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「当たり前 当たり前 当たり前バイト」

セブンイレブンの加盟店で、病欠をした「代わりに入ってくれる人を探さなかったから罰金」などとして、アルバイトの給料を差し引いたという問題。 当初にニュースとして報じられた店舗だけではなく、他の店舗でも同様の事例が発覚したり、またセブンイレブンに限らず他のコンビニチェーンでもノルマの強要があるという数多くの話が出てきて、様々に枝分かれしながら、未だに問題は続いている。

そうした中、とあるセブンイレブン店舗が、店頭に張り出した求人が話題になった。そこには「従業員 募集中 ノルマ 罰金なし」と書かれていた。(*1)

これに対して、ネットの声は冷淡で「ノルマや罰金がないのは当たり前だろう」とか「それまではあったのか」などと、どちらかというと批判的なことが書き連ねられていた。

ハフィントン・ポストの取材に対して、セブン&アイホールディングスの担当者は詳細は分からないとしながらも「あえて張り出すものではなかった」と答えているという。

さて、僕はこの張り紙を見てどう思ったか。それは「こういう当たり前のことをハッキリと表示できる店舗が増えなければ、ノルマも罰金もなくならない」そう思ったのである。

確かに「バイトにノルマを課さない、罰金を取らない」のは当たり前のことである。そんなことは百も承知だ。しかし、当たり前のことを当たり前だからと口に出さずにいれば、その当たり前はいつしか忘れ去られてしまうのである。

そもそも、バイトのノルマや欠勤の罰金というのも、最初はごく一部の人達の話でしかなかったはずだ。特に恵方巻きやクリスマスケーキ、お中元などのノルマというのも、元々は「店舗のみんなで頑張って、商品を売り込もう」という、仕事への動機づけだけの話だったはずだ。 事務所に売上のグラフを張り出し、たくさん売った人はみんなからすごいと思われたり、何らかのご褒美がある。最初はそんな話だったはずなのだ。

しかし、それが成功して売上が上がった店舗があると、本部から加盟店に赴き、経営指導などを行うスーパーバイザーがそれを他の店舗に伝える。やがてそれが「うちの店舗でも頑張ればもっと売れるはずだ」となり「売れるのだからバイトにも責任を持って販売をしてもらう」と変化し、グラフには最低でもここまで売ってくれという赤線が引かれるようになる。

こうして、「これだけ売るのは当たり前」としてノルマが課されるようになってしまうのである。欠勤する時に、代わりを探さないと罰金にするというのも同じだ。最初はバイト同士が自発的に連絡しあっていた行為が、徐々に「バイトが代わりを探すのは当たり前」に変化し、やがて「当たり前のことができないのなら、罰金を取る」という考え方につながっていったのだろう。

当たり前のことというのは、常に明示しなければ忘れ去られてしまう。一方で、どれだけ間違ったことでも明示され続ければ当たり前になってしまう。ノルマにしても罰金にしても「それが当たり前」という感覚が店舗経営者の側にある限りは、決して無くなることはないだろう。

だからこそ、あのように「ノルマや罰金はない」と、店がちゃんと明示することは非常に重要なのだ。当たり前だから言わなくても分かるだろうではなく、当たり前のことだからこそ、それは何度も何度も繰り返し繰り返し明示されなければならないのだ。

セブンイレブンは今回の件を踏まえ、むしろ全店舗に「ノルマ 罰金なし」と張り出すように命じるべきである。それを毎日、店舗経営者が目にすることで「いくら売上が欲しくても、バイトにノルマや罰金を課してはダメなのだ」という当たり前を、常に意識することにつながる。

これはもちろん、セブンイレブン本部側の人間にも言える。加盟店に過剰なノルマを課すことは、そのままアルバイトにノルマを課すことにつながる。本部側理由の無茶な売り込みに店舗を付き合わせようとするから、店舗がノルマを課さざるを得ないという側面もある。「加盟店が勝手にやったこと」ではなく、加盟店の振る舞いは、それを指導する本部にも責任があることを強く自覚するべきだ。

だが今回、本部側はこれを「あえて張り出すものではなかった」などと言っている。やはり本部側には当事者意識が薄いようだ。 繰り返しになるが、当たり前のことは常に明示され、繰り返し意識されて、ようやく当たり前として成立し続けるのである。そのことをゆめゆめ忘れてはならない。

*1:「ノルマ、罰金なし」 セブンイレブンのバイト募集、ネットで話題に http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/20/seven-eleven_n_14896668.html

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