が伴っており、これに市の財政状況を鑑みて決定が下される。これについては再びドレスデン上級州裁判所にて審査が行われる。

 この審判の結果は今年に入ってアメリカでも報じられた。「この法はアメリカ人の目にはクレイジーに映るかもしれないが、政府が家族、そして近年では女性の雇用を支援するドイツの長い歴史に沿う自然な成り行きである」とアトランティック誌は述べる。

◆少子化対策と女性の社会復帰の奨励

 実際、ドイツ政府には少子化対策と女性の社会復帰の奨励への期待があるだろう。

 ちなみにドイツでは他に、子供のたてる声などの生活音を「騒音」から除外することも2011年より連邦法で保障されている。背景には、ベルリンなどで騒音を理由に保育施設に対する訴訟が相次いだことがある(ドイツでは早朝・深夜だけでなく午後1時〜3時も騒音を立ててはならないと定められているが、この除外により日中の子供たちの権利が守られることになる)。

 ドイツも日本と同様、少子高齢化に悩み、合計特殊出生率もヨーロッパはおろか世界でも最下位の部類に属すが、2012年より出生率が上昇、2015年には33年ぶりに1.5人台まで回復している。

 南ドイツ新聞シュピーゲル誌によると、保育施設に通う3才未満の児童の数は2016年3月1日までに大幅に上昇した(全児童の32.7%)。ただ、旧東ドイツ51.8%、旧西ドイツ28.1%と格差がある。また、上昇傾向の出生率や移民の子供たちの増加をふまえ、将来的により多くの保育施設の建設を望む保育者の声は44%にのぼる。

(モーゲンスタン陽子)

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