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米入国禁止の新大統領令、何が変わったか?

ドナルド・トランプ米大統領は6日、イスラム圏の一部の国の国民を対象に入国を一時禁止する新たな大統領令に署名した。1月27日に署名した大統領令に代わるもので、当初の大統領令は発効すると、連邦裁判所が異議申し立てを受けて直ちに一時差し止めを命じていた。修正命令は、これを踏まえ内容が一部改善されている。以下、当初の命令との5つの大きな違いを説明する。

イラクをリストから除外

 当初の大統領令では、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンのイスラム圏7カ国の国民の入国を一時禁止した。しかし、今回の修正令では過激派組織「イスラム国(IS)」と戦っているイラクは除外された。

 これは、ISとの戦いで重大局面にある時に、イラクを対象国にしておくと同国との関係に長期的な悪影響をもたらす恐れがあるとして、米政府の高官や外交当局者さらにはイラク政府が除外を働き掛けた結果だ。修正により、イラクでのISとの戦闘で米軍の通訳を務めているイラク人の入国を禁止するのはおかしいとの抗議は収まりそうだ。

 ホワイトハウスは新大統領令に添えた文書で、「米国と民主的に選ばれたイラク政府との緊密な協力関係や、イラクにおける米国の外交上の強い影響力、イラクでの米軍の存在感の大きさ、ISとの戦いへのイラクの固い決意を考慮すれば、異なる扱いをするのは正当と認められる」と説明した。

 他の6カ国はそのままリストに残った。これらの国の国民はすでにビザ(査証)を保持していなければ、「外国人のテロリストや犯罪者の浸透を防げるように、入国審査について適切な見直しを行い、基準を設定する」ために、90日間米国への入国が禁止される。

宗教上の選別なし

 当初の命令では、宗教上の少数派(主にキリスト教徒)や宗教上の迫害を訴える難民には優先権を与えていた。そのため、大統領令は米国入国に際して、違憲である宗教上の選別を導入するものだとの懸念を引き起こした。ミッチ・マコネル共和党上院院内総務は1月に、「我々は注意を払う必要がある。米国では宗教上の選別は行わないのだ」と述べた。新大統領令は、宗教上の少数派に優先権を与えるような文言は入っていない。

シリア難民の無期限受け入れ停止は撤廃

 当初の命令では「シリア人の難民としての受け入れは、米国の国益を害する」と決めつけ、受け入れを無期限停止した。シリアは内戦の渦中にあり、市民はロシア軍機やシリア政府軍機の空爆に見舞われ、国土の多くをISに占領されている。新たな命令では、シリア難民の無期限の受け入れ停止は撤廃された。

 ビザとグリーンカード保有者は影響受けず

 当初の命令では、7カ国のビザ保有者6万人弱が対象となったほか、永住権保有者の扱いは不透明だった。そのため、大統領令発効後の最初の週末には、米国に再入国しようとするビザやグリーンカード(永住権)の保有者の中から、入国管理局で一時拘束されたり、渡航を延期したりする人が出た。連邦控訴裁は、大統領令の影響を受けたビザや永住権の保有者が事前に通知を受けなかったり、米国への入国を拒否されたことに異議を申し立てる機会も与えられなかったりしたことで、憲法上の適正手続きの問題を惹起したとの見解を示した。

 待機期間

 当初の大統領令は1月27日の署名後直ちに発効し、米国の入国手続きや渡航に大混乱を与えた。この日の修正命令は、3月16日に発効する。また対象6カ国の国民でも、米東部時間1月27日午後5時時点で有効なビザを保有していたが、当初の大統領令で無効となった人は、米国に入国できる。有効ビザを保有している人や、乗り継ぎで米国に立ち寄る人も影響を受けない。

By DANIEL NASAW

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