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嫌われてこそジャーナリスト!

経済産業省が省内のすべての執務室に日中でも鍵をかけることになって、メディア側から異論がある中、昨28日には閣議後会見で、麻生財務相が「新聞記者なんて最も信用してはいかんだろ」と言い放ち、経産省の措置を肯定しました。新聞記者、嫌われてます。

海の向こうでも、トランプ新大統領のホワイトハウスと記者団の対立がエスカレートし、スパイサー報道官は、政権に厳しい姿勢で報道するメディアをバックグラウンドブリーフィングから締め出し、これに抗議してAPなどは出席をボイコットするという騒ぎもありました。

政権に打撃を与える記事の多くが匿名情報を元にしているため、内部からの情報漏洩(リーク)を疑った報道官は先週、自らがトップを務める広報部(Communication Office)のスタッフを自室に集め、各人の通信記録を点検するためにスマホをテーブルの上に出させ、機密性の高いメッセージングアプリの使用は大統領記録法(Presidential Records Act)に違反すると警告したなどと、ワシントンで最大の政治記者を抱える政治サイトPoliticoがスクープしました。これもそこに呼ばれたスタッフからのリークです!

そして昨日28日の朝(日本時間28日夜)、保守系のFoxNewsの生番組に朝イチで出演した大統領は、自分なりの方法でリーク潰しに動いていることを明らかにするとともに、政権内からのリークや政権への抗議活動の背景にはオバマ前大統領がいると明言しました。

トランプ大統領が、ことあるごとにメディアはFake ニュースだらけだと主張するのは、そのソースが匿名だからということです。実名を出せないということは不確かなことを勝手に書いてるはず、という理屈です。

でも、実際はそんなことはないことは百も承知なはずで、スパイサー報道官が、自室で緊急会議を開いたのも、自分の部下と開いた企画会議の内容が漏れたのを知ったからだとPoliticoは書いています。「部屋にいた何人かのソースによると」と。

スマホについては、今後、ホワイトハウスの弁護士による抜き打ちチェックがあることや、相手が読み終えるとクラウド上にも残らないConfideやSignalといったメッセージングアプリの使用を明確に禁じたことも、「部屋にいた複数の人による」と書きます。

そして、スパイサー報道官は、スマホチェックと、この会合のことがメディアにリークされたらますます問題だと述べたそうですが、その内容が詳しくPoliticoにリークされたわけです。

会合の内容があっという間にリークされたのは、いかに広報部のスタッフがボスを尊敬していないからだと、ワシントンポストは辛辣に指摘しています。さらには「西洋文明で最低の報道官の分類に向かっている」とも。ここまでは日本の新聞は書けないなあ。

しかし、ホワイトハウスは反撃に出ます。Politicoの記事が出たのは午前11時55分。それから6時間後に保守系政治サイトWashington Examinerに<Claim: Reporter laughs at Trump aide’s emotion over SEAL death>という記事が出ます。

スパイサー報道官に電話をかけてきたPoliticoの記者が、兵士の死に対し不謹慎に笑ったのがけしからん、というものです。

報道官が部下の女性を叱ったが、彼女はイエメンでの戦闘で死亡した米軍兵士の話を伝える時に泣いた以外、泣かないのだが云々、というような話をしたところ記者が笑い出したというもので、そのソースは「ホワイトハウス高官」と、こっちも匿名情報。ネタ元はスパイサー報道官自身です。こういう軍人の死を笑うような記者による記事は信じるな、ということでしょう。

このPoliticoのスクープはCNNはじめ、あちこちで報じられ、話題になりました。それを受けて火曜日朝の番組で、3人のキャスターが代わる代わる「リーク」問題について聞いたのです。

まずは、スパイサー報道官のスマホ検査の件が話題になり、誰がリークしていたか見つけたか?との問いに、「right」と一言だけ。で、「スパイサーはいい奴だが、私は別のやり方でやったんだ」と、自ら「リーク潰し」に動いていると言います。

広報部のスタッフとは別の人たちと「1対1」のミーティングをやって、効果が上がったと主張します。どういうレベルの人物かは明かしませんが、「(ホワイトハウスには)他の陣営から来た人、他の官庁から来た人が沢山いることを忘れないで」とほのめかしました。

また、オバマ前大統領の関与についてはこうです。「皆さんは舞台裏で何が起きてるかは決してわかることはないだろう。私はその後ろにオバマ氏がいると思う。なぜなら、彼の(かっての)部下が確かにいて、リークのいくつかはそのグループから出た。でも、私はそれが政治だと理解している。そして、これは多分、続く」

ここでも、このオバマ氏への非難を裏付ける証拠は、示しませんでした。

そして、この日のインタビューで、これまで散々、罵って来た記者=「reporter」という言葉は一度しか口にしませんでした。こうです。
I have great respect for the press. I have great respect for reporters and the whole profession.

麻生さんと違って、トランプさんは記者を尊敬してるそうですよ。皆さん!(インタビューのトランスクリプトはここです)

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