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「小さい店は禁煙にすると潰れる」渡邉美樹氏が全面禁煙に反対する理由

 政府は今国会に受動喫煙を防止する法案を提出する予定ですが、原則禁煙という方針については一部から強い反対の声が上がっています。そのような中、居酒屋チェーン「ワタミ」の創業者で自民党議員でもある渡邉美樹氏が10坪以下の店は禁煙の対象外にすべきだと発言しました。居酒屋のプロである渡邉氏はなぜ禁煙にすべきではないと考えているのでしょうか。

原則禁煙になった場合、居酒屋の約73%が、客数が減少すると予想

 渡邉氏はかつて自身が経営していたワタミにおいて禁煙を導入したものの、1年足らずで断念したという経験を持っています。こうした経験から渡邉氏は「現実問題として10坪以下の飲食店で禁煙にしたら、間違いなくお店は潰れます」と断言しています。また渡邉氏は「煙草をくゆらせながらお酒を飲むことは、人によってはストレス解消」であり、「心の健康増進になる」とも主張しています(ちなみに渡邉氏自身は、現在はたばこを吸わないそうです)。

 禁煙にすると店が潰れるのかという問題は、喫煙できる店の付加価値がどこにあるのかというテーマと同一になります。もし、お酒や料理に付加価値があれば、仮に禁煙になっても一定の客数は確保できるのではないかという推論も成り立ちます。

 たばこを吸えることが店の付加価値ということであれば、法案成立後はたばこの吸える店は稀少価値となる可能性が高く、受動喫煙防止にお金をかけても採算が合いそうです。現実には、その中間あるいは両方という店が多く、禁煙にすれば客が減り、完全分煙にするための費用も捻出できないというのが実態かもしれません。

 富士経済の試算によると、現時点における受動喫煙法案が成立した場合、外食産業全体に及ぼす影響は約8400億円となり、このうち「居酒屋」「バー・スナック」への影響は約6500億円と全体の8割近くを占めています。

 居酒屋の顧客のうち53.8%が喫煙者となっており、店舗面積が50平方メートル未満の小規模店舗は居酒屋全体の71%に達します。原則禁煙になった場合、居酒屋の約73%が、客数が減少すると予想しています。渡邉氏が主張するように現実問題としてこうした店舗に対する影響は大きいでしょう。

「喫煙は他人に危害を加える行為である」

 もっとも今回提出される法案は、喫煙に対する考え方が従来とは180度変わっています。これまで喫煙は愛煙家の権利であり、一定程度は周囲も受忍する必要があるとの考え方が主流でした。

 しかし、今回の法案では、近年の司法判断を受け、喫煙は他人に危害を加える行為であるとの位置付けが明確になっています(原則禁煙という理屈はここから導き出されています)。

 権利以前に危険行為という位置付けですから、経済的な損失が考えられる、あるいは、人によって喫煙は心の健康増進になるといった渡邉氏の主張とはまったく噛み合わないことになります。結局のところ、今回の法案に対する賛否は、喫煙そのものに対する考え方の違いということになるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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