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「凄い値付け」は本当に成功するのか?

日経ビジネスに「凄い値付け」という特集があります。ビジネスをするのにもっとも頭を悩ませる事柄の一つに値段をいくらで設定するか、であります。同紙はありえない金額がヒットする可能性を示唆しており、特に一般常識に比べて「バカ高い」「バカ安い」ものに注目しています。さて、そのような「凄い値付け」は本当にワークするのでしょうか?

記事で出てくる「バカ高い」ものとして30万円のウォークマン、4300万円のダイニングテーブル、3000円のかき氷、1万円のけん玉、価値を100倍にして売る魚のマンボウが並びます。

実は私はこの中で3000円のかき氷だけは食べたことがあります。そんな商品を提供しているとも知らず、何気で入った店でメニューにあったかき氷の価格が異様に高いので興味本位で注文したのです。味はどうだったかって?ご想像にお任せします。

私も様々なビジネスをしていますので値付けに関しては非常にセンシティブに対応しています。例えば弊社で経営するバンクーバーのマリーナなどは毎年価格を改定し、年間契約者のご理解を得られるよう様々な戦略を考え、設定しています。ちょうど今がその契約更新時期ですが、おかげさまで9割以上の方の更新が終了しています。その中で停泊位置が海岸の遊歩道からよく見えるプレミアムロケーションは基準サイズ当たり他のところの1.7倍ほどの値段をつけてます。そこに今年から入るのは2億円の船を新造した方ですがプレミアムを払う理由は「見せびらかしたい」でありましょう。

人の心理をくすぐる価格範囲とはどこまでなのか、人それぞれが価値観を持つ中で最適価格が存在します。例えば国際線のビジネスクラス。路線によって違いますがエコノミーのざっと3倍ぐらいでしょうか?私はポイントでは乗りますが、お金を払ってまでは乗りません。理由は航空会社によってはむやみにアップグレードしていてどう考えてもビジネスの客ではない人が紛れていると「期待価値」(あるいはエクスクルーシブネス)が遺棄してしまうのです。

個人的には低血圧で飛行機で酒を一切飲めない為、コーラを飲む為にビジネスクラスに乗る気はしないというのもあるでしょう。ほろ酔い気分でデカいシートにもたれかかれればよいのですが、飛行機の中は私にとって読書室なのでシートを倒すことも通常ありません。

自動車の世界にも「ありえん価格」はあります。ホンダのNSX。価格は2300万円を超えるようです。これをどう捉えるか、ですが、私はOKなのだろうと思います。どうせ希少価値で生産数も限定されています。ホンダもこれで儲けるわけではありません。技術力誇示やマーケティングとしての意味合いが高いでしょう。同様だったのがすでに販売が完了しているトヨタのLFAで3750万円でした。

一方、日産GTRはその半分ぐらいの価格です。こう聞くと実にお得感が漂います。GTRはショーケースの車ではなく日本のポルシェを目指す準量産志向です。発想のコンセプトが違います。

私は「ありえん価格」には気をつけています。ほんとうにその消費価値があるのか、プレミアムと称して一部の興味本位の人やマニアだけを取り込む価格なのか、そこを見ています。逆に言えば希少価値として需要と供給がバランスするのか、かつての「いつかはクラウン」的な上昇志向を消費者に植え付けたいのか、そのあたりを興味深く見ています。

例えば嵐のコンサートのチケットならプレミアムがついてもおかしくないでしょう。ところがAKBになると最近は満席にならない地方公演も出てきているとされます。スポーツイベントでも次の大相撲は瞬く間に席が完売したそうです。稀勢の里効果でしょう。バンクーバーにはアイスホッケーチームの「カナックス」がありますが、数年前、いつも上位だった頃はプレミアムもつきましたが、この数年はチームが弱くてだれも見向きもしません。

つまり値付けの賞味期限も大いにあるのです。ところが一度設定した価格はそうそう動かせない、これが経営側にとってもっとも頭が痛いところなのではないでしょうか?

「凄い値付け」は顧客をはっとさせる期間限定や数量限定のプレミアム商品ならワークするのかもしれません。通常商品は需給バランスと心理学的見地から価格の妥当性は図られるものですが10倍のお金を喜んで払うのが普通かと言われれればうーんと唸りますかね。ただ、3000円のハンバーガーがあれば私は食べますが。その金額にもよるということでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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