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WWFジャパンの“2050年自然エネルギー100%社会実現シナリオ”を報じたのは朝日新聞だけ・・・

 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が昨日発表した『脱炭素社会に向けた長期シナリオ2017 ~パリ協定時代の2050年日本社会像~』という報告書(概要版インフォグラフィックス版)では、「日本は2050年までに、技術的にも経済的にも、石炭や石油などの化石燃料に頼らない、自然エネルギー100%の脱炭素社会を実現できること」が改めて示されたとのこと。

 ここでの自然エネルギーとは、太陽光や風力を中心とする再生可能エネルギーのことを指しているようだ。上記の報告書の全文を細かに評価していこうと思ったのだが、政策に昇華させようとする視点からは到底採用できない前提条件があまりにも多いので、実は評価しようがない。

 最も簡単に表現されているのがインフォグラフィックス版であり、その全てを貼付すると以下の2枚のシートになるが、取り急ぎ私見を幾つか書き置いておくと、次の通り。

①GHG(温暖化ガス)排出量について、2030年の“政府2015見通し”でさえ実現が極めて困難なのに、それを超えるシナリオは更に実現を見込めない。

②省エネルギーについて、巨額の投資が必要になるはずだが、その財源論が皆無。

③太陽光・風力について、立地地点の選定が全くなされていないだけでなく、今後の再エネ賦課金の負担額が示されていない。



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出所:http://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/170216energyscenario04_infographic.pdf

 以上①〜③の他にも、政策立案面に必須な素材に関する欠陥が多数ある。

 自然エネルギー(≒ 再生可能エネルギー)を信奉することは構わないが、上記のようにあまりにも奇妙なシナリオを提示してしまうと、逆に誰にも信頼されなくなるだろう。もっとも、この点では、政府がこれまで提示してきた全てのエネルギー需給見通しにも全く同じことが言える。

 因みに、パリ協定の際に各国から提示された各国のエネルギー需給関連シナリオについても、日本と同様、実現性はどれも極めて乏しい。それは、歴史が証明してきたことであるし、今後も証明し続けるはずだ。政策目標とは、かなり背伸びしたものなのだ。だから、それを超える背伸びが実現しないことは、真の政策当局者や専門家、有識者は常に知っている。

 原子力や化石燃料を敵視し、自然エネルギーへの過剰な礼賛を繰り返してきた多くの大手マスコミでさえ、上記のWWFジャパンの提言を報じたのは、現時点では、昨日の朝日新聞報道以外には見当たらない。

 こうした報道の実情は、上記のWWFジャパンが世界的な大組織であって相応の宣伝体制を有しているにもかかわらず、その組織力が傾注された提言が現実の多くの報道現場からは軽視(ないし無視)されていることを如実に示している。これは、甚だ勿体ないことだ・・・。

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