記事

安倍首相の「だきつき作戦」、日米首脳会談は成功なのか?

2月11日未明、安倍晋三首相はホワイトハウスで、トランプ米大統領と初の日米首脳会談を行った。会談後に発表した共同声明では、「日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用される」という文面が盛り込まれた。また、貿易などの分野に関しては、「アメリカがTPPから離脱した点に留意し」「二国間の枠組みに関して議論を行う」などとしている。

そして、記者会見でトランプ大統領はなんと、「米軍を受け入れている日本国民にも感謝したい」とまで語ったのだ。選挙中、一貫してトランプ大統領は、日本に対して在日米軍の駐留経費について負担増を求めてきた。だから、この発言にはみんなが驚いた。

対して安倍首相は、「高速鉄道など大規模なインフラ投資を行う」と述べた。そして、「麻生太郎副総理とペンス副大統領で、新たな経済対話の枠組みを作る」と語っている。これは、いったいどういうことなのか。

結論から言えば、「日本がうまくやった」ということになるだろう。尖閣諸島、米軍基地の問題、高速鉄道、すなわち新幹線をアメリカへ輸出する筋道もつけた。これは、結果的にアメリカ国内で雇用を生む。そして麻生副総理とベンス副大統領とで、アメリカTPP離脱後の経済枠組みを作ろうというのだ。言ってみれば「トランプ抜き」で進める、ということになる。

先日、僕の番組「激論!クロスファイア」に国際教養大学大学院客員教授の小西克哉さんが出演し、この会談をテーマに激論した。小西さんは、日本の「だきつき作戦」だ、という見方を示した。トランプ大統領就任後、さっそく新大統領の懐に入る作戦というわけだ。なるほどうまい言い方だと思った。ただ、一見、作戦はうまくいったようだが、肝心の自動車や農産物の問題は先送りされたかたちだ。

そして、やはりひっかかることがある。中東、アフリカ7か国の国民を、一時入国禁止にした大統領令の問題だ。イスラム圏の国民が、ビザを持っていても入国を拒否されたのだ。西側諸国のリーダーたちは一斉に批判した。だが、安倍首相は、「コメントする立場にない」としている。今回の会見でも同じ態度を繰り返した。「だきつき作戦」だから、批判してはいけないのか。だったらそれは「子分」ではないのか。

同じく、番組に出演したテレビ朝日記者の千々岩森生さんによれば、安倍さんは「腹をくくったのだろう」という。国際社会から「トランプ追従」という批判を浴びることを覚悟しているのだと。
会見の翌日、トランプ大統領と安倍首相はフロリダでゴルフを共にしている。5月に開かれるG7で、批判される立場にあるアメリカの味方になってほしいというような話があったのかもしれない。

だが、アメリカと日本が同盟国であるならば、そして、トランプ大統領と安倍首相が親しければ親しいほど、言うべきことは言わねばならないはずである。そういう姿勢こそが、安倍首相の言う、「戦後レジームからの脱却」ではないのか、と僕は思うのだ。

あわせて読みたい

「日米首脳会談」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    NHK契約義務なら相応の番組作れ

    中田宏

  2. 2

    子宮頸がんワクチン 男も接種を

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  3. 3

    よしのり氏「グッディ!」を評価

    小林よしのり

  4. 4

    JTBを筆頭に死にゆく旅行代理店

    木曽崇

  5. 5

    加計学園の建設現場で忖度自撮り

    田野幸伸

  6. 6

    トヨタとパナ社長が共同会見へ

    ロイター

  7. 7

    中国人カキ殻100t投棄 どう対策

    高橋亮平

  8. 8

    「日本が中国に完敗した」は暴論

    文春オンライン

  9. 9

    現実見ない「中国スゴイ」に苦言

    文春オンライン

  10. 10

    PEZY関連財団は元TBS山口氏実家

    田中龍作

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。