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日銀の利上げの可能性、意外にハードルは低い?

 FRBのイエレン議長はシカゴで行った講演で「今月のFOMCで、雇用とインフレがわれわれの予想に沿って引き続き進展しているかどうか検証する」とし、引き続き進展していれば「FF金利の一段の調整が適切となる公算が大きい」と述べた(ロイター)。

 FRBの金融政策の調節目標は金利に戻しており、その金利とはフェデラルファンド(FF)金利である。つまりイエレン議長のこの発言は、今月14、15日に開かれるFOMCで追加利上げが決定されることを示唆したものである。

 3日に総務省が発表した1月の全国消費者物価指数は、日銀の物価目標である生鮮食品を除く総合で、前年同月比0.1%の上昇となった。プラスとなったのは2015年12月以来、13か月ぶりとなる。日銀の物価目標であるコアCPIの前年比がプラスに転じても、まだ目標の2%にはほど遠い。日銀はこれが2%になるまで現在の長短金利操作付き量的・質的緩和政策を続けると言っている。

 こういった状況のなかにあって日銀の佐藤審議委員は下記のような発言をしている。

 「(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)は毎回の会合において次回会合までの操作目標水準を都度決定する柔軟な仕組みである。その下で、長期金利操作についてはその時々の経済・物価・金融情勢やそれらの変化のモメンタムを勘案しながら、最適なイールドカーブの形状を政策委員会で判断している。」

 「仮に経済・物価情勢が望ましい方向に変化し、また市場がそれに応じて、ないしはそれを先取りして変化しているという認識に政策委員会が至れば、市場の動きを追認する形で操作目標水準を柔軟に調整していくことが適当と思う。」

 念のため、この意見は日銀の政策委員の総意ではなく、あくまで佐藤委員個人の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する認識とみられる。しかし、現実に足元物価が上昇基調に転じ、米国の追加利上げにより米長期金利が上がるなど情勢が変化すれば日本の長期金利にも上昇圧力が加わる可能性は出てくる。

 いまのところ3月のFOMCでの利上げ観測が強まっても、米長期金利は2.5%がひとつの壁となっている。しかし、いずれ3%を目指して再度上昇する可能性もありうる。

 佐藤委員は次のような発言もしている。

 「長期金利操作に関する政策実務上のプラクティスが必ずしも確立しているとは言い切れない現状では、操作のタイミングや幅などは、無論、政策委員会の判断事項ではあるが、操作に先立っては市場との入念な対話によりサプライズを避けるなどの周到な配慮も必要と私は考える。 」

 この場合の操作とは長期金利を含めた目標金利の調節、つまり利上げとなる。日銀は長短金利操作付き量的・質的金融緩和という「柔軟な」政策に移行したことで、実は利上げのハードルを低めたようにも思われ、それは佐藤委員も認識しているとみられる。

 むろん黒田総裁などは長期金利の操作目標の引き上げなど、まったく考えていないとの認識であろう。しかし、経済・物価情勢が望ましい方向に変化してきた際にはいずれフレキシブルな対応が市場から求められる可能性がありうる。そのタイミングは意外に早期に出てくる可能性がある。

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