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「世論調査のあり方」―禁煙・分煙問題―

IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保険機関)は、2010年から共同して「たばこのない五輪」を推進しており、2020年のオリンピック・パラリンピック誘致に当たり政府はじめ誘致関係者は、北京、ロンドン五輪を見るまでもなく、禁煙の実施が誘致条件の一つだったことを十分承知しているはずだ。

遅まきながら厚生労働省が今年1月、「飲食店内は原則禁煙」など受動喫煙防止対策を盛り込んだ健康増進法改正案を自民党厚生労働部会に示したところ慎重論が相次ぎ、「禁煙は中小飲食店の経営危機を招く」といったメディア報道も目立った。

喫煙をめぐっては、既に海外50カ国近くが病院や飲食店など公共の場を「屋内全面禁煙」とする法律を施行している。しかし、2003年施行のわが国の健康増進法は施設管理者に受動喫煙対策を課してはいるものの、あくまで努力義務にとどまり、WHOはわが国の対策を「世界最低レベル」と指摘している。

筆者は2008年3月以来、産経新聞「正論」欄で何度か「たばこ1箱1000円」を提案した。甲論乙駁(こうろんおつばく)で議論が沸騰した経過からも、全面禁煙には根強い賛否両論があるのは承知している。

「たばこ一箱1000円」の功罪は別の機会に譲るとして、以来、公共の場所や理解のある企業やタクシー、JRなどでは禁煙化が急速に進んだ。しかも受動喫煙による健康被害は既に学問的にも証明され、国民の健康に関する重大事、国際的な約束事でもある。

メディアの報道に限って言えば、賛否両論併記が客観報道の原則としても、もう少し禁煙社会の実現に向けて態度を鮮明にするべき時期に来ているのではないか。そのためにもメディア各社は、国民が受動喫煙による健康被害をどの程度認めているのか、早急に世論調査を実施してほしく思う。

付言すれば、憲法改正や原子力発電所など微妙な問題で各社の調査結果が大きく異なるケースが散見される。新聞で言えば、各社の読者層の違いにも一因があろうが、なんと言っても質問項目の立て方の違いが大きい。

世論を正確に推し測るためにも質問項目を統一して実施した方が費用も削減され、世論調査結果に対する信頼度も高まるのではないか。新聞協会がその受け皿となる方法もある。その上でメディアも自らの姿勢を社論、社説として打ち出せば、各社の違いも分かり読者の信頼も得られる。

個人的な記憶では、禁煙に関する本格的な世論調査は、テーマの重大性や国民の関心の高さにもかかわらず行われていなかったような気がする。何時までも煮え切らない両論併記では、一部雑誌が指摘する「広告の大スポンサーJTに対する配慮」といった憶測が妙な真実味を帯びることにもなりかねない。

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