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聞き捨てならない国債に対する安倍首相発言

3月7日の日経新聞の日本国債という特集記事のなかで、次のような安倍首相の発言が紹介されていた。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ。国債は実質的には日銀が全部引き受けている。いまはマイナス金利だし、実質的に借金は増えない」

この発言は昨年秋、複数の与党議員を前に首相が漏らしていたものだそうである。また次のような首相発言も記事のなかで紹介されていた。

「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」

日銀にインフレターゲットを押しつけ、その結果として異次元緩和政策という、日銀が大胆に国債を中心とした資産を買い入れる政策を打ち出した。これは日本の財政を支援するためではなく、物価目標を達成するために決定されたものである。物価は一時的に上昇しても再びマイナスに落ち込んだ。日銀は量を拡大し、それでもダメなのでマイナス金利政策まで導入することになる。マイナス金利もダメなら長期金利も操作するとして、すべてくっつけた長短金利操作付き量的・質的緩和政策を決定した。すでに何が何だかわからないような政策となってしまったが、壮大な実験の結果、結論としていえることは金融政策そのもので物価は動かせないというものであった。

金融政策でダメなら財政政策でということになったのか、今度はヘリコプターマネーとかクリストファー・シムズ教授の理論を持ち出してきた。

シムズ氏は都内の講演で「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくいときには財政拡張がその代わりになる」と提言したそうであるが、そもそも「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくい」ということを証明させるために日銀に異次元緩和をさせたというのであろうか。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ」という首相の発言だが、デフレ脱却と国債償還を結びつけることの意味がわからない。もし国債の信用を落としたいのであれば、償還をやめるなり、日銀に本当の意味で国債直接引き受けをさせるなり、日銀保有の国債は政府債務と相殺したりしてみれば良い。

なぜそれをしてはいけないかといえば、あたりまえだが国債の信認を維持させるためである。その信認を崩せばインフレ圧力は確かに強まろう。しかし、ほどよい信認低下などできるわけがない。いったん日本国債の信用が低下すれば、ユーロ危機の際のギリシャの国債のように誰も日本国債を買わなくなってしまう。巨額の国債をすべて日銀が引き受けるとなれば、インフレ圧力が強まろうが、その前に日本国債の価格が急落し、東京株式市場や円の急落も免れない。日本は大きすぎてIMFでも救えず、その負担は国民に降りかかることになる。そんな実験をすべきだと言うのであろうか。

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