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【東芝:契約のこわさ】

東芝が米原子力事業で7000億円超の損失を計上する見通しを発表して1週間。東芝って国際ニュースなんだな、と改めて感じます。様々な記事がありますが、米原発建設をめぐる「契約」について詳しく伝えているのがFTとBloombergです。

FTは、Toshiba brought to its knees by two US nuclear plants(東芝、2つの米原発に屈する)として、「アメリカ南部で建設中の原発こそが141年の老舗企業の最大の経営危機の核心だ(at the heart of the greatest crisis in the 141-year history of Toshiba」と伝えています。

これを読むと2008年の当初の契約ではなく、2015年に締結された固定価格の契約(fixed price contract)が問題だったことが分かります。

Bloombergは、経営再建中の東芝がアメリカで原発建設を完成できなければ電力会社のScanaは新たな事業者を探すことになりかねないと伝えています。

ScanaのKevin Marsh CEOは16日に投資家と電話会談。契約に基づいて東芝が工期遅延の分の追加コストを負担する見通しだと伝えた(expects Toshiba to foot the bill for any additional costs resulting from the latest project delays based on an existing agreement)。

予定ではスキャナのサマー1号機の完成が8か月遅れの2020年4月、2号機は4か月遅れの2020年12月。遅れに伴うコスト増加分については、再交渉して締結した固定価格契約(renegotiated fixed-price contract)に基づいて東芝が支払うことになるとスキャナが説明した、とBloomberg は伝えています。。

FTはさらに詳しく伝えています。大特集なのでざっくりご紹介します。

■舞台はジョージア州のオーガスタから南に約50キロのWaynesboroという人口5942人の小さな町。東芝の原子力子会社のウェスチングハウスがVogtleサイトAP1000型の原子力発電所を2基建設中だ。そこから約160キロ離れたサウスカロライナ州のVC Summerサイトでも2基が建設中。

■12月の段階で、ボーグルでは原子炉の一部にあたる、直径40メートルで1100トンの鉄の輪が納められた。同じものが1週間前にサマーのサイトでも納入された。

ボーグルサマーも建設はすでに3年遅れていて、予算はあわせて100億ドルを超過している。サマーの工期がさらに遅れることが先週明らかに。ボーグルもいっそう遅れるという見通しで、こうした工期の遅延問題こそが東芝の7000億円あまりの損失の背景にある

■2009年から2012年までNRC=原子力規制委員会の会長だったGregory Jaczkoは、ボーグルとサマーの原発計画に当時反対し、「どこかの段階で中止すること(pull the plug)を検討しないといけない。上限のないプロジェクトにお金を流し続けることはできない」と述べて、今からでも工事が中止される可能性があり得るという考えを示した。とは言え、大量の鉄とコンクリートがすでに使われ、それは難しいだろう。

■規制当局や裁判所に提出された資料によると、スタート当初から計画は困難に直面していた。2008年に新規原子炉の建設に向けて契約にサインしたのは、▼ボーグルについては電力会社のSouthern Company、▼サマーについては電力会社のScana

■サザンの子会社でボーグルを運営しているGeorgia PowerのMike Garrett CEOは2008年の段階で「新しい原発が効率的な電源で、良識的な経営判断だ」と述べていた。しかしながら、原発プロジェクトが野心的だというのは当初から分かっていた。

というのは、1978年以来、承認を受けた初の原発建設計画で、1996年以来の初の稼働となる予定のためだ。

■アメリカで原発プロジェクトを管理する経験も能力も失われているにもかかわらず、関係者は誰ひとりとして新規の原発、それもAP1000というまったく新規のデザインの原発を建設することの難しさを理解していなかったようだ。

規制当局からの強い要求のほかにも建設方法にも問題があった。AP1000は現場以外でコンポーネントを作って、プラモデルのように現場で組み立てるモジュラー・デザインを採用することで建設を簡略化するはずだった。

しかし、コンポーネントの品質問題をめぐって何度も作業が遅れた。2010年の段階で、地元ジョージア州の規制当局から繰り返し遅延の懸念が発せられた。

■課題が山積する中、関係者は裁判所に駆け込んだ。サザンの子会社でボーグルを運営するジョージア電力は、新規のコストと遅延の責任をめぐってウェスチングハウスとShaw(その後、2013年にChicago Bridge & Ironが買収)を訴え、逆訴訟を起こされる。

その後、2015年10月に和解に達した。ウェスチングハウスがChicago Bridge & IronからStone & Websterを2億2900万ドルで買収することになったのだ。

同時に電力会社のサザンとスキャナは2つの原発計画について、▼完成時期を先延ばしを受け入れ、▼これまでの契約上の支払いの追加に応じた。その代わり、残りの建設工事について固定価格で行うことを求めた(in return for fixed prices for the remaining work)。

東芝としては、将来の訴訟を防ぐ狙いから合意。Stone & Websterをウェスチングハウスの一部として買収することで作業の効率性を30%改善させることも目指した。

■効率化の改善は実現しなかった。Flourという別のエンジニアリング会社が建設工事を請負い、2つの原発サイト用に新たに数百人のスタッフや作業員が採用された。

■東芝に最大の衝撃が訪れたのは、4つの原子炉の建設コストが当初予定の61億ドルを超過し、このうち37億ドルが労務費18億ドルが資材費だと気づいた時だ。

2008年に締結した契約では、コストの超過分について電力会社との間で調整する余地があったが、2015年に締結した新規の契約ではウェスチングハウスが固定価格で工事を終わらせることから逃れられなかった

■東芝にとって不吉なのがボーグルとサマーの原発の両方でいっそうの工期の遅れが見られる点だ。電力会社のスキャナは14日、「サマー原発の1号機の稼働は2019年ではなく2020年に遅れる」という見通しを発表。

ボーグル原発についてジョージア州の地元の規制当局は2019年に1号機を稼働するという当初の計画は「非常に困難だ」と警告。その理由として「工期の進展の欠如」を挙げた。

仮に工期が一段と遅れると、ウェスチングハウスの契約上の損失がいっそう膨らむことになる。地元の規制当局の担当者はボーグルとサマーで相次ぐ問題の結果、新たな原発は今後20年から30年は新規には建設されないという見通しを示した。

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