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日米首脳会談など

 石破 茂 です。

 日米首脳会談は互いに信頼関係を構築したという意味で、スタートとして有意義なものであったと思います。イラク・イランなど7か国からの入国拒否について何か言うべきであった、とのご意見もありますが、そもそも難民や移民の受け入れについて欧州とは異なる姿勢を採る我が国がそのようなことを言う立場にもありません。

 尖閣が日米安保条約第5条の対象となることが文書に明記されたことは一定の前進と評価すべきですが、かねてから申し上げている通り、某国からの武力攻撃に対しても、ましてや海上民兵による武力によらない占拠に対しても、いきなり米軍が出てくることなどあり得ません。海保、警察、海自、陸自等がいかなる権限でどのように対処するのか、法制・装備・運用の側面から精密に詰めて、平素から政治サイドも含めた訓練をしておくのは日本政府の責任であって、「尖閣が日米安保第5条の適用となることが明記された。よかった、よかった」などといって思考停止になってしまうことが断じてあってはなりません。

 本来これは一昨年の安全保障法制論議において「グレーゾーン事態」として議論し、結論を得るべきことであったにも拘らず、「警察と軍の(権限争いの)百年戦争にこれ以上突っ込んだら大変なことになる」(検証 危機の25年 勝俣秀通著 並木書房刊)とのよくわからない理由で先送りになってしまったものです。

 このような思考停止、先送りのツケは必ず我が国の独立と平和を脅かす形で廻ってきます。警察権の行使から自衛権の行使への移行は信号が赤から青に変わるような単純な話ではありません。領域警備の法制整備について自民党で党議決定していたのですから、議員でいる限り、決して諦めることなく実現に向けて最大限の努力をすることが私の責務と心得ます。

 衆議院予算委員会は、今週も防衛大臣・法務大臣に対する質疑が続きました。
 「法的に『戦闘行為』とは国家若しくは国家に準ずる組織の間において、国際紛争の一環として行われる武力を用いた争いのことであり、そうではない主体の間において行われるものは『武器を用いた衝突』であって『戦闘行為』ではない」という、イラク特別措置法において行われた議論と全く同じものなのですが、どうしてまた蒸し返されるのか、理解が出来ません。

 これは言葉の定義の問題であって、その認識に齟齬があるとどこまで行っても議論は噛み合いません。
 それぞれの用語の定義は以下の通りです。
【戦闘行為】 国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行為。
【国際的な武力紛争】 国または国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題に止まらない武力を用いた争い。
【一環として】 人を殺傷しまたは物を破壊する行為がこのような「国際的な武力紛争」の一部を構成していること。

 仮に暴力団同士が繁華街において機関銃で撃ちあい、新聞やテレビが「武力闘争」「市街戦」と報じたとしても、それが「国際紛争」とは評価されないのと同じことですし、機関銃が更に破壊力の大きな武器に代わっても本質は何も変わりません。
 要は衝突の「主体」が誰であるかに着目した概念なのであって、それが日本国憲法第9条によって禁ぜられている「国際紛争」(国または国に準ずる組織の間で行われる領土などを巡る武力を用いた争い)の主体、すなわち国または国に準ずる組織(「国」とは一定の排他性を有する領域、帰属意識を共有する人々、確立した統治形態の3要素を有するものをいう)でない限り、互いの衝突は法的に「戦闘行為」とは評価されないのです。

 なお、これは「危険か否か」とは何の関係もありません。「戦闘」が行われていなくても「危険である」状況は当然にあり得るのであって、任務遂行や隊員の安全確保に支障が生ずるような事態となれば、活動の休止や撤収も行うこととなります。
 …と書いてみても、何が何だか、さっぱりわからないという方も多いことと思います。これが日本の防衛法制が「ガラス細工」のように精密だが「増築を重ねた温泉旅館」のようにわけがわからず理解困難と言われる所以でもあることも十分に承知しています。そうであるからこそ、説明には誠心誠意、あらゆる工夫を尽くさなくてはなりません。
 2004年の党首討論において小泉総理が「自衛隊の行く地域は非戦闘地域である」と発言され、防衛庁長官としてフォローに追われた日々のことを思い出しました。

 マレーシアにおける金正男氏の殺害は、北朝鮮(というより金正恩独裁体制)の持つ恐ろしさをまざまざと見せつけるものでした。
 「ロイヤルファミリー」の一員である金正男氏が韓国にでも亡命されて大打撃となる前に殺害した、保護していた中国が警護をつけなかったのは同氏の利用価値を見限ったからだ、という説もありますが、体制維持の邪魔になるものは悉く抹消するという方針は確固たるものであり、その対象はすべてに及ぶということなのです。
 国際社会、とりわけ関係各国が「緩衝地帯としての北朝鮮」という位置づけをしている間に着々と力をつけつつある北朝鮮に対する認識を改める必要性を感じます。

 週末は18日土曜日が協同組合鳥取卸センター創立50周年記念式典・記念講演で講演・祝賀会(午前10時・鳥取卸センター組合会館)、因幡地区郵便局長会懇親会(午後1時・鳥取市内)、自民党鳥取県連街頭演説会(午後1時~ 鳥取駅前)、平成29年度日本自動車販売連合会鳥取県支部通常総会(午後4時・鳥取市内)、自民党倉吉市社支部講演会にて講演(午後6時・JA鳥取中央)。
 19日日曜日は自民党鳥取県連国会議員合同新春懇談会(午前10時・米子ワシントンホテルプラザ、午後1時半・倉吉シティホテル、午後4時半・ホテルニューオータニ鳥取)、国会議員と鳥取佳友俱楽部理事との懇談会(午後6時半・鳥取市内)という日程です。

 先週4日土曜日の誕生日や、14日の恒例行事には、多くのお心遣いを頂き、誠に有り難うございました。厚く御礼申し上げます。
 今月もはや半ばとなりました。地元鳥取市は34年ぶりの大雪となりました。私が子供の頃はあのような雪はそう珍しくもなく、スキーに行ったり、かまくらを作ったりと雪国らしい冬の日を楽しんだものでしたが、今の立場では様々な被害対策を講じなくてはなりません。
 2月もはや後半、春も間近です。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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