記事

バロンズ:トランプ大統領1期目、どこまで米株は上昇できる?

Barron’s : U.S. Stock Market, How High Can We Go From Now?

バロンズ誌、今週はトランプ米大統領をカバーに掲げる。トランプ氏は共和党らしく減税や規制緩和など企業業績にポジティブな影響をもたらす政策を支持する一方で、”混乱をもたらす司令官(Disrupter-in-Chief)と囁かれるように大衆主義的な一面を併せ持つ。市場はどちらのトランプ色が濃くにじみ出るか、状況に合わせ上下を繰り返して来た。古くから語り継がれてきた「政治家が政策を立案し、マーケットが消化する(Politicians propose, markets dispose)」との諺が今後も活きて来るのか、注目される。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は堅調な米経済を引き継いだトランプ政権で米株リターンがどうなるか予想している。抄訳は以下の通り。

トランプ・マーケット:今が天井なのか?=The Trump Market: Is This as Good as It Gets?

1980年代をご記憶だろうか?大きくボリューム感を出したヘアスタイルやMTVが流行し、レーガノミクスを追い風に新興勢力が台頭した次期である。また、買収劇のような奇抜なストーリーに取り憑かれて株価が舞い上がった時代だ。1987年には中西部の百貨店大手デイトン−ハドソン・ストアーズが68億ドルもの買収案を提示されたとのニュースが話題となり、同社の株価が上昇したことが思い出される。ただし後にその提案は虚偽のものと判明、今で言うオルタナティブ・ファクト(代替可能な事実)に終わった。

この出来事を振り返るきっかけとなったのが、デイトンーハドソン・ストアーズの今の姿であるターゲットだ。フロリダ州の男性が同州のほかニューヨーク州、バージニア州の3ヵ所にあるターゲット店舗に爆弾を設置し株価が下落したところで買い戻そうとした計画が発覚し、17日に逮捕された。幸い、爆発物は事前に撤収され事なきを得た。この男性が約150店もの閉店を発表したシアーズを狙わなかったところを見ると、株価情報に詳しかったのだろう。

17日は、巨額な合併・買収(M&A)案が浮上した日でもある。食品大手クラフト・ハインツは、英蘭生活必需品大手のユニリーバに1,430億ドルもの買収提案を提示した。後者は即座に拒否したが、両社の株価は急伸。従来、こうした大規模M&Aでは債務水準が嫌気されるものの、クラフト・ハインツにはウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイや投資会社3Gキャピタル、さらにブラジルの億万長者が控えるため、問題視されなかった。債務を抱えながらのM&Aは、1980年代を彷彿とさせる。

一連のM&A劇は、市場サイクルの後期に勢いづいたアニマル・スピリットを体現するかのようだ。現在の強気相場サイクルは3月に8周年を迎える。足元のブル相場は過去2番目の長期にわたり、1990年10月から開始し2000年3月にITバブル崩壊(筆者注:景気後退期は2001年3月〜同年11月)で幕を閉じた当時以来となる。

かなり長きにわたる強気相場とはいえ、足元でダウをはじめ代表的な株価指数はそろって過去最高値を更新中だ。トランプ米大統領自身、堅調な米経済を引き継いでいる。ルースホールド・グループのダグ・ラムジー最高投資責任者が指摘する通り「ほぼ完全雇用にあり、市場のバリュエーションは膨れ上がり、企業の利益率は比較的高い」。しかし、こうした要因は「強気を維持しづらくさせ、向こう4年間の株価見通しを抑え、トランプ米大統領自身の行動にも影響しかねない」という。

反対にオバマ前米大統領は失業率が10%、S&P500の株価収益率(PER)が11.4倍といった最悪期の2009年に就任した。おかげでオバマ政権1期目のS&P500のリターンは85%と1928年以来で2番目、2期目も53%と8番目の高いリターンを記録。かたやトランプ米大統領はと言えばS&P500のPERは22.5倍で、ラムゼー氏いわく2021年の大統領就任式まで上昇率は10%以下にとどまる公算だ。

ダウは右肩上がりで上昇中。

dow

(出所:stockcharts)

そもそも1929年に大統領に就任したフーバー氏まで遡って株式市場のリターンをみると民主党政権の上昇率は平均48.6%で、共和党政権は24.7%にとどまり民主党政権のほぼ半分に近い。理由は明白で、民主党政権は従来低いPERの市場を受け継ぐパターンが多いためだ。民主党政権が幕開けする就任式でのPERは平均15.6倍だが、共和党政権では19.3倍となる。

マイケル・フリン米大統領補佐官(国土安全保障担当)が辞任に追い込まれ、後任に打診されたロバート・ハーウッド氏が辞退したとのニュースが出回ったが、株価指数は引き続き高値圏にある。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が議会証言でタカ派寄りへ軸足を移したにも関わらず、状況は変わっていない。米10年債利回りは2.5%以下で推移し、FF先物でみた3月14〜15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ織り込み度も、34%に過ぎない。恐怖指数との異名を持つVIX指数も低下傾向にある。

しかし、政治的な不透明性が高まってきた。2月28日には、トランプ米大統領が一般教書演説に代わる議会演説を行い同時に予算案にも言及する見通しだ。3月10日には米2月雇用統計が公表される。3月14〜15日にはFOMCを迎える。マーケットはさながらカーニバル状態だが、再来週以降はボラティリティが高まらないとも限らない。

——税制改革案をめぐっては、共和党の間で亀裂が生じ始めました。トランプ米大統領が「複雑過ぎる」と明言した国境調整税が問題視され、小売業や自動車メーカー、並びに石油精製業が反対しているためで、共和党でも足並みがそろわなくなってきています。上院共和党のナンバー2であるジョン・コーニン院内幹事は、国境調整に対し「生命維持装置につながった状況」と発言する始末

法人税を従来の35%→20%、所得税を現在の7段階(10%、15%、25%、28%、33%、35%、39.6%)から3段階(12%、25%、33%)ヘ引き下げるため、歳入減を補う必要があり国境調整がその大きな担い手のひとつだったものの、暗礁に乗り上げればトランプ米大統領のいう”大企業(big league)”に対する”驚くべき(phenominal)”税制改革を実施できません。さらに3月15日には蘭総選挙を皮切りに欧州での選挙シーズンに突入、4月〜5月には仏大統領線も控えますから一本調子での上昇が続く可能性は低いのではないでしょうか。

あわせて読みたい

「ドナルド・トランプ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ミヤネ屋インチキ医療特集に称賛

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    定年後は蕎麦打ち職人になるな

    内藤忍

  3. 3

    海老蔵と麻耶 歌舞伎界の非常識

    NEWSポストセブン

  4. 4

    豊田議員あと一歩で逃げ切り逃す

    文化通信特報版

  5. 5

    今度こそ北朝鮮の崩壊は秒読みか

    自由人

  6. 6

    高須氏「衆院解散は正しい戦略」

    NEWSポストセブン

  7. 7

    共産の要求激化で選挙協力崩壊か

    猪野 亨

  8. 8

    金正恩氏が米国への本音を吐露か

    高英起

  9. 9

    安倍首相の目的は権力の延命だけ

    小林よしのり

  10. 10

    「部落差別を語るな」は間違い

    SYNODOS

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。