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「東芝の危機」で浮かび上がるライバル企業とは? 日立、IoT市場を攻略

 深刻な業績不振に陥っている東芝を横目に、株式市場では「東芝の苦境で比較優位に立つ銘柄」をマークする動きが浮上している。こう書くと、「情け知らず」「ちょっと不謹慎ではないか」と思われるかもしれない。が、そこは徹底して実利を追求する株式市場。沈む株(=ダメな株、Bad Stock)と、浮かぶ株(=良い株、Good Stock)のふるい分けは、いつもながら容赦がない。シーソーゲームのように、東芝が沈めば、逆に浮かんでくる潜在力を秘めた銘柄は何か。(解説:証券ジャーナリスト・神田治明)

時価総額に見る東芝の惨状

 東芝は2月14日、米国の原子力事業などで巨額損失が発生したことから今3月期第3・四半期累計(昨年4~12月=2Q累計)の連結最終赤字が4999億円に達したと発表。同時に、昨年末時点では1912億円の債務超過になったことも明らかにした。

 すでに東京株式市場では昨年12月下旬から、大幅赤字の観測報道によって東芝の株価はつるべ落としの急落に見舞われていたが、2月14日の正式発表と、2Q累計決算の1カ月延期が嫌気され翌15日には199.2円安値まで暴落。その後も売り圧力は弱まらず、17日には一時178円まで値を崩し、昨年12月15日に付けた475.5円からの下落率は62%に達した。

 「重電3社」という言葉がある。最近ではあまり耳にしなくなったが、電力ビジネスなどを中心とする重電分野で豊富な実績を誇る日立(6501)、東芝(6502)、三菱電機(6503)の3社を指したもの。株式のコード番号の末尾も1、2、3と順番になっている。 しかし、この3社から、東芝はいまや完全に脱落した。

 発行済み株式総数に株価を掛けて算出される3社の株式時価総額を見ただけで、東芝の悲惨な状況が露(あら)わになる。ちなみに、2月17日時点での時価総額は東芝が7797億円。これに対して、日立は3兆1074億円、三菱電機が3兆504億円だ。株式時価総額はマーケットが下した企業の「実力値」。いまや東芝は三菱電の4分の1近くという屈辱的な水準にダウンしてしまった。

 このまま決算期末の3月いっぱいを超えても債務超過状態を脱しないと、昨年夏、債務超過によって東証1部から2部に転落したシャープ(6753)のように、日本を代表するブランド企業と長く見られてきた東芝も2部に降格する。そうなれば、強烈なイメージダウンで、窮すれば通ず、といった甘いことは言っていられない。なにより、業績不振による資金不足でハイテク企業間の熾烈な競争を勝ち抜くうえでの研究開発の後れにつながるようだと、東芝の危機は深化し、かつ長期化しかねない。

日立、業績上振れも

 そうした先行きを警戒しつつ、“無慈悲”な株式マーケットが狙いをつけているポジティブな銘柄の一つが、ビジネスで重なるところが多いライバルの日立だ。

 日立の情報・通信システム、社会・産業システム、電子装置・システムなどの事業部門は東芝と競合するエリアが多い。日立にしてみれば、東芝の「敵失」は、チャンス拡大に映るだろう。

 もう一つ、注目されるのが、2017年の株式相場の有力テーマとされるIoT(Internet of Things=モノのインターネット)に、日立が本腰をいれて取り組み始めているという点だ。

 ある大手証券のストラテジストは「日立は来3月期から、IoTプラットフォーム『Lumada』(ルマーダ)を活用した生産効率化システムの販売をスタートさせる予定で、中・長期的に収益の飛躍を可能にする戦略的なプランといえる。IoT関連株の代表格とみていい」と語る。

 実際、同社の「2018中期経営計画」では、AI(人口知能)やビッグデータ解析といったICT(情報通信技術)分野の拡充強化策によって、インフラとITの融合を図り、それによって社会イノベーション事業のグローバル展開を図ろうとしている。

 この点ではFA(ファクトリーオートメーション)を中心とする産業メカトロニクス事業を主軸にして業績拡大を続ける三菱電機よりも日立のほうが「IoT関連としてはアピ―ルできる材料がそろっている」(前述のストラテジスト)という。日立の今3月期連結営業利益は会社側見通しで5600億円(前期比11.8%減)だが、有力アナリストの間からは5700億円程度への上振れ観測が台頭。来期は6300億円説もある。

株価は中勢第2ラウンドへ

 日立の今期の予想EPS(一株当たり利益)は会社側見通しで41.4円。来期は50円台乗せが見込まれる。株価は昨年6月の英国欧州連合(EU)離脱国民投票、いわゆるブレグジット時に400円安値を付けたあと、9月下旬に461.4円で二番底を形成。その後は堅調な値戻しを続け、今年2月2日には699.5円まで買い進まれた。その後は、高値圏でもみあっているが、調整が完了次第、700円を通過点とする中勢第2ラウンドの相場に発展する可能性が高い。

 日立以外ではどうか。家電市場のグローバルシェア拡大につながるパナソニック(6752)、さらに東芝の稼ぎ頭となってきた半導体事業の動向いかんではNEC(6701)も来3月期以降の収益や株価の浮上候補として挙げるアナリストもいる。

(証券ジャーナリスト・神田治明)

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